ドラッグストアはどうやってインバウンドにおいて地方誘致・地方創生に取り組むべきなのか?
訪日外国人にとって日本で購入したいと思う商品の多くがドラッグストアに存在するのはご存じでしょうか?その中でも特にアジアからの訪日外国人にとって日本のドラッグストアは、化粧品、市販薬、おむつなど、アジアからの訪日外国人にとっては自国で購入するより品質が良く信頼性があるということで、自分用に、家族友人へのお土産に、はたまた大量に仕入れて本国で転売目的でといった形で利用されています。
<また台湾や中国においては>、日本のドラッグストアで販売されている市販薬や化粧品に関しての専門書によってこうした消費が拡大した背景もあります。中でも台湾のドラッグストア研究家の書いた購入ガイド書は、台湾、中国ではベストセラーとなり、一時期の「爆買い」ブームを生み出した一因だったとも言えます。これはやはり日本の化粧品、市販薬が本国の商品に比べて圧倒的に品質が良いこと、現地で買うよりも大幅に安いことなどの背景があります。<特に市販薬に関しては日本よりも暑い台湾では>、虫刺され薬が人気であり、その他胃腸薬、目薬、熱さまシートなど様々なものが、「効き目が良い」、「パッケージが薬に見えない」、「台湾や中国では市販品に添加してはいけない成分が含まれているものがある」などの理由で高い人気を誇ります。もちろん日本のドラッグストアもこうした訪日外国人を呼び込むための様々な工夫をしてきましたが、そういった中から、「マツモトキヨシ」、「ココカラファイン」、「サッポロドラッグストアー」のインバウンド対策の事例をご紹介しましょう。Googleマップによる集客、うまく活用できていますか?
Googleマップでの集客ツール「口コミコム」を詳しく見る >いち早くインバウンド対策を進めてきた「マツモトキヨシ」
株式会社マツモトキヨシは言わずと知れたドラッグストアチェーンの日本大手企業です。ヘルス&ビューティーケア(HBC)を掲げ、医薬品、化粧品のラインナップと販売に力を入れ、これらで全売上高の7割を稼いでいます。当然訪日外国人にも高い人気を誇る「マツモトキヨシ」ですが、そのインバウンド対策は古くから続いていました。
2007年の段階からインバウンド対応を開始
「マツモトキヨシ」は、業界がインバウンド需要に目を向ける前から、インバウンドを新たなマーケットとして捉えており、2007年の段階で、中国人が多く利用する銀聯(ぎんれん)カード決済を導入。さらにもともと訪日外国人に人気の高かった化粧品や日用品を販売するだけでなく、2014年10月以降にこれらの商品が免税対象となった後には、より多くの訪日外国人を呼び込むために都心の繁華街を中心に免税対応店を拡大してきました。さらに、買い物途中にどのようなものをお土産に購入するかなどを連絡し合う訪日外国人が多いことから、訪日外国人の利便性向上のために、2014年12月からフリーWi-Fiの導入を開始。また訪日中国人を中心に人気の、日本のハイブランドの化粧品として資生堂、SK-II、KOSE、KANEBO、Sofinaなどをしっかりとラインナップ。しっかりとニーズを満たしています。さらにはお店を訪れる訪日外国人の消費行動を出身国別にデータ化し、こうしたビッグデータを解析することで新たなPB商品の開発に活かすなど、実際に訪日外国人が「マツモトキヨシ」を訪れて何を買うのか?を見据えたインバウンド対策を行っています。
電子決済を進める「ココカラファイン」の事例
「株式会社ココカラファイン ヘルスケア」は神奈川県横浜市港北区新横浜に本社を置くドラッグストアチェーンで、ココカラファイン(600店舗)、ココカラファイン薬局(158店舗)、セイジョー薬局(11店舗)、ドラッグセガミ(139店舗)などの様々なブランドのドラッグストアを抱えています。これは現在の形態に至るまで、様々な合併が繰返されてきたためで、合併前の各会社が展開していた店舗ブランドはそのまま引き継いだ形式で運営しているため、様々なブランド名称で店舗を展開している背景があります。
様々な電子決済への対応
「ココカラファイン」は2013年の時点で、三菱UFJニコス、ジェーシービー、三井住友カード、楽天Edyなど全国1,200店超のココカラファイン全店舗に9種類の「交通系電子マネー」や、「楽天Edy」「nanaco」「iD」「QUICPay」「PiTaPa」といった電子マネーの導入を開始しており、2017年1月からはWeChat Pay(微信支付)が使用できるようになっており、2018年1月からはLINE Pay株式会社が提供するコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」上で展開する“スマホのおサイフサービス”「LINE Pay」の導入が始まっています。
こうした電子決済は中国や韓国、台湾ではごくごく当たり前に使われており、いまだに現金決済が主流の日本とは大きな隔たりがありと言えます。こうした電子決済を全国の店舗で導入することで、現金決済の手間をなくし、中国、韓国、台湾で進むキャッシュレス社会への対応のスピードを早めています。
インバウンド専門マーケティング会社を立ち上げた「株式会社サッポロドラッグストアー」の事例
「株式会社サッポロドラッグストアー」は北海道札幌市に本部を置くドラッグストアチェーンで「サツドラ」をストアブランドとしています。現在は業務提携によりマツモトキヨシグループに属する企業です。平成28年の時点でドラッグストアを北海道に163店舗、沖縄県に1店舗、調剤薬局を10店舗展開しており、北海道内ではツルハに次ぐ規模を誇っています。
徹底した口コミ分析に加えてインバウンド専門マーケティング会社を立ち上げ
「株式会社サッポロドラッグストアー」の場合は徹底した口コミの分析をすることで実際の店舗における品揃えに役立てています。具体的にはトレンドExpressが中国人の口コミを分析することで発表している「中国トレンドEXPRESS」の人気ランキング、口コミ、SNSなどを利用して、旅行者や現地の声を商品のラインナップに活かすように工夫をしています。
また「株式会社サッポロドラッグストアー」では、訪日観光外国人の需要拡大に応えるため 2015年よりインバウンド向けの店舗を積極的に出店、これまで培ったノウハウや人脈を活かすため、インバウンド専門のマーケティングサービス会社を2017年9月に立ち上げています。この新会社では取引先とのビジネスマッチングの他、サツドラ店舗でのデータベースを活用した他社ではできない提案を可能にし、国内外を対象に広くインバウンドマーケティングを行うことで、日本、北海道のすばらしさを訪日観光外国人に伝え、グループの成長戦略である「アジアン・グローバルへの発信」を推進しています。