インドネシアの日本語学習者は74.5万人で世界2位:日本語ローカル人材の現状と求職者の動き〜インドネシア・タイ・ベトナム編

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アジア諸国における現地日本語人材の採用や定着は、進出企業にとって常に頭を悩ませる問題です。アジアの人材は、日本人とは異なる文化的背景や労働観、キャリア意識などを持っており、優秀な日本語人材を現地採用し、長く働いてもらうことは容易なことではありません。この課題に取り組むためにはまず、各国の日本語人材の現状や求職者の動きを把握した上で、最適な人事・採用戦略を練ることが不可欠 でしょう。

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東南アジアにおける日本語人材の規模

インドネシアの日本語人材の規模

国際交流基金による最新2015年の調査によれば、インドネシアにおける日本語学習者数は 約74万5000人と中国に次いで世界2番目 となっています。ただし、同国では中等教育における日本語学習者が圧倒的に多い傾向があり、このうち大学・短大などの 高等教育における日本語学習者は約2万7500人と試算 されます(2012年・2015年の国際交流基金調査から試算)。

また、日本に留学するインドネシア人留学生数もそれほど多いわけではなく、2015年調査で 3600人独立行政法人日本学生支援機構調べ)となっています。このため、N2以上の高度な日本語力を有する日本語人材の数は学習者数に比して少ない と言えるでしょう。

タイの日本語人材の規模

タイにおける日本語学習者数は 約17万4000人と世界6位国際交流基金による最新2015年の調査)となっています。近年、同国での日本語学習者数は飛躍的に拡大しており、2015年は2012年の同調査から 34.1%の増加 となりました。また、このなかで日本語教育機関数や日本語教師数についても 30%以上の増加 となっています。2015年の調査では、大学・短大などの高等教育における日本語学習者の割合については今のところ公開されていませんが、2012年の調査時にはこの割合は 15.4% となっており、同程度の水準と見積もった場合、高等教育において約2万7千人の日本語学習者がいると試算できます。

また、日本に留学する留学生の数は、2015年調査で 3526人独立行政法人日本学生支援機構調べ)となっており、この中には N2以上の高度な日本語力を有する学生も多いといいます。

ベトナムの日本語人材の規模

ベトナムにおける日本語学習者数は前回2012年の調査から 38.7%増の約6万4000人、世界で8位国際交流基金による最新2015年の調査)となっています。ベトナムでは2016年、第一外国語としての日本語教育が開始。 初等教育において、東南アジアで初めて日本語教育が導入されるなど、日本語熱が高まっています。

また、日本語能力試験の受験者が多いのも特徴です。ハノイ、ダナン、ホーチミンで年2回実施されている同試験の2015年の受験者数は 約4万7000人と東南アジアでも突出 しており、日本語学習熱の高さを示しています。これに加え、日本に留学する留学生の数は2015年調査で 38,882人独立行政法人日本学生支援機構調べ)となっており、中国に次ぐ世界2番目の規模 です。同国では、高度な日本語力を持った人材が急速に増加しつつあると言えるでしょう。

東南アジアにおける日本語力の付加価値

インドネシアでの日本語力の付加価値

インドネシアの日本語人材のボリュームに対し、インドネシア進出している日系企業数は2015年のデータで 2021社帝国データバンク2016年調査)とアジアの他の国々に比べても多く、日本語人材への需要は非常に高い傾向 にあります。このため、日本語が話せる人材の給与相場は高く、英語人材と比べても 1.3〜1.4倍の水準 となることが一般的です。

また、企業によっては日本語能力試験の取得級に応じて手当を支給するなどの方策を行なっていることもあります。ビジネスレベルの日本語能力を持つ人材を採用することは特に難しい傾向 にあるでしょう。

タイでの日本語力の付加価値

帝国データバンクによる2016年調査によれば、タイに進出している日系企業数は2016年4月のデータで 4788社でASEANでもトップ となっています。このため、タイにおける日本語人材の給与は高騰 しており、英語人材に比べても 30〜40%高い とされ、N2人材で5万〜8万バーツ、N1人材では8万〜10万バーツの給与を提示する企業も少なくありません。

いっぽう、現地の日本語学科の新卒学生などに多いN3人材 では、日系企業で働きながら日本語を磨きたいと考えている人も多く、こういった人材を採用して育成するのも1つの手 かもしれません。

ベトナムでの日本語力の付加価値

ベトナムに進出している日系企業数は2016年4月のデータで 2527社となっており、これはASEANで3番目 に多い数字です(帝国データバンクによる2016年調査)。このなかで、日系企業における日本語人材への需要は高まっていますが、供給が追いついていないのが現状 です。

同国での日本語人材は、英語のみの人材に比べて 30〜40%高い給与相場 となるのが一般的で、特に、IT分野でプログラミングと日本語の両方ができるブリッジSE人材は希少で給与相場が高騰 しています。このため、最近では、日本人とベトナム人の間に立つコミュニケーター(通訳スタッフ)にトレーニングを施し、ブリッジSEとして育てていくという企業も出てきています。

東南アジアにおける日本語人材の就職活動

インドネシアでの日本語人材の就職活動

新卒者については、卒業時期がバラバラ のため、卒業後に就職活動をスタートするのが一般的です。ただし、一部の学生は、在学中にインターンシップとして企業で働くこともあり、一部の外資系企業による青田刈りも行われています。 新卒者の入職経路については、「家族や知人の紹介」や「大学からの紹介」 が主となっており、こういったコネがない場合は企業のHPからエントリーしたり、一部の上位大学(インドネシア大学・バンドン大学など)では、当該大学の学生に限定したWebでの応募なども行われています。

いっぽう、転職傾向はアジアでももっとも高い水準にあり、20代・30代の平均転職回数は 1.64回リクルートワークス研究所調査)となっています。主な転職理由には「賃金への不満」や「労働条件や勤務地への不満」が挙げられ、キャリアアップや給与アップのための、転職に対する抵抗感は少ない と言えるでしょう。また、ラマダン(断食月)後のレバラン(断食明け大祭)に伴う手当が支給された後に転職者が増加するというような傾向もあります。

タイでの日本語人材の就職活動

タイの大学では、卒業単位を取り終わった学生から卒業となり、学生ごとに卒業時期は異なります。 このため、企業も新卒一括採用の習慣はなく、在学中から就職活動を始める学生もいれば、卒業後に実家に戻るなどしばらく時間を置いてから就職活動を始める学生もいます。このため、新卒人材は年中就職活動を行っています。 新卒者の入職経路については、「就職サイトや就職情報誌」、「家族や知人の紹介」、「大学の紹介」 などが主となっています。

いっぽう、転職者も多く、20代・30代の平均転職回数は 1.54回リクルートワークス研究所調査)となっています。転職者の入職経路については、雇用事務所における求人や民間の職業紹介機関の利用、新聞その他メディア(求人情報誌、フリーパーパーなど)が中心で、主な転職理由には、「賃金への不満」、「労働条件や勤務地への不満」 などが挙げられます。

ベトナムでの日本語人材の就職活動

大学の卒業式は、学校によって春や秋など時期が異なることもあり、新卒一括採用のシステムはありません。 このため、新卒者が就職活動を始める時期もバラバラで、4年次の夏休みに行う学生もいれば、卒業後に開始する人もいます。また、4年次にインターンシップに参加し、そのままインターンシップ先企業に就職するケースもあります。新卒者の入職経路については、「家族や知人の紹介」がもっとも多く、「就職サイトや就職情報誌」がこれに続いています。

いっぽう、転職への抵抗感は少なく、収入やスキル、キャリアアップを意識した転職が多い傾向 にあります。20代・30代の平均転職回数は 1.19回リクルートワークス研究所調査)とASEANのなかではそれほど高くはありませんが、20代は積極的に適職を探し、給与のよいところに転職し、30代以降は落ち着いてくる、 といった傾向があるといいます。転職者の入職経路については、新聞求人広告や人材紹介会社、友人・知人の紹介、インターネット求人 などが中心となっています。

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