航空・空港はどうやってインバウンドにおいて地方誘致・地方創生に取り組むべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、航空・空港が地方誘致・地方創生によってインバウンド集客で成功する事例が増加しています。都心部での訪日外国人受け入れのノウハウをそのまま持っていって成功する場合もあれば、地方ならではの特色を活かしたり、個別の取り組みが評価されている事例もあります。
このページでは、航空・空港の地方誘致・地方創生のインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
航空・空港×地方誘致・地方創生事例その①:日本航空(JAL)とトリップアドバイザーが協業
- 航空・空港×地方誘致・地方創生事例その②:JALグループ地域活性化の取り組み「JAL 新・JAPAN PROJECT」
航空・空港×地方誘致・地方創生事例その③:仙台国際空港は着陸料の引き下げや施設サービス拡充を強化し旅客数が約1.7倍に
地方誘致・地方創生のためのインバウンド集客やインバウンド対策においては、業界・業種やターゲットとする国籍によってかなりその内容が様変わりします。例えば、中国出身の訪日外国人には人気の観光地が、台湾出身の訪日外国人には人気ではなかったり、その消費動向が異なっていたりすることがあります。またこういた訪日外国人の国籍とは関係ない共通の手法が、色々な国からの訪日外国人にしっかりと効果がある場合もあります。
ここでは、航空・空港という業界・業種における地方誘致・地方創生の各社の事例を元にして、効果的な地方誘致・地方創生を活用したインバウンド対策やインバウンド集客のケーススタディーをしてみます。それでは見ていきましょう。
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「インバウンドコンサル」の資料を無料でダウンロードする「広告運用」の資料を無料でダウンロードする「展示会出展サポート」の資料を無料でダウンロードする日本航空(JAL)とトリップアドバイザーが協業
2017年、日本航空(JAL)とトリップアドバイザーが協業し、訪日外国人の国内旅行需要を喚起すると発表しました。その取り組みのひとつとして、日本航空株式会社とトリップアドバイザーは東京オリンピック開幕となる2020年に向けて訪日外国人の増加、インバウンド市場の拡大が見込まれることから、トリップアドバイザーのサイト上に新たなウェブサイト 「Untold Stories of Japan(知られざる日本)」を開設。
この日本特集サイトで日本の知られざる魅力を発信することで、訪日外国人の国内線を利用した国内旅行を喚起することを狙っています。トリップアドバイザーのユニークセッションデータによると、世界の旅行者の日本への関心は年々高まっており、日本関連ページの閲覧者は過去4年間に、毎年平均30%の増加を見せているといいます。
しかし、その閲覧先はすでに認知度の高い日本の観光のゴールデンルートと言われる東京・大阪・京都といった都市圏に偏っています。そこで今回、新たに構築する日本特集サイト「Untold Stories of Japan(知られざる日本)」では、まだあまり知られていない日本の魅力的な各地域、都市、施設に焦点を当て、日本政府も課題としている地方へのインバウンドの誘致に力を入れる狙いがあるようです。
JALグループ地域活性化の取り組み「JAL 新・JAPAN PROJECT」
JALグループ地域活性化の取り組み「JAL 新・JAPAN PROJECT」 2015年、JALグループは、これまでの地域コラボレーション企画“JAPAN PROJECT”を進化させ、「観光振興」と「農水産物」をテーマとした 「JAL 新・JAPAN PROJECT」を立ち上げ、地域と一緒に「地方の元気」をスタート。
「JAL 新・JAPAN PROJECT」では、従来の地域プロモーション中心の活動に留まらず、旺盛な訪日外国人需要や国内の観光需要を地方に呼び込む取り組みに力を入れています。
人やモノの流れが地域の経済を活性化し、さらには、雇用の創出にも繋がって地方が活気づくような良い循環づくりをお手伝いしたいという思いからスタートし、JALが地域と一緒になって、「地方の元気」をつくっていこうという取り組みです。
【観光振興】 ~前年比約50%の伸びを示す訪日外国人を地方へ~ ◆「観光振興」では、単に情報発信に留まらず、これまで当社が手掛けてきた「JALホノルル マラソン」や「JALスカラシップ」のように、地域に人を集めたり、人財交流を促す企画の立案・運営ノウハウなどを活かし、国内外から足を運びたくなるような地域の魅力を地元と一緒になって開発・PRしていきます。
◆羽田空港政策コンテスト枠で配分を受け増便した羽田=山形線は、地元自治体との連携・ 協力の結果、増便前と比べて、お客さまの人数が260%に増えました。こうした地方との協業の取り組みを、観光開発にも発展させ、前年比約50%の伸びを示す訪日外国人需要のさらなる創出に繋げてまいります。
◆11月には、台湾と青森・秋田を結ぶ国際線チャーター便を運航し、海外からのお客さまを首都圏を経由せずに直接地方へご案内する取り組みも進めます。
◆国内線・国際線合わせて年間約4,000万人のお客さまや2,700万人のJALマイレージバンク会員ほか、さまざまなお客さまを対象に、世界26地域で展開している「JAL Guide to Japan」など、JALが持つコミュニケーションツールを最大限活用して、国内のみならず海外に対しても、いっそう効果的な地域プロモーション活動を推進
地方が元気になることによって、新たな航空需要が創出され、私たち航空会社の事業にも繋がってまいります。JALグループは、オリンピック・パラリンピック後も継続して取り組むべき長期的課題として、「企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献する」という企業理念の下、日本の地域の活性化・「地方の元気」を目指しています。
仙台国際空港は着陸料の引き下げや施設サービス拡充を強化し旅客数が約1.7倍に
仙台空港(宮城県)は、東京急行電鉄など7社が設立した運営会社の仙台国際空港は着陸料の引き下げや施設サービス拡充などの施策を次々と打ち出し、格安航空会社(LCC)などの誘致が加速して国際線の旅客数が約1.7倍に膨らんでいます。
仙台空港の成果を受け、全国で空港民営化を目指す動きが活発化しており、地方活性化の効果が期待されています。
仙台空港は民営化後、観光地などと結ぶ高速バス路線を開設、駐車場予約サービスも始めるなどアクセスを強化。ターミナルビルで利用客が快適に過ごせるよう大手カフェチェーンの店舗を誘致し、地元物産品の販売所の充実も図っています。
旅客数などに応じて着陸料が割引される制度も導入。2016年6月からは台湾のLCC・タイガーエア台湾が週4便を運航がスタートし、同年7月1日にはスカイマークも神戸線を再開。LCC専用棟の整備も計画しており、震災で落ち込んだ年間旅客数を5年間で約90万人増やす目標を掲げています。