平成28年8月17日の発表によると、国土交通省は訪日外国人観光客の「手ぶら観光」を推進するため、整備や機能強化をおこなう民間事業の2次募集を行っています。認定された事業には国から経費の1/3が支給される予定です。これから整備が進んでいくであろうインバウンド対策「手ぶら観光」。一体どのようなシステムなのでしょうか?
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「手ぶら観光カウンター」で荷物を受託後、訪日外国人観光客の目的地へ発送:身軽な観光、移動が可能に
「手ぶら観光」とは文字のごとく訪日外国人観光客が旅行時、荷物を持たずに観光することを指します。そして、この手ぶら観光を実現するために必要なのが「手ぶら観光カウンター」。このカウンターは訪日外国人観光客がスーツケースなどの手荷物を預けたり、ホテルや空港などに配送したりする際に使用されます。
「手ぶら観光」の大まかな流れとしては、
- 荷物を空港や主要駅などに設置してある「手ぶら観光カウンター」に預ける。
- 「手ぶら観光カウンター」からホテルなど訪日外国人観光客の目的地へ発送。
- 訪日外国人観光客は重たい荷物を持ち運ぶ必要がないため、訪日外国人は身軽に観光、移動が可能。
- 当日中に訪日外国人観光客の指定した目的地にて荷物を受け取り。
と、いたってシンプルなシステム。慣れない日本の交通機関、大きな荷物を抱えて移動する疲労を考えると訪日外国人観光客にとっては良いシステムなのではないでしょうか?
今年度末までに観光カウンター数を倍増させる計画:地方でのインバウンド消費の増加も目指す
国土交通省の発表によると、政府は平成28年度末までに手ぶら観光カウンター数の倍増を目指す計画を立てています。東京五輪開催時までには手ぶら観光カウンターを全主要交通結節点に設置することも発表しました。
また、これにより
- 訪日外国人旅行者が大きな荷物を持って移動する負担の軽減
- 観光地におけるコインロッカーや移動交通機関における荷物置き場等の不足への対応
- 安全で確実な日本の優れた宅配サービスを世界へアピール
の3つが実現するとしています。さらに、手ぶら観光を地方へ浸透させることにより、訪日外国人観光客の地方観光や地方での消費を後押しするインバウンド効果も期待されています。
訪日外国人観光客の荷物取り扱いに関する既存のインバウンド対策
それでは、荷物取り扱いにおけるインバウンド対策に関し、今まで企業、自治体、政府はどのようなサービスを行っていたのでしょうか?いくつかの例を確認してみましょう。
観光庁による共通ロゴマークの作成:手ぶら観光カウンターの拠点を明確化
観光庁は「手ぶら観光カウンター」のサービス拠点をわかりやすくするために共通ロゴマークを作成しています。このロゴマークは去年7月28日より導入されており、これまでに全国の80か所において採用されています。訪日外国人観光客にもわかりやすいように手ぶら観光の英語名称が添えてあり「和」を感じるデザインに仕上がっています。
ヤマト運輸:訪日外国人観光客向けの荷物配送サービスを開始、言語対応も充実
ヤマト運輸は中部国際空港(別名:セントレア)と共同で「SAME DAY BAGGAGE DELIVERY」という訪日外国人観光客に向けた配送サービスを行っています。空港から、愛知県、岐阜県、三重県のホテル・旅館へ荷物を発送。午前11時までの受付で当日中(18~21時)に手荷物の配送が行われています。このサービスによりコインロッカーを探す手間を省くことも可能となっています。言語面では英語・中国語・韓国語3か国語に対応。英語併記の専用送り状も用意してあり、作成時もサポートしてくれます。
佐川急便:配送サービスの他、手荷物預かりサービスにも対応
佐川急便の観光サポートサイト「東京手ぶら観光のススメ」を確認してみましょう。佐川急便では、「手ぶら観光」に関するものとしては主に先ほど紹介したヤマト運輸と同様のサービス「ホテル即配」、「空港受け取り」のほかに「手荷物一時預かりサービス」の3つを提供しています。前者2つの宅配サービスにおいては、東京駅、浅草、東京スカイツリー付近のサービス拠点から東京23区内へのホテル、または成田空港、羽田空港への手荷物を配達が行われています。11時までの受付で当日中に配達完了の模様。手荷物預かりサービスは大きな荷物から小さな荷物まで一律料金で預けることができます。また、全サービスにおいて英語・中国語・韓国語へも対応。
企業・自治体による訪日外国人観光客への「手ぶら観光」促進の対策も:現状ではほぼ大都市圏のみでのサービス
このように多くの運輸会社、そして政府が訪日外国人観光客への観光時での利便性向上のためのサービスを開始していることがわかります。しかし、現状ではほとんどが大都市圏のみのサービスとなっています。
今回リリースされた国土交通省の資料には、平成28年7月26日時点での手ぶら観光カウンターの設置個所の分布地図が添付されています。これによると東京都と大阪府の二大都市圏に「手ぶら観光カウンター」が集中していることが見て取れます。現段階では地方まで荷物配達、預かりサービスが行き渡っているとは言い難く、訪日外国人観光客からすると地方での手ぶら観光は難しいかもしれません。こういった背景を踏まえて、地方における手ぶら観光カウンターの整備を進めることによる訪日外国人観光客の地方訪問の増加、そこから生まれるインバウンド収益が国土交通省の狙いです。
まとめ:地方まで行き届く手荷物配送・受託サービスの普及が課題 国交省の支援事業募集はその解決策になるか
今回の国土交通省の手ぶら観光カウンターの整備・機能強化に要する経費の支援は地方における「手ぶら観光カウンター」の普及率の低さの改善に良いきっかけになりうるでしょう。ヤマト運輸、佐川急便など大手運搬会社による既存の手荷物配送・受託サービスのような試みが地方においてインバウンド効果を生み出すことが期待されます。
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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