阿波おどりは徳島県を中心に全国で広く親しまれている日本三大盆踊りの1つです。近年は世界への広まりを見せ、各国にも愛好家がいます。
本場の徳島県徳島市で毎年開催される「徳島市阿波おどり」は100万人以上の観光客を集めるほどの人気イベントです。
海外からも多くの観光客が訪れ、それに対応するためのインバウンド対策も進んでいます。
この記事では阿波おどりの紹介から徳島市阿波おどりで実際に行われているインバウンド対策についてご紹介します。
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阿波おどりは日本三大盆踊りの一つ
阿波おどりは日本三大盆踊りの1つとされ、徳島県を中心に楽しまれています。阿波おどりには歴史が長く、現代にも受け継がれている伝統芸能でもあります。
400年を超える歴史の阿波おどり
阿波おどりの「阿波」とは、旧国名における徳島県を指す言葉です。
阿波おどりは徳島県が阿波と呼ばれていた時代から続く伝統芸能であり、その歴史は400年にも及びます。
阿波踊りの本場でもある徳島県徳島市では毎年8月に「徳島市阿波おどり」が開催されます。
イベントは「前夜祭」「選抜阿波おどり」「阿波おどり」の3部で構成されており、5日間に渡って催され、国内外から100万人以上の観光客を集めます。
「2020阿波おどり」は残念ながら新型コロナウイルスの影響で開催中止となってしまいましたが、徳島市の観光を支える重要なイベントです。
連という踊りのグループで参加
阿波おどりは集団で参加する踊りであり、阿波おどりの場合は「連(れん)」と呼ばれるグループごとに参加します。
毎年850以上の連が参加しており、「流し踊り」と呼ばれる隊列を組んで前に進みながら踊っていきます。
「騒き(ぞめき)」と呼ばれる独特のリズムに合わせて踊っていくのも特徴です。
連はぞれぞれ意匠の異なる衣装を身に着け、男性は手拭いを、女性は笠をかぶります。
また、連ごとののぼりや提灯を掲げ、太鼓や三味線、笛などで演奏をしながら踊りが進行していきます。
季節関係なく楽しめる、阿波おどり会館
徳島市にある阿波おどり会館は、阿波おどりを体験できる屋内型の施設です。
昼には阿波おどり会館所属の専属連が阿波おどりを1日4回公演しており、夜には全国でも有名な33連が日替わりで阿波おどりを披露しています。
阿波おどりを体験できる公演もあり、目玉の一つとなっています。
阿波おどりの歴史を展示している「阿波おどりミュージアム」、徳島県のお土産を販売している「あるでよ徳島」などを併設しており、徳島県の随一の観光施設でもあります。
コロナに負けない!「リモート阿波踊り」で元気づける動画が話題に
高円寺阿波おどり連協会 菊水連では、新型コロナウイルスの感染拡大で自粛ムードにあった日本を元気づける為に「リモート阿波おどり」という動画をFacebookで公開しています。
日本の伝統である阿波おどりと、「リモート」という昨今の事情を融合させた企画が話題を呼び、2020年5月時点で7本が公開され合計で1万回以上再生されています。
Facebook:高円寺阿波おどり連協会 菊水連『伝統芸能コロナに負けるな!リモート阿波踊り第6弾!』
外国人の阿波おどりへの関わり方
国際化や訪日外国人観光客の増加などに伴い、阿波おどりと外国人の関わり方も多様化しつつあります。
阿波おどりの人数規模
2018年に開催された「2018阿波おどり」の観光客数は合計で108万人とされています。
近隣の観光施設への波及効果もあり、26万人ほどが訪れたことが判明しています。
徳島市人口がおよそ25万人であるので、阿波おどりのイベントだけで人口の4倍の観光客が徳島市を訪れます。
国際交流協会連やにわか連で参加
徳島市の国際交流協会では外国人観光客でも阿波おどりに参加できる機会を提供しています。
外国人でも参加できる「連」として「TIA(徳島市国際交流協会)連」を編成しており、手軽に阿波おどりに参加できます。
また、無料で飛び入り参加もできる「にわか連」も存在し、まったく阿波おどりの踊り方を知らなくても楽しむことができます。
海外での阿波おどりの活動
日本の徳島発祥の阿波おどりですが、近年は海外でも広まりを見せています。昨年には初めて「世界阿波おどりサミット」が開催されました。
このサミットをきっかけにアメリカ各地にある連が合同で「アメリカ連」を結成するなどの流れも生まれています。
中でも、2011年に結成されたサンフランシスコに拠点を置く「サンフランシスコ阿波っ子連」や、インドネシアのジャカルタにある「キラキラたぬき連」などが有名です。
インバウンドに活用できる取り組み
阿波おどりで実際に取り組まれている各種のインバウンド対策は、基本的なことでありながらも重要なことを抑えています。
多言語対応
阿波おどり会館では外国語対応にも力を入れています。
先ほど紹介した「阿波おどり会館」では、阿波おどりの公演を進行する日本語のナレーションに、英語、中国語、韓国語の字幕が表示される仕組みを導入しています。
また、受け付けには英語や中国語に対応できるスタッフが配置されており、外国人観光客に対する対応力の強化に努めています。
多言語対応とは?インバウンド対策で求められる言語・対応方法・おすすめツールを紹介
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キャッシュレス化への取り組み
徳島市阿波おどりでは、インバウンド対策も兼ねるキャッシュレス化の促進を進めています。
阿波おどりで演舞場の運営を担う「秋田町おどりロード」はインバウンド向けに日本の飲食店の紹介、予約購入、決済、多言語コンシェルジュ事業を展開する「日本美食」との連携を開始し、キャッシュレス化の実証実験を開始しました。
徳島市阿波おどりが開催されるエリアの近隣にある飲食店などに「日本美食」がキャッシュレス決済が可能となるQRコードを設置します。
「アリペイ」や「LINE Pay」などの15種類の決済に対応しており、インバウンドへのホスピタリティの向上が見込めます。
もはや導入しない理由がない?!インバウンド対策にも必須、キャッシュレス決済5つのメリット
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阿波おどりの海外派遣
阿波おどりをはじめとする徳島県全体の知名度を海外で認識してもらうために、阿波おどりの海外派遣事業などが行われています。
台湾の台南市で2018年に開催された「南瀛国際民族芸術祭」において、徳島県の阿波おどり振興協会は選抜メンバーでの連を編成し、約30人を派遣しました。
当日の芸術祭での阿波おどりの披露だけでなく、近隣の小学校での阿波おどり教室を開催し、台湾での阿波おどりへの理解を広めました。
また、香港では昨年に行われた「日本秋祭in香港」の一環で、香港ディズニーランドで阿波おどりを披露しました。
阿波おどりの海外へのPR方法を参考に
阿波おどりは400年以上の歴史を持つ伝統芸能であり、日本各地や世界中に連があります。
徳島市阿波おどりは100万人以上の人が訪れるほどの人気イベントです。
外国人観光客も多く訪れるため、多言語対応やキャッシュレス化などのインバウンド対策も進んでいます。
また、海外へ向けて阿波おどりの理解を促進するために、選抜連の派遣なども行っています。
阿波おどりが取り組むインバウンド対策は、各地の他の伝統芸能や訪日外国人も訪れるようなイベントの現場にも活かせる事例といえます。
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