閉店が相次ぎ、活気が失われている商店街があります。地元に根差した個人商店が減っていくと住民の利便性が損なわれるだけでなく、治安などへの影響も心配です。
中小企業庁では商店街の活性化と観光消費の創出を目的とした補助金を設け、国内だけでなく海外からのインバウンド需要に対応し、非日常的な消費の拡大に取り組む小規模事業者への支援を開始しています。
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商店街活性化・観光消費創出事業とは
中小企業庁が募集を始めた平成31年度予算「商店街活性化・観光消費創出事業」は、商店街の魅力を引き出し、活性化を図ることを目的とした事業です。
訪日外国人をはじめとする観光客を地元の商店街に呼び込むために、地域の環境整備を支援し、消費拡大を目指します。
過疎化が著しい地域では経営が成り立たず、廃業に追い込まれる店舗が少なくありません。地域の隠れた名産品や個性豊かなサービスを発掘・開発し、地域の外から人を呼び込むことができれば、消費が拡大して地元商店街が潤い、活気を取り戻すことが予想されます。
補助対象事業は「消費創出」と「専門家派遣」のセットで申請が必要
非日常的な消費を喚起するためには、魅力的な観光資源を用意しなければなりません。
「商店街活性化・観光消費創出事業」では、専門家を派遣してイベントを企画したり、商店街の環境整備を支援します。
補助率・補助額
1)消費創出事業……補助率2/3以内
2)専門家派遣事業……補助率10/10定額(上限額:200万円)
出典:中小企業庁平成31年度予算「商店街活性化・観光消費創出事業」
新たな需要の掘り起こしや消費喚起のための活動は「消費創出事業」、消費創出事業のために専門家を派遣する活動は「専門家派遣事業」に分類され、セットで申請しなければなりません。
補助金は「消費創出事業」と「専門家派遣事業」それぞれに定められた補助率によって算出され、2つの事業の合計金額の上限は2億円、下限は200万円と定められています。
補助対象事業者
補助の対象となるのは、商店街振興組合や事業協同組合などの法人格を持つ商店街等組織のほか、代表者が決まっていて財産管理が適正に行える法人化されていない商店街等組織などです。また、地域のまちづくりや商業活性化の担い手として事業に取り組める民間事業者も補助を受けることができます。
募集期間
事業の募集期間は2019年4月2日(火)~2019年9月13日(金)です。締切日は3回に分けられていますが、予算額に達した場合は予告なしに募集を打ち切る可能性があるため、早めの手続きがおすすめです。
一次締切:2019年5月17日(金)
二次締切:2019年7月12日(金)
三次締切:2019年9月13日(金)
手続きは各地域の経済産業局に必要書類を郵送します。締切日の当日消印は有効です。
補助金の活用方法
「商店街活性化・観光消費創出事業」は、地方公共団体とも協力しながら地域の活性化図り、自立して事業の継続を目指すものです。専門家を派遣してもらい、新たな消費を創出するための事業計画を策定するところから費用の補助が受けられる点は、非常に魅力的です。
募集要項では、クルーズ船で来日する外国人観光客をターゲットにクルーズ船ターミナルを起点とした観光ツアーを企画したり、免税手続きのためのパスポートリーダーやキャッシュレス決済のための端末の導入を図るといった事業例が挙げられています。
【事例アリ】Alipay(アリペイ・支付宝)
中国や欧米を中心にキャッシュレス化が進んでいます。キャッシュレスにも様々な形態がありますが、近年は中国のモバイル決済が注目を集めています。中国のキャッシュレス化は、プラスチックのクレジットカードを用いた決済ではなく、スマートフォンアプリに表示するQRコードやバーコードによるモバイル決済「Alipay」「WeChat Pay」の普及により、非常に発展しています。中国ではこうしたモバイル決済がユーザーに支持され、キャッシュレス比率は現在およそ60%にまで達するとの調査結果もあります。日本のキャ...
【中国】8億ユーザーが利用するQR決済WeChat Payとは
多くの中国人が中国国内での支払いに利用しており、訪日旅行の際にも需要があるのが、モバイル電子決済のサービスです。そのなかの一つWeChat Pay(ウィーチャット・ペイ/微信支付/ウェイシンジーフ)」は、中国のインターネット企業最大手テンセント(騰訊)が提供するサービスです。メッセージングアプリのWeChatは2011年からサービスを開始していますが、決済サービスのWeChat Payは2014年にリリースされた機能です。財付通(Tenpay/财付通/ツァイフートン)と呼ばれるオンライン決...
コト消費の潮流を読み、地域へ訪日外国人観光客を呼び込む
近年のインバウンド需要はモノ消費から「コト消費」に移行していると言われます。
日本でも断捨離が流行したり極力モノを持たないミニマリストなどが登場しています。大量消費だけを楽しみとせず、お金だけでは手に入らない価値である「体験」に重きを置くムードが、世界全体で起こっているようです。
こうした多様化する価値観に地域社会が柔軟に対応することで、新たな需要を抱く層に訴求できる観光地ができあがり、経済的に活気を取り戻すことになるでしょう。
ここ10年で訪日外国人観光客は右肩上がりに増えています。少子高齢化の日本で新たな顧客を開拓するのは簡単ではありません。訪日外国人観光客を新たなターゲットとし、彼らの消費意欲を満たすことは、地域社会にとっても一つの活路となるはずです。
「商店街活性化・観光消費創出事業」を活用し、訪日外国人観光客の需要を満たすことができれば、今後地域を訪れる観光客は増加していくと考えられます。国内からの観光客では限界が見えている日本の地域社会にとって、「商店街活性化・観光消費創出事業」の活用と訪日外国人観光客の呼び込みは、今後とるべき方策の一つといえるでしょう。
<参考>
中小企業庁:平成31年度予算「商店街活性化・観光消費創出事業」
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