【グラフでわかる】都道府県別インバウンド訪問者数・宿泊者数・消費額ランキング 消費単価が高い意外な県とは?

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2025年のインバウンド市場は、6月には過去最速で2,000万人を突破するなど活況を見せています。

一方で、インバウンド需要は三大都市圏*に集中している状況にあり、地方部にも訪日外国人を呼び込めるかどうかが引き続き課題として挙げられています。

本記事では、訪日外国人が滞在中に訪れる都道府県や、旅行先における消費動向について、観光庁が発表した2024年のデータをもとに解説します。

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*本記事における三大都市圏は、東京都神奈川県千葉県埼玉県愛知県大阪府京都府兵庫県の8都府県を指します。

都道府県別 外国人訪問者数ランキング:三大都市圏に集中

まず、各都道府県における外国人訪問者数を見ると、1位が東京都(1,446.8万人)、2位が大阪府(1,288.3万人)、3位が千葉県(1,064.9万人)の順となっています。訪問者が三大都市圏に集中していることがわかります。

  1. 東京都(1,446.8万人)
  2. 大阪府(1,288.3万人)
  3. 千葉県(1,064.9万人)
  4. 京都府(974.5万人)
  5. 福岡県(356.1万人)
  6. 奈良県(293.5万人)
  7. 山梨県(255.8万人)
  8. 神奈川県(254.2万人)
  9. 北海道(218.7万人)
  10. 愛知県(189.3万人)
▲都道府県別訪問者数:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より
▲都道府県別訪問者数:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より

都道府県別 外国人訪問率ランキング:同じく三大都市圏が上位に

次に訪問率を見ると、こちらも1位が東京都(48.3%)、2位が大阪府(43.0%)、3位が千葉県(35.6%)となっています。

※訪問率は、ある都道府県の訪問者数÷全体の訪問者数より算出:インバウンド消費動向調査個票データ利用の手引きより。合計すると100%を超えるのは、複数の都道府県に訪問する旅行者が多いため。

  1. 東京都(48.3%)
  2. 大阪府(43.0%)
  3. 千葉県(35.6%)
  4. 京都府(32.6%)
  5. 福岡県(11.9%)
  6. 奈良県(9.8%)
  7. 神奈川県(8.5%)
  8. 山梨県(8.5%)
  9. 北海道(7.3%)
  10. 愛知県(6.3%)
▲都道府県別訪問率:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より
▲都道府県別訪問率:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より

訪問者数のランキングとほぼ変わらず、三大都市圏への訪問率が高くなっていることが分かります。

なかでも東京都大阪府には、約半数の訪日外国人が訪れています。主要空港があり日本の玄関口となっていることや、人気の観光スポットが点在していることから、特に日本に初めて来た人は東京、大阪を訪れることが多いというのはご存知の方も多いかと思います。

都道府県別 外国人延べ宿泊者数ランキング:千葉県の順位が低下

訪日外国人延べ宿泊者数は、1位が東京都(5,680.4万人)、2位が大阪府(2,539.4万人)、3位が京都府(1,693.8万人)となりました。

  1. 東京都(5,680.4万人)
  2. 大阪府(2,539.4万人)
  3. 京都府(1,693.8万人)
  4. 北海道(1,031.2万人)
  5. 福岡県(738.6万人)
  6. 沖縄県(693.9万人)
  7. 神奈川県(442.0万人)
  8. 千葉県(440.8万人)
  9. 愛知県(390.5万人)
  10. 山梨県(255.5万人)
▲都道府県別延べ宿泊者数:観光庁 宿泊旅行統計(2024年年間)より
▲都道府県別延べ宿泊者数:観光庁 宿泊旅行統計(2024年年間)より

宿泊者数も三大都市圏を中心に多くなっているものの、北海道沖縄県といったリゾート地として人気の高い地域も宿泊者数が伸びています。

一方で、訪問者数で全国3位だった千葉県は、宿泊者数では8位に順位を落としています。千葉県は、成田空港を利用して出入国する人によって訪問者数が多くなる傾向にありますが、通過地点としての利用も多いため、宿泊者数は少なくなっていると考えられます。そのため、滞在時間をいかにして増やすのかが鍵となりそうです。

トップ10には入りませんでしたが、訪問者数で17位だった長野県が11位に(234万人)、18位だった石川県が12位に(220万人)に浮上しています。

長野県は、関東の主要都市から比較的近く、訪日客からも人気が高い白馬などのスノーリゾートが点在していることから、宿泊者数が多くなっているとみられます。

また石川県は、2024年3月に北陸新幹線の金沢〜敦賀間が開業したことで、関西圏へのアクセスが向上したことで、関東から関西へ移動する際の中継地点として利用される頻度が高まっていることが要因と考えられます。

都道府県別 訪日外国人総消費額ランキング:人気観光地の北海道・沖縄が上位に浮上

続いて、各都道府県における訪日外国人の総消費額を見てみると、1位が東京都(22,101億円)、2位が大阪府(11,728億円)、3位が京都府(4,824億円)となっています。

  1. 東京都(22,101億円)
  2. 大阪府(11,728億円)
  3. 京都府(4,824億円)
  4. 福岡県(3,410億円)
  5. 北海道(3,262億円)
  6. 千葉県(1,966億円)
  7. 沖縄県(1,907億円)
  8. 愛知県(1,611億円)
  9. 神奈川県(1,094億円)
  10. 山梨県(623億円)
▲都道府県別総消費額:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より
▲都道府県別総消費額:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より

訪問者数に比例して消費額も多くなる傾向がみられるものの、5位の北海道や7位の沖縄県は、訪問者数に対して高い値を示しています。

北海道沖縄県はリゾート地として長期滞在に適しており、さまざまなレジャー施設があることから、宿泊費や買物代が増加し、総消費額が多くなっていると考えられます。

都道府県別 訪日外国人消費単価ランキング:地方部では新潟県・香川県・鹿児島県・宮城県が上位に

都道府県での訪日外国人の消費単価では、1位が東京都(15.3万円)、2位が北海道(14.9万円)、3位が沖縄県(13.0万円)となっています。

総消費額同様に、観光地として人気の高い北海道沖縄県が上位にランクインしています。

  1. 東京都(15.3万円)
  2. 北海道(14.9万円)
  3. 沖縄県(13.0万円)
  4. 福岡県(9.6万円)
  5. 大阪府(9.1万円)
  6. 愛知県(8.5万円)
  7. 新潟県(7.2万円)
  8. 香川県(7.2万円)
  9. 鹿児島県(6.7万円)
  10. 宮城県(6.2万円)
▲都道府県別消費単価:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より
▲都道府県別消費単価:観光庁 インバウンド消費動向調査(2024年年間)より

ここで注目したいのが、新潟県(7位)、香川県(8位)、鹿児島県(9位)、宮城県(10位)です。この4県の訪問者数はそれぞれ、15.6万人(34位)、30.8万人(24位)、18.7万人(31位)、34.7万人(22位)とそれほど多くないものの、1人当たりの消費単価は高くなっているのが特徴です。

なぜこの4県では、消費単価が高くなっているのでしょうか。

新潟県:スノーリゾートが人気を集める

新潟県における消費単価を費目別で見ると、娯楽等サービス費(1.4万円)は47都道府県で最も高くなりました。このことから、レジャーやアクティビティへの出費が消費単価を押し上げているといえそうです。

新潟県は、越後湯沢や妙高といったスノーリゾートが多く、インバウンド客から高い人気を集めています。

香川県:リゾート地・アートのまちとしてのブランディング

香川県は、文化芸術を観光コンテンツとして押し出しており、多くの離島にアート作品が点在しています。美術鑑賞のために島々を周遊する人が多いことから、消費単価が高くなっていると考えられます。

また、訪問者数が30.8万人(24位)とそこまで多くないものの、宿泊者数が90.7万人(19位)となっていることも香川県の特徴といえるでしょう。これは、瀬戸内のリゾート地としてのブランディングが成功していることを示しているといえそうです。

鹿児島県:直行便やクルーズ船で旅行者増?

鹿児島県では、コロナ禍で休止されていた香港航空の定期便が2024年3月末から再開し、消費単価が比較的高い香港からの旅行者増が影響したとみられます。また、クルーズ船の寄港回数も回復しつつあり、鹿児島県を訪れる訪日客が徐々に増加していることが消費単価にも影響しているといえそうです。参照

ただし香港航空は2025年7月より、鹿児島発着の定期便を2025年10月25日まで運休しています。「7月に日本で地震が起きる」という噂が拡散された影響とみられています。参照

鹿児島県の消費単価にも影響が出る可能性もあるため、注視する必要がありそうです。

宮城県:ユニークな観光コンテンツ、受け入れ体制の整備にも積極姿勢

宮城県は、東北最大の都市である仙台を有するほか、日本三景の一つである松島などの観光名所が多く存在します。「世界で唯一キツネを抱っこできる場所」蔵王キツネ村など、ユニークな価値を提供して国内外から支持されるようになった観光コンテンツもあります。

空の玄関口である仙台空港では、香港や台北への路線が好調に推移したことにより、2024年度は開港以来最多の旅客数を記録。また12月には国際線の需要拡大に伴い、バス専用ゲートを新設し、訪日客の利便性向上に努めています。

関連記事:仙台空港が2期連続の営業黒字 2024年度の旅客数は過去最高に

ブランディングや観光コンテンツの醸成などが地方観光のカギに

今回の分析では、すべての項目で三大都市圏周辺の都道府県が上位を占める結果となりました。アクセスの良さや、知名度の高い観光地が集まっていることが要因だと考えられます。

一方で、宿泊者数や消費単価の項目では、地方部が上位に来ているケースが複数あります。その理由として、観光コンテンツの充実や訪日プロモーション施策、直行便の再開・拡大などが考えられます。

地方誘客は引き続き喫緊の課題として挙げられており、さまざまな取り組みが推進されています。大都市圏からの地方誘客を実現する上で、旅マエインバウンドに向けたプロモーション施策や、大都市圏にはない独自の観光コンテンツの磨き上げ・ブランディング、そして直行便をはじめとする交通面の整備が有効といえそうです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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