訪日外国人観光客の出入国審査をスムーズに! 関西国際空港などに導入されたバイオカートとは?

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年々、活況を極めるインバウンドビジネス。増加を続ける訪日外国人観光客に対応すべく、空港ではよりスピーディーに入国できる仕組みづくりが進められており、平成28年(2016年)10月1日から、関西国際空港で「バイオカート」の運用が開始しました。これにより、入国審査の平均最長待ち時間が平成27年(2015年)の38分から、20分以内にまで縮小することが期待されています。

「バイオカート」とはいったいどのようなものなのでしょうか。また、入国トラブルに発展する可能性は? 今回は、空港で行われている新たな取り組みについてご紹介します。

 


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訪日外国人観光客などの入国審査時間を縮小する「バイオカート」とは?

入国審査ブースに入る前に個人識別情報を取得

実際に関空でバイオカートを利用する訪日外国人観光客:tokyo-np.co.jpより引用

実際に関空でバイオカートを利用する訪日外国人観光客:tokyo-np.co.jpより引用

バイオカートとはカメラ、指紋読取機を搭載した機材のこと。入国審査ブース前で訪日外国人観光客などが並ぶ時間を利用して、パスポート情報、指紋情報、顔写真などを取得するために活用。データは入国審査ブースに送られ、入国審査官が本人確認を行います。つまり、入国審査の過程を「個人を識別するための情報を揃える」「情報を確認し、上陸許可を出す」という2ステップに分割する役割を果たし、入国審査ブースの利用時間を省いてくれるというわけです。

総務省入国管理局はかねてより訪日外国人観光客の急増を受けて、平成28年(2016年)10月1日から導入することを明らかにしていました。今回の運用開始は、予定通りの動きです。バイカートは関西国際空港のほか、那覇空港や審査を行うスペースが狭い高松空港に導入されており、合わせて人員や審査ブースの増加なども行われる見込みです。

同様の役割を持つ「自動化ゲート」も対象となる外国人の条件を緩和

入国審査をスムーズにする同様の目的を持つ取り組みとして挙げられるのが、「自動化ゲート」。関西国際空港はすでに海外に行く日本人向けに開放しており、「スマート旅」と表現をしています。

仕組みはバイオカートとよく似ており、専用の端末でパスポート、指紋情報の提供を行います。これらの情報を事前に登録しておいたパスポート、指紋情報と照合し、問題がなければ出入国することができます。

関西国際空港によれば、利用前の登録作業には5分程度しかかからないうえ、1度登録を済ませてしまえば、自動化ゲートをを有する国内のすべての空港(成田空港羽田空港中部空港、関西空港)でも有効。従来の出入国方法より、圧倒的にスムーズだと言えるのではないでしょうか。通信不良などのトラブルの発生が報道されたこともありますが、おおむね問題なく作動しているようです。

自動化ゲートは外国人にも適用されており、再入国許可が与えられている中長期在留者のみ利用することができます。平成28年(2016年)11月1日からは、さらに対象を拡大する「トラスティド・トラベラー・プログラム」が実施される予定。同プログラムで利用許可が与えられる外国人の条件は以下の通り。

  • 「短期滞在」の在留資格で入国する外国人ビジネスマンなど
  • 過去に一定回数の来日歴がある
  • 退去強制歴がない
  • 入国管理局に申請して、法務大臣が交付する「特定登録者カード」を取得する

対象となっているのは、日本をたびたび訪れている外国人ビジネスマンなど。これらの条件に該当する訪日外国人観光客が現れる可能性は低いと考えるのが自然でしょう。

 

バイオカート、自動化ゲートによるテロのおそれは?

さて、出入国管理がテーマになると必ず話題になるのがテロリストや犯罪者の違法入国の問題。実際、すでに諸外国で行われているとはいえ、先進的な取り組みであることに違いはなく、日本では盛んに議論が行われています。バイオカートの導入について、法務省入国管理局は以下のように述べた資料を公開しています。

バイオカートには個人識別情報の取得作業を行う「操作補助員」が存在するのですが、これは国家公務員ではなく、民間企業の人材が担当。そうすると公権力とは無関係な人間が、テロ対策に関する情報に触れることになります。

出入国審査はいわゆる「水際対策」の重要な拠点であるため、こういった問題には極めて敏感です。入国管理局は「バイオカートの導入に伴う補助業務のほかに、出入国審査業務に関して民間委託を可能とする具体的制度として想定できるものは見当たらない」としており、不正入国の民営化のギリギリ可能なラインとして「操作補助員」を捉えています。

自動化ゲートはどうでしょうか。この導入の検討は以前から行われており、実証実験も行われています。平成19年(2007年)末には特別永住者などを除く外国人は指紋、顔写真の個人識別情報(指紋,顔写真)の提供することが義務付けられており、生体認証の活用が進められました。しかし、今後、どうなるのか……というと難しいところです。「トラスティド・トラベラー・プログラム」でも対象となる外国人は極めて限定されており、慎重な対応を行っています。

 

まとめ:日本の安全に考慮しつつ、外国人の出入国管理をスムーズに

10月1日から那覇空港、関西国際空港、高松空港で「バイオカート」が導入されました。これは指紋、顔写真、パスポートなどの情報を入国審査ブースの前で取得することで、入国審査にかかる時間を削減する狙いがあります。増加を続ける訪日外国人観光客への対応には不可欠な存在と言ってもよいでしょう。

また、11月1日から自動化ゲートが利用できる外国人の範囲も拡大される予定です。犯罪者、テロリストの入国が懸念されますが、この点については検討が進められており、安全性についての考慮をしたうえでの慎重な導入が行われています。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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