コロナ禍によって旅行のトレンドは変化し、誰もがコロナ後の観光のありかたについて模索しています。
インバウンド需要が再び戻ってくる時を見据え、自社のビジネスとターゲット市場の分析をいまのうちにしておくことが肝要でしょう。
本記事ではマーケティング戦略の基礎でもある4P分析について、観光文脈での取り組み事例などと共に解説します。
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マーケティング戦略の4P分析とは
4Pとはマーケティング戦略のひとつであり、次の4つの要素が含まれています。
- Product(製品・プロダクト):どのような製品・サービスを提供するか
- Price(価格・プライス):製品・サービスをいくらで提供するのか、どのような手法で料金をもらうか
- Place(流通・プレイス):製品・サービスをどのように提供するのか
- Promotion(販売促進・プロモーション):製品・サービスをどのように提供するのか
また上記の4つの頭文字を取ったもので、「4P分析」とは、これらを組み合わせて分析を行うことを指します。
「Product 」(製品・プロダクト)の分析
第一に「Product」は販売する商品やサービスのことを指します。
消費者にどのような製品・サービスを提供するかを考えます。
したがって、ターゲット顧客のニーズを満たすような製品・サービスを考えることが中心となります。
実際に消費者が利用する物だけでなく、商品パッケージやロゴ、デザインなどについても分析します。
「Price」(価格・プライス)の分析
前段階で商品やサービスが明確になった時点で「Price(価格)」の分析を行います。
価格は、「利益」「需要」「競合」の3つの視点から考える必要があります。
利益 |
「利益をどの程度確保するのか」という視点です。 価格設定の基本的な考え方で「価格=コスト+利益」として捉えます。 |
需要 | 「これはいくらぐらい」という感覚がマーケットにはあり、その価格に納得できる価値が求められます。 |
競合 |
競合の価格を参考にすることもよく使われる視点です。 「価格で勝負するのか」「価格以外で勝負するのか」などを考えます。 |
上記のように、ニーズや競合を調査した上で価格を分析する必要があります。
「Place」(流通・プレイス)の分析
つづいてPlace(流通)についての分析を行います。
商品やサービスの流通方法として、代理店や小売店を経由して販売したり、企業独自の販売チャネルを使うなどの方法が考えられます。
企業のマーケティング活動におけるチャネルは、「流通経路」とそれに携わる業者・組織を指します。
「どんなに良い製品でもチャネルが悪いと売れない」とも言われており、マーケティングの世界では、重要視されている概念の一つになります。
チャネル戦略には、以下の3つがあります。
開放的チャネル |
取引先を限定せずに商品を流通させます。 販売量や販売エリア拡大が期待できますが、販売管理がしづらいというデメリットがあります。 |
選択的チャネル |
自社商品の取引先を限定していきます。 販売量や販売エリア拡大はやや劣りますが、販売管理がしやすくなります。 |
排他的チャネル |
代理店などで販売できる会社を限定します。 販売管理がしやすく、インセンティブなどで代理店間競争を促すことができます。 インターネットなどによるメーカー直販も可能です。 |
上記の通り、実店舗での販売か、ECサイトなどで販売するかどうかも考える必要があります。
また、ターゲットを分析し、それに合わせた販売方法を考える必要があります。
「Promotion」(販売促進・プロモーション)の分析
最後に、Promotion(プロモーション)で商品やサービスの認知について分析します。
適切なプロモーションを行うことにより認知を促進し、売り上げアップに繋げます。
そこには、「マス広告」であるテレビCMや新聞への広告掲載、DMや折り込みチラシの送付などが挙げられます。
STP分析でターゲットを絞るのが効果的
Segmentation(セグメンテーション)Targeting(ターゲティング)Positioning(ポジショニング)の頭文字を取った「STP分析」では、4Pでのマーケティングを行う前にターゲットを絞ることが可能です。
セグメンテーションでは市場の細分化を行い、顧客層のニーズを分析します。
つぎにターゲティングではセグメンテーションで分けた顧客層から狙うべきターゲット層を絞ります。
そして、ポジショニングはセグメント内の競合の商品やサービスを見て自社の立ち位置を分析します。
4P分析で観光を考える
4P分析は観光分野のマーケティングに用いることで、観光客の増加につながるマーケティングや適切なプロモーションに落とし込むことができます。
また、新型コロナウイルスの影響で移り変わる旅行トレンドに合わせた分析を行うことは必須といえるでしょう。
観光における4P分析
観光における4P分析について、三重県の事例を紹介します。
【三重県】「観光振興プラン」と共に「誘客戦略」を策定
三重県では以前に「観光振興プラン」と共に「誘客戦略」を策定しました。
伊勢志摩や世界遺産「熊野古道」を有していますが、それらのProduct(製品)をさらに磨き上げると共に、官民協働で効率的・効果的に観光客を誘致するためです。
首都圏からの誘客を目的としたプロモーション事業では、三重県に対する消費者の注意・関心の醸成を目的に、様々なメディアを組み合わせた情報発信事業を行っています。
例えば
- 女性雑誌への三重県記事掲載
- モニターツアーの募集・結果報告をフリーペーパーで行う(モニター自身にラジオに出演してもらいツアーの様子を語る)
- JRの車内広告
- 大手旅行会社の店頭販促キャンペーン
という取り組みを行いました。
また県内への旅行商品を専門に販売する旅行会社のコンソーシアムを設立した結果(Placeの強化)、徐々に誘客の効果も出始めています。
旅行トレンドも見据えた上で分析する必要性
コロナ禍をはじめ、旅行のトレンドは急激な変化をすることが予想されます。市場のトレンドが変わることでインターネットでの販売が主流になったり、大人数での旅行があまり推進されなくなったりとさまざまな変化が起こります。そのため、市場分析を進め、それに合わせた4P分析を行うことが重要になります。
変化の激しい今後の旅行業界で適切な「打ち手」をさぐるべく、改めて市場分析を進めていきましょう。
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