• ハイシーズンは7月と12月、この2か月で全体の約20%を占める
    • 訪日香港人の約9割は個別手配旅行、団体ツアーは少なめ
    • 驚異の高リピーター率「87.8%」

インバウンドにおける香港市場の特徴とは

訪日香港人数は2019年には約229万人で、コロナ後の2023年には約211万人となっています。2023年、訪日香港人は一人あたり22万7,160円を訪日旅行時に使っています。訪日香港人のインバウンド市場で特筆すべき点は「7月と12月の訪日数の多さ」「個別手配旅行の多さ」「リピーター率の高さ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

訪日香港人インバウンド市場、3つの特徴を解説

1. ハイシーズンは7月と12月、この2か月で全体の約20%を占める

コロナ前、訪日香港人が最も増加するのは7月と12月でした。7月は香港の学校などが夏季休暇に入るため、家族旅行に来る香港人が多いようです。

また、冬でもあまり気温の下がらない香港では日本の冬を体験したい香港人が多く、年越しを日本で過ごしたり、雪や温泉、スキーなどを楽しんだりするために、香港人が多く来日しています。

7月と12月の訪日香港人は訪日香港人全体の約2割を占めるため、訪日香港人向けのインバウンド対策をする場合は7月と12月を特に意識すると良いでしょう。

2. 訪日香港人の約9割は個別手配旅行、団体ツアーは少なめ

2023年第3四半期では、訪日香港人の88.9%は個別手配旅行で訪日しており、これに個人ツアー向けパッケージ商品を合わせると約93.6%となります。

団体ツアーで訪日する香港人は全体の6.4%とごく僅かなため、インバウンド対策としても個人旅行者をターゲットにすることが最適だと考えられます。

個人旅行者は自由度が高く、現地でのコト消費にも興味を持つ場合があるため、例えば広東語を話せる従業員を配置する、難しければ広東語での案内を掲示するなど、香港人の受入環境整備が重要となります。

3. 驚異の高リピーター率「87.8%」

2023年第3四半期では、訪日香港人のリピーター率は87.8%と、調査対象の20か国の中で最も高くなっています。

この数字は、香港と日本は比較的距離が近く気軽に行けることや、金銭的な負担もそれほど多くなく日本に遊びに来られること、香港における観光庁などのプロモーションが功を奏していることなどに起因しているといえます。

コロナウイルスの影響が収まり、「久しぶりに日本に行きたい」という香港人旅行客の、いわゆるリベンジ旅行需要をとらえることが重要になりそうです。

香港人の特徴

香港人の性格・国民性

香港は東京都の半分程度の面積に人口と経済が密集している都市国家です。常に動きの早い社会で生活をしている香港人はある意味せっかちで、愛想が無いと思われてしまう部分もあるかもしれません。合理的で能力主義の考え方を持っている人が多く存在します。

しかし、香港人は家族や友達を大切にするため、一旦仲良くなると朗らかに心の内側を見せてくれることも香港人の特徴です。男性は女権社会と言われる台湾以上にレディーファーストで、優しく気配りのできる人が多くいます。一方女性はプライドが高く気が強いため、日本人からすると高飛車で近づきにくいと思う人もいるかもしれません。香港の社会では女性の地位がとても高く見なされているので、男性は女性に尽くす、という文化が根付いています。社会においても女性経営の会社が多く存在します。

香港人と接するうえで気を付けておきたいマナー

香港人には、中華文化の中で生活しているため中国人と同じく世間に対する体裁「面子」を大事にする人が多く存在します。人前で相手を侮辱したり、社会的地位に影響を与える行為は冗談でも慎むべきだと言えます。

しかし中華文化とは言え、多くの香港人は香港人としてのアイデンティティを持っているため、香港人に対して「中国人」、香港を「中国」と言う行為は一番やってはいけないことです。特に2019年6月頃からは逃亡犯条例に関連した抗議行動が活発に行われているため、政治的に敏感な状況が続いています。また、香港人向けに中国語の資料を作成する際には簡体字ではなく繁体字を用いるようにしましょう。

食事の際には、茶碗以外のお皿は持ち上げず、箸を置く際は縦に置きましょう。また、宴会は2時間以上に渡り行われる場合が多く、最後はある程度の食事を残して帰ることが礼儀正しい所作とされています。

香港人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、香港は2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち6位となっており、高い親日度を持っていることが分かります。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、香港には2015年時点で70校の日本語教育機関と523人の日本語講師が存在し、22,613人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2018」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査

香港人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

香港はAndroidがiOSより人気ですが、それでもiOSが約46%のシェアを持っています。これは香港の給与水準が世界的に見ても高レベルであり、iPhoneを購入する金銭的余裕のある香港人が多いことが原因と言えます。

また、人気のSNSアプリはiOS・Android共にTelegramがランクインしています。Telegramは通信内容を暗号化できるため、中国政府の検閲から逃れる手段として多くの香港人に利用されています。

FacebookやWhatsAppも香港では制限なく接続できるため、多くの香港人が利用しているようです。中国とやりとりをするためにWeChatアカウントを持っている香港人も多いため、AndroidではWeChatが第2位となっています。

香港のイベント・祝日カレンダー(2022年・2023年)

2022年2023年
元日1月1日(土)1月1日(日)
農暦新年(旧正月)2月1日(火)1月23日(月)
農暦新年(旧正月)2月2日(水)1月24日(火)
農暦新年(旧正月)2月3日(木)1月25日(水)
清明節(先祖の墓参りの日)4月5日(火)4月5日(水)
キリスト受難節(グッド・フライデー)4月15日(金)4月7日(金)
キリスト受難節翌日4月16日(土)4月8日(土)
復活節月曜日(イースター・マンデー)4月18日(月)4月10日(月)
労働節(メーデー)5月2日(月)5月1日(月)
仏誕節(釈迦誕生日)5月9日(月)5月26日(金)
端午節6月3日(金)6月22日(木)
香港特別行政区成立記念日7月1日(金)7月1日(土)
中秋節翌日10月1日(土)10月2日(月)
国慶日(建国記念日)10月4日(火)10月23日(月)
重陽節10月4日(火)10月23日(月)
聖誕節(クリスマス)後の最初の平日(ボクシング・デー)12月26日(月)12月26日(火)
聖誕節(クリスマス)12月27日(火)12月25日(月)

(参照)日本政府観光局(JNTO) 訪日旅行データハンドブック 2022年より

香港の歴史

香港区域では紀元前39,000年頃より旧石器時代文化が確認されています。中国大陸王朝の支配を受けるようになったのは紀元前214年頃で、清朝になるとアヘン戦争がきっかけでイギリスとの戦乱の舞台となります。

1842年、香港島はイギリスに永久割譲され、1898年には新界地域も99年の期限付きでイギリスに租借されました。イギリス統治下ではイギリス人の入植が進み、文化もイギリス様式に改められました。その後香港は一大都市として発展しますが、1941年には第二次世界大戦の影響で日本軍が侵攻し、今までイギリスが統治していた区域は全て日本の統治下となりました。その後第二次世界大戦の終了と共に香港はイギリス領に戻り、冷戦時代には中華人民共和国と西側世界を繋ぐ唯一の窓口として香港は重要な役目を担いました。

1997年、租借期限の99年を迎えた新界と本来は永久割譲であった香港島は中華人民共和国に移譲され、中華人民共和国は2047年までの50年間は香港における自由を保障し、一国二制度の下に中国本土とは異なる民主主義の地として香港を認めました。

しかし香港政府は親中派で占められるようになり、形だけとなったと言われる選挙に多くの香港市民が不満を募らせ、幾度の抗議行動を経て2019年には逃亡犯条例の撤回を求めて200万人以上の香港市民が抗議を行いました。香港政府と中華人民共和国側は強硬姿勢を見せており、2020年5月中国の全国人民代表大会で香港に「国家安全法」を導入するなど、現在も香港は極めて不安定な状態となっています。

香港宗教観

香港は中国本土とは異なり、現在は信仰の自由が保障されています。主に信仰されているのは仏教、道教、儒教ですが、イギリス系移民を中心としてキリスト教、マレーシア系移民を中心としてイスラム教も信仰されています。街中には廟、寺や教会が点在し、人々の憩いの場となっています。

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