【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
オフラインマーケティングとは、インターネットを介さない伝統的かつ直接的なマーケティング手法の総称です。例えば、テレビCMや新聞広告、街頭でのチラシ配布、ダイレクトメール、展示会やセミナーの開催などがこれに該当します。
娯楽や買い物、手続きやサービスといったさまざまなビジネスがオンラインでも提供されるようになっています。反対に、インターネットとつながっていない状況はオフラインと表現されるようになりました。
オフラインマーケティング施策とは、インターネットとつながらない媒体やツール、場所を利用したマーケティングです。電話やダイレクトメール、雑誌への折り込み広告、イベント開催などが代表的な例です。
本記事ではオフラインマーケティング施策の概要やメリット、具体例などを紹介していきます。
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オフラインマーケティングとは
オフラインマーケティングとは、インターネットやデジタル技術を介さずに展開される、あらゆるマーケティング活動を指します。
顧客との接点が「オンライン」か「オフライン」かという点で区別され、具体的には以下のような多種多様な手法が含まれます。
- マス広告:テレビCM、ラジオCM、新聞広告、雑誌広告など、広範囲の不特定多数にリーチする広告
- セールスプロモーションツール:ダイレクトメール(DM)、チラシ、ポスティング、パンフレット、カタログなど、手元に物理的に届く印刷物
- 屋外・交通広告:看板、ポスター、デジタルサイネージ(オフライン設置型)、電車内広告、バス広告など、公共の場所や交通機関で目にする広告
- イベント・体験型マーケティング:展示会、セミナー、街頭イベント、店舗での実演販売、サンプリングなど、顧客が直接体験できる場
- テレマーケティング:電話による営業活動や顧客サポート
- その他:FAXDM、地域情報誌への掲載などもオフラインマーケティングの一環
オンラインマーケティングが主流となった現代において、「オフラインの働きかけのみではビジネスの売上を伸ばすことが難しい」という側面は確かに存在します。
しかし、だからこそオフラインマーケティングが持つ独自の価値が際立つのです。たとえば、物理的な接触による信頼感の醸成、五感に訴えかける体験の提供、特定の地域やデジタルに不慣れな層への確実なリーチといった点は、オンラインだけではカバーしきれないオフラインならではの強みと言えるでしょう。
「オフラインマーケティングとは何か」を考える上で重要なのは、単に古い手法と捉えるのではなく、オンラインと補完し合うことで相乗効果を生み出す現代的な戦略として理解することです。
関連記事:ポスティングとは?特定のエリアに確実に情報を届ける広告手法・メリットや向いている業種は?
オフラインマーケティング施策のメリット
ここでは、オフラインマーケティング施策のメリットについてご紹介します。
地域密着型のターゲティングが可能
オフラインマーケティングは、特定の地域やターゲット層に直接アプローチできる点が大きな強みです。たとえば、新聞の折り込み広告や地域限定のフリーペーパーを活用することで、特定のエリアに住む人々に情報を届けることができます。
地域密着型のビジネスや店舗にとって、効率的な集客が可能となるでしょう。また、インターネットを利用しない高齢者層にもリーチできるため、幅広い年齢層への訴求が期待できます。
また物理的にどの程度の空間を占有して情報を露出するのかをコントロールできる点もメリットです。オンライン広告では難しい、地域や年齢層に特化したマーケティングが実現できるのが、オフライン施策の魅力です。
高い信頼性とブランドイメージの向上
テレビや新聞、雑誌などの伝統的なメディアを活用したオフライン広告は、一般的に高い信頼性を持っています。これらの媒体に広告を掲載することで、企業や商品の信頼度を高めることができます。
たとえば交通機関に広告を掲出し、継続的に目にした顧客はブランドに対し好感をいだいてくれるという可能性も期待できます。
また、視覚や聴覚に訴える広告表現が可能なため、ブランドイメージを強く印象づけることができます。特に、新商品やサービスの認知度を高めたい場合には、オフライン広告の活用が効果的です。オンライン広告と比較して、情報の信頼性やブランドの印象を重視する層には、オフライン施策が有効です。
五感に訴える体験型マーケティングが可能
オフラインマーケティングは、実際に商品を手に取ったり、体験したりすることで、五感に訴えるプロモーションが可能です。
たとえば、試供品の配布や店頭でのデモンストレーション、イベントでの体験ブースなどを通じて、顧客に直接商品やサービスの魅力を伝えることができます。
また、実際に体験してもらうことで、顧客の定性的なデータを集めることも可能です。イベントに足を運ぶという行動をすでに起こしていることから、一貫性の原理が働き、リピーターになることも期待できます。
このような体験型のマーケティングは、記憶に残りやすく、購買意欲の向上につながります。オンラインでは得られないリアルな体験を提供することで、顧客との関係性を深めることができるでしょう。
オフラインマーケティング施策のデメリット
オフラインマーケティング施策にはいくつかデメリットもあります。主なデメリットを確認してみましょう。高額なコストがかかる
オフラインマーケティングは、テレビCMや新聞広告、イベント開催など、実施にあたって高額な費用が発生することが多いです。特にマスメディアを利用する場合、広告枠の購入や制作費用が高額になる傾向があります。
また、印刷物の配布やイベントの運営には、人件費や場所の確保、備品の用意といったコストが発生します。こうした費用は高額になることも少なくありません。このような高コスト体質は、予算に限りのある中小企業やスタートアップにとって、大きな負担となる可能性があります。
ターゲットの絞り込みが難しい
オフラインマーケティングでは、ターゲット層を細かく絞ってアプローチするのが難しい場合があります。たとえば、テレビCMや新聞広告は幅広い層に情報を届けることができますが、特定の年齢層や興味・関心を持つ人たちだけに訴求するのは困難です。
そのため、本来届けたいターゲット以外にも広告が届き、効果が分散してしまう恐れがあります。さらに、広告を出しても、対象エリアを通らない人には情報が届かないため、より広い範囲に広告を打つ必要が出てきます。
結果として、広告費が膨らみやすくなり、無駄なコストが発生するリスクも高まるでしょう。
即時性が低い
オフラインマーケティングは、オンライン施策と比較して即時性に欠ける傾向があります。たとえば、広告内容の変更やキャンペーンの調整を迅速に行うことが難しく、一度配布した広告や放映したCMをすぐに修正することはできません。
また、消費者が広告を見てから実際に購入に至るまでのプロセスが長くなることが多く、即効性のある効果を期待するのは難しい場合があります。
効果測定が難しい
オフラインマーケティングでは、施策の効果を正確に測定することが難しいという課題があります。たとえば、テレビCMや新聞広告を見た人が実際に商品を購入したかどうかを追跡するのは困難です。
オンライン広告のようにクリック数やコンバージョン率などの具体的なデータを取得することができないため、投資対効果の分析が不十分になりがちです。このため、マーケティング戦略の改善や最適化が難しくなる可能性があります。
一般的なオフラインマーケティング施策の6つの例
オフラインでのマーケティング施策は、ビジネスの形態によりさまざまに組み合わせて行われています。施策の6つの具体例を紹介していきます。
- マス広告・交通広告・看板広告
- ダイレクトメール
- プリントメディア(折り込み広告)
- POSシステム
- コールセンター
- オフラインイベント
1. マス広告・交通広告・看板広告
マス広告とは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディアに掲載される広告を指します。これらは「四大マス媒体」とも呼ばれ、広く世の中に情報を届けるための有効な手段です。
マス広告は一般的に費用が高額になりやすいものの、多くの人に認知してもらうことができるため、ブランドや商品の知名度を一気に高めたい場合に適しています。たとえば雑誌広告であれば、生活の中でふと目にする機会もあり、何度か繰り返し閲覧されることで印象を強める効果も期待できます。
また、交通広告(電車内の広告)や屋外看板、デジタルサイネージなども、通行人や地域住民にリーチできるオフライン広告の一種です。
特に、実店舗への来店を促したい場合は、ターゲットとなる人々がアクセスしやすいエリアで効果的に宣伝を行うことが重要です。こうした施策は、店舗型ビジネスにとって非常に有効なマーケティング手段といえるでしょう。
2. ダイレクトメール(郵送DM)
ダイレクトメールは、顧客に対して郵便などで商品情報やサービスについての紹介を送付する施策です。現在でも一般的なオフラインマーケティング施策として知られています。ダイレクトメールには、ただ情報を提供するだけでなく、クーポンや割引券、引換券などの送付、来店や注文の際に受けられる特典の提供などによって来店を促している例もあります。
3. プリントメディア(折り込み広告)
折り込み広告や広告は、プリントメディアと呼ばれ、認知拡大や集客を目的に活用されています。
プリントメディアによるマーケティングは、大きく分けると2種類に分けられます。1つはある程度ターゲットを絞ったうえで発信していくもので、もう1つはターゲットを限定せず広いユーザーに発信するものです。
ターゲットを絞った方法では、イベント会場で訪れた人に配る広告やパンフレットなどがあります。ターゲットを限定せずに発信する方法には、新聞に付属している折り込み広告や、街頭での広告などがあります。
4. POSシステム
POSシステムは、消費者が購入した「商品」「時間帯」「価格」「個数」と「消費者の属性」のデータを集積するシステムです。会計の際に利用し、購入者の性別や当日の天気といったデータの記録もできます。
POSシステムで集積したデータは、商品を売るための工夫につなげることができます。時間帯や季節による変動はあるのかを把握したり、どのような属性に訴求すればよいのか説を立てたりするのに活用します。
5. コールセンター
コールセンターの強みは、オペレーターや専門の人が1対1で対応できる点です。
実際に対応できるため丁寧さや誠実さによる信頼度が高い上に、サービスや商品を正しく理解してもらうための提案が的確に行えます。
6. オフラインイベント
イベント開催にあたっては人手や費用、場所の確保などの手間が発生しますが、通行する人に対して認知拡大を図ったり、その場で購入してもらえたりといったメリットがあります。その場でコミュニケーションを取ることができ、商品やサービスに対する評価や感想を、評価者の言葉で入手できるのもメリットの1つです。
施策の成果を高めるオンライン施策との組み合わせ
オフラインだけに取り組むのではなくオンライン施策と組み合わせることで、さらなる効果が期待できる例もあります。
ここではオフラインマーケティングを応用したさまざまな方法について紹介します。
O2O:オンラインとオフラインの行き来を促す
O2OとはOnline to Offlineの略称で、オフラインとオンラインを切り離して考え、双方の行き来を促すマーケティング施策のことを表しています。O2Oの施策の例として、ネットでクーポンの配布をして実店舗で使用してもらう方法があります。
大手ファッションブランドであるユニクロでは、スマートフォン向けアプリをダウンロードすると店頭で使用できるクーポンを配布しており、店舗検索や在庫確認としても利用できるサービスを提供しています。
このように、オンライン施策から実店舗への来店を促進することもできます。
関連記事:O2Oとは?意味や事例、オムニチャネルとの違い、マーケティングでの施策を解説
OMO:オンラインとオフラインを融合させた顧客体験
OMO(Online Merges with Offline)は、「オンラインとオフラインを一体化して捉える」マーケティング施策です。顧客は多くの場合、商品を購入する場所や、情報収集する場所について、店舗など実在の空間なのか、あるいはネット空間なのかといった点で優劣をつけなくなってきています。
こうした顧客の価値観を前提に、顧客にオンラインとオフラインをスムーズに行き来してもらえる状態であるOMOが提唱されるようになりました。
顧客にとってストレスのない消費体験が提供できるので、ブランドに対する好印象を形成することにもつながるでしょう。
オムニチャネル:どの経路でも顧客にスムーズに購入してもらえる形態
オムニチャネルとは、SNSやECサイト、実店舗など、複数の窓口で顧客に商品やサービスを提供することです。
オンラインでの消費によりメリットを見出す消費者は、実店舗を商品を手に取って確認するための場所ととらえ、購入はオンラインストアやECモールで済ませるというケースが増えています。こうした状況は店舗のショールーム化とも呼ばれます。
オムニチャネルによって、消費者がオンラインで商品を購入すれば、店舗での販売減少を補うことにもつながります。
オンラインで購入してもらうためには、消費者が接触するさまざまなオンラインサービスに、ストレスなく利用できるチャンネルを用意することが重要です。たとえば各チャンネルごとにユーザー登録が必要な場合、顧客はストレスを感じ購入を断念する可能性があり、避けるべき設計といえるでしょう。
関連記事:オムニチャネルとは?マルチチャネルと違いやメリット、成功のポイントを紹介
オフラインマーケティング施策を活用して集客に役立てる
オンライン全盛の時代においても、オフラインマーケティングは決して過去のものではありません。
むしろ、顧客とのリアルな接点を通じて深い信頼関係を築き、五感に訴えかけることで強力なブランド体験を提供できる、可能性に満ちた戦略です。
特に、地域密着型のビジネスや、特定の年齢層・ライフスタイルを持つターゲットへのアプローチ、そしてオンラインでは伝えきれない商品の魅力を訴求する際には、その真価を発揮します。
「オフラインマーケティングとは何か」を正しく理解し、その上でオンラインマーケティングと効果的に組み合わせることで、マーケティング効果は飛躍的に高まります。O2OやOMOといった概念は、まさにその融合を体現するものです。
今後のマーケティング活動において、
- 自社のターゲット顧客は、オフラインのどの接点で情報を得ているのか?
- オンラインの施策を補完・強化するために、どのオフライン施策が有効か?
- オフラインで得た顧客接点を、どのようにオンラインのエンゲージメントに繋げるか?
といった視点を持ち、戦略を練ることが重要です。
オフラインマーケティングの持つ力を最大限に引き出し、ビジネスを成長させましょう。
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