日本を連想させるものといえば、何でしょうか。多くの訪日外国人観光客がイメージしそうなところだけでも舞妓、天ぷら、富士山といった具合に、いくつか挙げることができるでしょう。そして、まちがいなく忍者もこの1つに名を連ねています。
舞妓さんとちがって日本国内でさえ目にする機会がほとんどない忍者が、なぜここまで有名になったのか不思議なところではありますが、映画「007は2度死ぬ」に登場したり、アメコミを原作とする「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」ではなぜか亀が忍術を使ったりと、コンテンツとして愛されているようです。
平成29年(2017年)2月22日、日本忍者協議会が訪日外国人観光客などを対象としたインバウンドでの「忍者ツーリズム」の促進を目指す「NINJA NIPPON PROJECT」を発足したことを発表しました。忍者のイベントやテーマパークは以前から存在しますが、この企画はインバウンド消費の呼び込みや地域観光振興など、近年、注目を集めているテーマをコンセプトに掲げているのが特徴です。
今回は、ありそうでなかったインバウンド市場への参画を目標に掲げる「NINJA NIPPON PROJECT」についてご紹介します。
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クールジャパンの一環として、インバウンドでの忍者コンテンツの盛り上げを目指す日本忍者協議会
日本忍者協議会とは?:全国の忍者関連施設、組織と連携
そもそも日本忍者協議会とはどのような団体なのでしょうか。
同団体は、忍者に関連する全国の自治体や大学、観光協会、民間団体などのネットワークを持っており、かねてから忍者を活かした観光・文化振興や地域経済の活性化などを図る活動を行っています。「日本を代表するクールコンテンツと言えば、文学、映画、アニメ、ゲーム等にも数多く登場する『忍者』」「『忍者』(NINJA)はわが国固有の文化資産」という記載が見られるその設立趣意書からは、忍者を国内外に通じるポップカルチャーの一種として捉えていることが伺えます。
忍者で有名な場所というとまず頭に浮かぶのは伊賀、甲賀あたり。ですが、北は北海道、南は沖縄まで全国に関連団体が存在しています。伝統文化と関係のあるものだけでなく、アニメやゲームに登場するような”典型的な間違った忍者像”に依拠している施設、組織なども加わっているようです。
インバウンドと日本全国を忍者で結ぶ「NINJA NIPPON PROJECT」
日本忍者協議会が発足を明らかにした「NINJA NIPPON PROJECT」は、「忍者ツーリズム」の促進を目指した企画。「◯◯ツーリズム」と名付けられている観光スタイルは「グリーンツーリズム」「コンテンツツーリズム」「産業ツーリズム」「メディカルツーリズム」……と覚えきれないほど存在しますが、そこに国内外で認知度の高い忍者も加えようというわけです。
具体的には、日本各地に点在する忍者とゆかりの深い土地の文化や風習などを観光資源にして、日本人だけでなく、訪日外国人観光客を呼び込むことを目指しており、「全国各地を『忍者-Ninja-』で結び、そして世界とつなぐ」というコンセプトを掲げています。
実施時期などの詳細はまだ決まっていないようですが、以下のような取り組みを行う予定です。
インバウンド向け忍者ツアーの開発
全国にある忍者ゆかりの地を巡り、忍者に関する施設の見学、体験ができる旅行商品の開発。「周遊型」「滞在型」の2種類を想定しており、たとえば「周遊型」の場合、東京、小田原(神奈川県)、長野、伊賀(三重県)、甲賀(滋賀県)など、その土地々々の忍者の違いを比較しながら楽しめる内容になります。こちらは各地域のグルメや温泉といった要素を盛り込むことで、幅広い層への訴求を考えているとのこと。想定しているツアー日数は1泊2日。
対して「滞在型」は特定の地域の忍者に関する知見を、深められる旅行商品。滞在日数は約1週間ほどを想定しており、よりディープな魅力を売りにしています。
訪日外国人観光客でも本当に忍者になれる「忍者アカデミー」
甲賀流忍術の伴家忍之伝を受け継ぐ武術家・忍術研究家の川上仁一氏、忍者・忍術研究の第一人者・山田雄司氏などの監修のもと、忍者に関する技能、知識を体系化。それを教え、正しい忍者文化を普及することなどを目的としています。本格的な修行で実技を習得してもらうことも想定しており、「本物の忍者になることも夢ではありません」としています。
東京に「忍者ミュージアム」開設
東京都内に忍者関連の展示を行う「忍者ミュージアム」を平成30年(2018年)度内に開設する予定。訪日外国人観光客からの人気が高い伊賀流忍者博物館(三重県伊賀市)を始め、全国の関連施設と連携し、情報発信も行います。
まとめ:インバウンド市場で、現代の忍者たちが活躍?
日本忍者協議会が、忍者ツーリズムの促進を目指す「NINJA NIPPON PROJECT」を発表しました。忍者関連の旅行商品、教育施設の立ち上げなどを行う予定です。国内外における認知度の高さを考えると、このようにインバウンド市場で戦おうという方針はありそうで、なかったものといえるのではないでしょうか。まさに忍者のように、今までこっそりと身を潜めていたのかも……?
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