中国で問題「詐欺広告」の温床となってしまった検索最大手「百度(バイドゥ)」信頼を取り戻すには?

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インターネットサービスに対する検閲が行われ、海外のサービスの展開に対し厳しいハードルがある中国で、最も多く利用されている検索エンジンはGoogleではなく百度(バイドゥ)です。中国国内61.21%のシェアを誇りますが、ここ最近ユーザーの百度離れが進んでいるとも言われています。

日本人にあまり馴染みのないサービス百度」ですが、なぜユーザーが離れているのでしょうか。今回はサービスの概要や、その理由を探ってみたいと思います。


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検索エンジンの百度(バイドゥ)とは

百度(Baido)は、北京に本社を構える中国のIT企業百度が提供している検索エンジンの名称です。日本のインターネット利用状況から考えると、PCのウェブブラウザでの利用も多いように思われるかもしれませんが、中国ではスマホでのネット利用が多く、百度の検索もスマホからの利用が多くなっています。

百度の収益構造…広告

Googleと同じく、検索エンジンである百度は広告によりその収益を得ています。この広告は4種類に分類されます。

  • リスティング広告
  • アドネットワーク広告
  • インフィード広告
  • ブランドリンク広告

Googleと百度の違い

百度の検索結果の表示や、検索カテゴリにニュース・画像・動画などがある点、また翻訳サービスの提供はGoogleと類似しています。一方でGoogle百度にはサービス設計に違いもあり、例えば百度の場合はユーザーの生成するコンテンツを重視しています。

百度の提供する百度知道ではQ&Aの形でユーザーが知識をシェアしており、百度百科は中国版Wikipediaとしてユーザーの編集により情報が集約されます。

なぜ百度は信頼を失ったのか

こうして多くのユーザーに使用され、コンテンツを充実させてきた百度ですが、2014年の事件をきっかけに中国国内で懐疑の目をむけられることになりました。

2014年、ある中国人大学生が、若くしてガンに罹患します。そこで、百度の検索サービスを使って病院を探しました。 検索結果で上位に表示された病院を頼った結果、彼は命を落とすことになります。

検索結果上位の病院、実は広告出稿の費用に連動

医療機関が適切な医療サービスを提供できないものであったことは言うまでもなく、さらなる問題はこの検索上位の医療機関が、百度に対し多額の広告料を払っていたことにあります。これはもはや「詐欺広告」とも言える、センセーショナルな事件として中国国内でも報道されました。

この事件により、百度は検索エンジンという生活インフラともいえるサービスを供給しておきながら、その検索上位に表示される情報につて、情報の正しさではなく広告料を基準に選定しているということが明らかになったのです。

そのことに気づないユーザーは、百度の検索結果を評判の良さと思い込み、多額な広告費を投じる施設へと自分の命を預けてしまいます。

多額の広告費を投じている医療機関は、検索結果の上位に表れ、あたかも信頼があるように見えます。それなのに、実際に有効な治療を提供しているかどうかは、検索エンジンは保証してくれません。

こうした医療機関に関するトラブルが明るみに出て以降、百度の人気は低迷しています。広告出稿による収益は、サービスを継続するためには必要不可欠です。それだからといっ、お金さえ払えば広告主の好きな通りに検索上位に情報を表示させることができるとあれば、ユーザーはこれを信頼しないでしょう。

ユーザーが求める情報とのミスマッチも、中国IT大手として次の一手は「自動運転」

そもそものヒット数が少ないのも「百度離れ」の原因の1つと言われています。ある一つの単語を調べる時、Googleでは1,500万件の検索結果が表示されるのに、百度では20万件程度となってしまうことも少なくありません。例外があるとはいえ、基本的には何かを判断するときに、材料となる情報は多ければ大いにこしたことはありません。

少ない情報量、そして広告出稿で金銭を積んだ組織にとって有利な検索結果を表示する百度が信頼を失っていったのは当然の帰結かもしれません。

昨今ではユーザーの検索行為がアプリ上、個々のインターネットサービス内で行われることもあり、ユーザーの百度離れは回避できないような環境でもあります。これを見越してか、百度は事業内容の転換もはかっており、現在は自動運転技術やAIの分野での存在感を高めています。今まさに、中国の老舗IT大手としての力量が問われていると言えるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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