日本政策投資銀行が「2017東北インバウンド意向調査」としてアジア8地域、欧米豪4地域を対象に行なったアンケート調査から、外国人が日本を観光する際に、どのようなイメージを持って、どのような行動をするのかが見えてきます。この調査結果から 訪日外国人観光客はどのようなイメージを日本に持って、どのように日本観光を楽しんでいるのか? という点に集中して詳しく見ていきましょう。
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- 日本のイメージ、食、消費に関する意識について アジアと欧米豪での違いとは
- 外国人が日本をイメージするのは「桜」「温泉」「富士山」:アジアと欧米では微妙な差異が
- 好きな日本食 圧倒的な「寿司」人気:食材では地域によって差が見られ、欧米は「米」が好き
- 欧米豪は「宿泊施設」に金をかけたく、アジア圏は「食事」「買い物」に金をかけたい
- 宿泊に関する意識について アジアと欧米豪での違いとは
- 実際に宿泊した施設 アジアでは韓国以外は「旅館」、欧米圏はアメリカ以外は「高級ホテル」を選択
- 地方のホテル 最重要課題は「アクセスの良さ」「通信環境の整備」か
- 訪日外国人観光客の移動手段トップは「新幹線を除く鉄道」
- 周遊パスは駅の自動販売機や有人窓口で購入
- 東京オリンピックについては過半数が知っているものの、ラグビーワールドカップについての認知度はいまいち
- まとめ:訪日外国人観光客の実際の姿、求めていることを国や地域ごとに把握することが重要
目次
日本のイメージ、食、消費に関する意識について アジアと欧米豪での違いとは
外国人が日本をイメージするのは「桜」「温泉」「富士山」:アジアと欧米では微妙な差異が
アジア8地域、欧米豪4地域の外国人に聞いたところ、アジア8地域出身の外国人が最も日本をイメージするのは「桜」であることがわかりました。2番めに「温泉」3番目が「富士山」となり、「日本的な町並み」「日本旅館」がそれぞれ5番目となっています。
欧米豪4地域に関しては「日本庭園」が1位となり、2位が「富士山」、3位に「城」がランクイン。4位は「神社仏閣」、5位「桜」となっています。
こうした結果から言えるのはアジア地域の訪日外国人観光客と欧米豪出身の訪日外国人観光客に向けて日本らしさをPRする際は、それぞれ日本に抱いているイメージが異なるために、打ち出し方を変えるなどの工夫が必要になる ということです。
好きな日本食 圧倒的な「寿司」人気:食材では地域によって差が見られ、欧米は「米」が好き
国と地域ごとに好きな食材、そして好きな料理を聞いたところ、面白い結果となりました。一般的は考えかたでは、「日本の牛肉を海外の人も皆好きなのだろう」と考えがちですが、「牛肉」が最も好きと答えたのは以外にも香港出身の外国人 。またお酒好きとして知られる 韓国人は「日本酒」が最も好きと回答 。中国出身者は「まぐろ」 という回答となました。
非常に興味深いのは イギリス、アメリカ、フランス、オーストラリア出身の外国人が、「米」が最も好きだと回答した 点でしょう。タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア出身の外国人には緑茶が人気 のようで、台湾人が好きなのは「味噌」 であるというのも面白い結果です。
好きな料理に関しては圧倒的に「寿司」が人気です。寿司が最も好きな料理だと回答したのは韓国、中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、フランス、アメリカ、オーストラリア出身の外国人。またシンガポール、インドネシア出身の外国人には「ラーメン」が人気のようで、イギリス出身の外国人は以外にも「カレー」が好きという結果になりました。
訪日外国人観光客の人気「日本食」は「ラーメン」「肉料理」、なぜ満足度が高いのか?
訪日外国人観光客の約7割が「日本食」を楽しみに、日本に旅行で来日します。日本を代表する日本食といえば「寿司」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし観光庁「訪日外国人消費動向調査」によると、意外にも「肉料理」と「ラーメン」の人気が高いことがわかりました。この記事では、訪日外国人観光客に人気の日本食と、なぜ人気となったのかをご紹介します。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?訪日ラボがまとめた「インバウンドデータレポート」を詳しく見てみる「調査...
欧米豪は「宿泊施設」に金をかけたく、アジア圏は「食事」「買い物」に金をかけたい
日本の各地域を訪れた訪日外国人観光客に、観光においてどの分野に最もお金をかけたいか?と質問したところ、アジア8地域、欧米4地域の外国人の回答には大きな差がありました。まず、「宿泊施設」にお金をかけたいという回答は欧米豪4地域が圧倒的に多く 、アジア8地域出身の外国人の回答はほとんど目立ちません。「食事」にお金をかけたいと考えているのはアジア8地域のほうが多く、「買い物」に関してもアジア8地域のほうがお金をかけたい と考えているようです。
宿泊に関する意識について アジアと欧米豪での違いとは
実際に宿泊した施設 アジアでは韓国以外は「旅館」、欧米圏はアメリカ以外は「高級ホテル」を選択
実際に宿泊した宿泊先を尋ねたところ、アジア8地域の外国人は韓国以外「日本旅館」 を好み、韓国出身者は「安価で基本的な設備のみが備わっているホテル」を選択 していることがわかります。これは韓国では1人あたりの旅行における消費額が低いことからも、納得の結果と言えるでしょう。
対して 欧米豪4地域では、アメリカは「日本旅館」 と回答したのに対して、それ以外の オーストラリア、イギリス、フランス出身の外国人は「高級ホテル」 での宿泊を好むことがわかります。
地方のホテル 最重要課題は「アクセスの良さ」「通信環境の整備」か
東北、北海道、北陸、九州を訪れた訪日外国人観光客に、日本の宿泊施設に求めるものとしてアンケートしたところ、最も改善が求められているのは「観光施設へのアクセス」 であることがわかりました。
また以前から問題視されている「通信環境の整備」についても改善を望む声が依然として多く、「日本料理や地元の酒の充実」、「宿泊施設外で夕食を食べることを選択出来る」という回答からは、日本ならではの旅館での夕食も楽しみたいが、長期滞在する際などには、旅館の外に出て夕食を楽しむオプションも欲しいという訪日外国人観光客の姿が伺えます。
旅館・ホテルなど宿泊施設のインバウンド対応ToDoリスト32項目まとめ:チェックリストPDFダウンロードできます
昨年2016年は訪日外客数にしておよそ2400万人、宿泊数にしておよそ7000万人と、インバウンド市場は急速な成長を遂げています。インバウンド市場は、少なくとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは順調に拡大するものと思われ、また政府は観光立国を掲げ、2030年の訪日外客数6000万人を「明日の日本を支える観光ビジョン」にて目標として定めています。そのため、インバウンド市場の獲得に積極的・消極的にかかわらず、どのような企業でも多かれ少なかれインバウンド対応が必要になる時代となり...
訪日外国人観光客の移動手段トップは「新幹線を除く鉄道」
アジア8地域、欧米豪4地域の訪日外国人に、日本で最も利用した交通手段を聞いたところ、「新幹線を除く鉄道」 という回答が最も多くなりました。とは言え、「新幹線」についても同程度利用されている事が伺え、「タクシー」利用者も多いということがわかります。最近増えているという話題がある「レンタカー」に関しては、「乗合いバス」「貸切バス」ほどには利用されていないという事もわかりました。
周遊パスは駅の自動販売機や有人窓口で購入
周遊パスの購入方法について尋ねたところ、アジア8地域、欧米豪4地域の出身者ともに、「訪日旅行中に鉄道駅やバスターミナルの自動販売機/有人窓口で購入」したという回答が多く、次に「到着空港にある旅行会社店舗、観光案内所での購入」という回答となりました。 3番目に多いのが旅行前の購入で、「旅行出発前に自国の旅行会社で購入」「旅行出発前に旅行予約サイトで購入」という回答が多くなっています。
東京オリンピックについては過半数が知っているものの、ラグビーワールドカップについての認知度はいまいち
今後日本で開催されるイベントについての認知度を聞いたところ、2020年に開催される「東京オリンピック」については国や地域に関わらず過半数が知っているという結果になりました。
東京五輪 経済効果は3兆円→30兆円にアップ? 東京都、2030年まで「レガシー効果」が続くと試算
約3年後に迫っている2020年東京オリンピック、パラリンピックは、国際的なスポーツイベントであるばかりか、日本の今後にも影響を及ぼす歴史的に大きな出来事です。以前、 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会はその経済効果を約3兆円と試算 (2013~2020年までが対象)。しかし、東京都によれば、大会後の10年間に発生するレガシー効果などが大きく、 2030年までの経済効果は30兆円超にのぼる とのこと。大会自体よりも、実施準備のために行った大規模事業の経済効果のほうがはるかに大...
リオオリンピック開催!過去のオリンピックから見る五輪の経済効果や東京五輪の影響をまとめてみました
※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、
この中では中国出身の外国人が「東京オリンピック」開催を最も良く知っており、知らないと回答した人は僅か9%となりました。対して2019年の「ラグビーワールドカップ日本大会」に関してはほとんどの国と地域で知らないと回答した人が過半数を占め、日本国内の「海外も熱狂している」といった報道とは少し乖離があるようです。
3,300億円の経済波及効果に期待:ラグビーワールドカップ
以前の訪日ラボの記事でもご紹介したように、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの前哨戦として、インバウンド市場にとって2019年のラグビーワールドカップは注目のイベントです。開催を2年後に控えたラグビーワールドカップですが、前回のイングランド大会はどの程度の経済効果があったものなのでしょうか。 アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young、略称EY) による大会後のレポートの概要を確認してみましょう。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいイン...
まとめ:訪日外国人観光客の実際の姿、求めていることを国や地域ごとに把握することが重要
今回のアンケート調査は本来は東北のインバウンド調査が目的ですが、それ以外にもアジア8地域、欧米豪4地域出身の外国人が日本に抱いているイメージ、希望などが良くわかります。こうした結果からも、訪日外国人観光客のインバウンド対策に大まかな方向性はあるが、国や地域を意識した対策がますます求められていると言えるでしょう。
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<参考>
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