訪日外国人が「コト体験」を求めて地方へと訪れる今、地方の訪日外国人の受け入れとしてメリットのあるウーフ(WWOOF)というサービスが注目を集めています。今回は、ウーフとはどのような活動で、どのようなメリットがあるのかについて解説します。
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WWOOF(ウーフ)とは?
ウーフとは、農場を訪れ「労働力」を提供する代わりに、農場から「食事・宿泊場所」「知識・経験」を提供してもらうボランティアシステムを構築し、農家と、農業の手伝いをしてみたい人たちをつなぐことを目的とした団体です。
WWOOF(ウーフ)の概要・発祥
ウーフ(WWOOF)の名称は、World Wide Opportunities on Organic Farms「世界に広がる有機農場での機会」の頭文字をとったものです。
1971年にロンドンで設立されたNGOで、その後オーストラリア、ニュージーランドで多くの国へ発展しました。現在、ウーフは世界60か国以上に事務局を構え、日本では1994年にウーフジャパンが設立されました。2002年から本格的な活動を開始しています。
農業の手伝いをする側の人々はウーファー(WWOOFer)と呼ばれます。
有機農場を核とするホストとウーファーをつなぐサービスではありますが、ウーファーはホスト以外にも有機農業を通して人々との交流を持つことから、地域全体の活性化や日本と外国の関係を深めることも可能になっています。
どんな人が利用している?
ウーフを利用する人は、有機牧場や農業を営むホストと農業の手伝いをするウーファーの2種類に分けられます。
ホスト(受入先)
- 無農薬、無化学肥料で作物を栽培する農場が中心
- 農家民宿、農家レストランやカフェ、玄米菜食店、自然食品店、自然体験学校、治療院、陶芸工房など、半分農業で半分は別の業種をしているホストも登録している
ウーファー(手伝い側)
- 就農や田舎暮らしを考えている人が中心
- 日本人だけでなくアメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、オーストラリア、台湾、香港、タイなど様々な国籍の人が登録している
- ホスト宅で手伝いのできる、健康な精神と肉体が求められる
- 日本での単独登録の条件は16才以上であること。年齢に上限なく登録が可能
WWOOF(ウーフ)の登録方法は?
ウーフの活動に参加するホストおよびウーファーは、登録が必要です。登録の有効期間は1年間で、有効期間の間ホスト側は複数人のウーファーの受け入れが可能です。ウーファーはホストから受け入れ承諾を得れば、複数のホスト農場で活動できます。
ホストになるには?
ホストになるには認定審査が行われます。
資料請求後、オンライン申請書の提出および必要書類をウーフジャパン事務局へ送付します。
審査期間は2~3週間で、さらに認定通知から数週間~1ヶ月経過後認定後、ホストとしての登録が完了します。実際にホストとして稼働できるまで日数がかかりますので、受け入れを開始したい日程がある場合は余裕をもって登録することが必要です。
ホストの登録には費用の支払いが必要です。初年度は8,500円と割高に設定されていますが、継続年数が多いほど割引される仕組みとなっているため、10年以上受入れ先のホストとして登録している場合、初年度の半額以下の3,800円と割安になります。
ウーファーになるには?
農業を手伝うウーファーになるには登録が必要です。
オンラインで手続きができます。公式サイトから「ウーファー申し込み書」を記入完了させ送信し、登録費用を納めます。
ウーフジャパンの事務局にて内容を確認後、登録完了のお知らせが来ます。会員ページから希望のホストとメッセージでやりとりを行います。
ウーファーの年間登録費は、初年度は5,500円となり、5年以上登録している場合は1,500円まで安くなります。ホストの年間登録費と同じく継続すると登録費が割引されます。
WWOOF(ウーフ)で訪日外国人を受け入れ、メリット・注意点
ウーフは、ウーファーを受け入れるホストにとって、農業の人手不足の問題を解決するだけでなく、国際交流ができるというメリットもあります。ただし、訪日外国人を受け入れる際には気を付けるべきこともあります。ここでは、メリット・注意点について解説します。
ホストになる条件は?
ウーフジャパンの公式サイトには、受入れ先のホストになる条件として下記5つの項目が挙げられています。
- 有機農業を実践、または深い関心があること
- 「家族のような友達同士」と考え、コミュニケーションができる心の余裕があること
- 食事と寝泊まりの場所を提供できること
- 何か特定の思想など強く持っていず、多様な価値観を尊重できること
- 事務局に毎月WWOOF状況報告を送付できること
その他、ウーファーとのやりとりは、ウーフジャパンのサイトを利用してコンタクトするため、パソコンの所有やインターネットに接続可能な環境であることが求められます。
メリット1.新たな出会いが生まれる
>ウーファーは世界各国から訪れるので、新たな出会いが生まれます。受入れ先のホストは、登録期間中であれば、複数人のウーファーを受け入れることも可能です。ウーファーとのコミュニケーションを通して、世界中に知り合いができるメリットがあります。
メリット2.お金を払うことなく暮らしの中のことを手伝ってもらえる
ホストは、ウーファーを労働者ではなく家族の一員として受け入れ、1日6時間程度の手伝いをしてもらいます。その対価として、寝場所と食事を提供しますが、給料やお小遣いといった金銭の受け渡しは禁止されています。人手不足で、経費を抑えたい農家にとっては、ウーフは重宝される仕組みといえます。
メリット3.日本にいながら国際交流・外国語の学習ができる
訪日外国人をウーファーとして受け入れるメリットとして、留学や語学学校に行かずとも外国語の学習ができることが挙げられます。
大人だけでなく、ホスト家族の子供にとっても、英語やフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、韓国語、中国語などの言語に接するチャンスです。言語だけでなく、外国人と交流することで視野や価値観が広がり、国際的な感覚を身につけることができます。
注意点1.コミュニケーションの難しさ
ウーファーは世界各国から訪れるため、言語や文化・風習もそれぞれです。世界共通言語である英語がホストとウーファー両側で話せるのであれば、円滑にコミュニケーションすることが可能ですが、共通言語がなくコミュニケーションが取れない場合もあります。トラブルを回避するために受け入れるウーファーの条件として日本語の使用を求めるとも一つの手です。
注意点2.食事や宿泊場所の提供
ホストはウーファーの労働への対価として、食事と宿泊場所を提供します。ウーファーからそのために別途支払いを受けることは許されないので、食費や、宿泊施設を用意する場合はそのメンテナンス費用など、経費がかさむ可能性も考えられます。
WWOOF(ウーフ)は訪日外国人の新たな受け入れ手段
現在、日本の農業は人口が減少する一方ですが、農業従事者側はウーファーを受け入れることで、活力を得ることができます。また、訪日外国人の「コト体験」の需要が高い現在、国内だけでなく訪日外国人のウーファーに農業体験を通して魅力を知ってもらうことで訪日のリピーターへと繋げ、地域活性化を促進する役割もあります。観光立国を掲げ、地方創生にも積極的に取り組む日本にとって、ウーフは訪日外国人の新たな受入れ手段として注目すべきサービスといえるでしょう。
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