地方自治体&DMOはどうやってSAVOR JAPANをインバウンドに活用すべきなのか？

SAVOR JAPANとは日本の農林水産省が管轄する認定制度のことで、日本各地にある伝統的な食文化を訪日外国人に対して紹介する際の基準として策定されました。

「農泊」と呼ばれる農山漁村滞在型旅行を推進し農林水産業や伝統文化の魅力を伝えようしているかどうかなどを基準に農林水産省が自治体や地域をSAVOR JAPANに認定しています。 これにより増加傾向にあるインバウンドを日本の食文化で地方に呼び込み、地方創生と農水産物の消費拡大につなげようという思惑があります。

この認定制度によって、認定を受けた自治体や地域は郷土料理や地域に根付く文化のブランド力向上が見込め、地方の活性化や文化継承の促進、地域産業の振興などにポジティブな影響があります。 2018年に制度が開始され、2020年までに全国31の自治体や地域が認証されており、認証された地域間での交流も始まっています。

本記事ではSAVOR JAPANに登録された地方自治体やDMOがどのようにインバウンドに活用しているのかについて実例を紹介しながら解説します。

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栃木県「大田原グリーン・ツーリズム推進協議会」のSAVOR JAPAN活用事例

栃木県の北東部に位置する大田原市は2020年にSAVOR JAPANに認定されました。

大田原市は栃木県県内でも農業が盛んな地域で、稲作の作付面積では関東一を誇ります。 新幹線で東京から70分という好アクセスでありながら、日本の田園地帯の原風景や農業体験ができるという特徴があります。

SAVOR JAPANには精進料理であった「けんちん汁」や栃木県を中心として食べられている伝統的な保存食である「しもつかれ」、米どころ大田原で生産されたお米と那須連山で磨かれた伏流水で作られた地酒などがなどが紹介されています。 また地域を挙げた農業体験や農泊体験の普及に力を入れており、大田原市が全面出資・設立した「株式会社大田原ツーリズム」が事業全般の運営を行い、学校や企業などの団体、個人からの体験申し込みを受け付けしコーディネートしています。

この事業を大田原市の農協や行政、観光協会で構成する「大田原グリーンツーリズム推進協議会」が支援する形になっており、インストラクターの育成や団体を横断した協力体制の構築が進めています。

大田原市では官民一体となった農業体験・農泊体験などのグリーンツーリズムの振興を図っています。

新潟県「十日町市食と農の景勝地推進委員会」のSAVOR JAPAN活用事例

十日町市は新潟県の南部に位置する自治体で、新潟県の米どころとしても有名です。 新潟県の豪雪地帯である十日町市は、豪雪地帯ならではの伝統食と文化が発展しており、2017年にSAVOR JAPANに登録されました。

十日町市には豪雪地ならではの農業 と地場産業である「きもの産業」の 融合で生まれた 「へぎそば」のほか、自然豊かな山でとれる山菜やジビエを使った貯蔵食等の「雪国の伝統食」が有名です。 SAVOR JAPANには十日町市名物の食文化ときもの産業、そしてそれらを生み出した厳しい自然の結びつきが紹介されています。

十日町市には豪雪と共生するための文化が今なお残っており、その文化をグリーンツーリズムで体感できます。

SAVOR JAPANへの登録で、十日町市は本格的にブランドの整備を始めており、今後農業ときもの産業をPRしながら「農泊」の拡大を進め、国内需要のみならずインバウンド需要の獲得に向けても取り組みを加速させるものとみられます。

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