北海道ニセコが外国人に選ばれるその理由:インバウンド誘致の正攻法とは

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北海道にありながら、日本の文化が見当たらないリゾート地がニセコです。インバウンド対策を検討している方であれば、その特出した実績を知っている方も多いかもしれません。

この記事では3年連続で地価上昇率が国内トップを記録するといった実績をもつ、ニセコインバウンド対策を、詳しく解説していきます。地理的な優位性を活かすだけなく、外国人が過ごしやすい環境を作るために、さまざまな気遣いがなされています。

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外国人だらけのニセコ!3つの特徴は?

日本で最も国際的なリゾートと言われているのが北海道のニセコ地域です。北海道という「日本にある」リゾート地ではあるものの、日本らしさはまったく見られません。

しかし、ニセコエリアは高級ホテルの建設ラッシュの真っ只中にあり、地価の上昇率においても3年連続で国内トップを記録している、すでにインバウンド対策に成功しているエリアとして認識されています。

1. 日本語よりも英語

ニセコの特長は、日本にありながら日本の文化がまったく見当たらない点にあります。一般的にインバウンドを意識した地域では、外国人用に英語や中国語を用いて、消費動向につなげようと考えますが、ニセコでは看板や広告が英語表記のみの店がほとんどです。

また、外国資本のホテルが軒を連ね、まずは英語で話しかけられるという文化も浸透しています。北海道という地にありながら、現地に流れる空気は外国そのものと言えます。

2. 日本にある外国

ニセコは日本にある外国として、いち早くインバウンド対策に成功しているエリアです。ただし、なぜニセコに多くの外国人が集まるのかを知りたい、インバウンド担当者はニセコとそのほかの観光地の決定的な違いを理解する必要があります。その決定的な違いは、ビジネスの対象を外国人、それも富裕層に特化していることです。日本でもっとも外国人率の高いエリアである京都や金沢の観光地は、外国人観光客が訪れているものの、ビジネスの対象を富裕層の外国人に絞り込むことまではしていません。そのインバウンド対策が、「ワールド・スキー・アワード」の50室未満のブティックホテル部門で「ザ・ヴェール・ニセコ」が世界一に輝いているという実績につながっています。

3. 高騰する物価・地価

ニセコの地価上昇率が、3年連続で国内トップを記録しているという際立った実績の背景にはこのエリアならではの物価が深く関係しています。

ニセコでは先ほども触れたように、富裕層の外国人のみをターゲットとしているため、物価も世界の高級リゾートと同等の相場になっています。ランチの海鮮丼が5000円という相場の飲食店がほとんどであり、標準的な料金設定とされています。

そして、「ワールド・スキー・アワード」の効果もあり、流入人口の増加にも成功しているため、物価の上昇に伴って地価も上昇しています。

3月末に国土交通省が公表した公示地価では、地元の倶知安町の住宅地の公示地価が前年比33.3%と3年連続全国トップとなり、トップ3をニセコ地区が独占しています。さらに、商業地の占める割合も35.6%と全国トップの水準を記録しています。

ただし、ニセコは外資ホテルが物価と地価をコントロールしているため、日本企業や地元には恩恵が行き渡っていないという側面もあります。

北海道のインバウンド需要

北海道は数値も全体的に高く日本でも有数の高いインバウンド需要を誇るエリアです。北海道は様々なサイトにてニセコなどのスキー場の雪質についての口コミがあり、欧米圏の人たちにとって日本でも有数の観光名所となっています。

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なぜニセコは外国人に人気なの?

ニセコは外国人のなかでも富裕層をターゲットにする、というインバウンド対策をおこなっていることを紹介しました。しかし、なぜニセコには外国人、なかでもオーストラリア人が多いのでしょうか?ここからは、ニセコが世界的に優れた外国人誘致に成功している理由を紹介していきます。

世界最高の雪質

ニセコに多くの外国人観光客が足を運ぶ一番の理由は、世界的な雪質のスノーエリアとして認識されているためです。ニセコには日本海から吹き付ける北風が、「アンヌプリ」を越えることで、水分のない雪が降り積もるという地理的な特徴があります。そして、その雪質が世界の新雪クレイジーを意味する「パウダーバム」の心を掴んで離さないのです。

また、北東から「ニセコHANAZONOスキー場」、「ニセコグラン・ヒラフスキー場」、「ニセコビレッジスキー場」、「ニセコアンヌプリ国際スキー場」に分けられるコースの豊富さも魅力のひとつとされ、雪質と観光客を飽きさせないレジャーコース、ナイター設備の充実などの特長によって、継続的な外国人観光客の誘致に成功しているのです。

▲[ゲレンデ・コースガイド]:Grand HIRAHUより引用

冬だけじゃない!夏も楽しめる!

冬のスキーリゾート地として知られるニセコですが、実は夏の間も外国人観光客を飽きさせないレジャーが用意されています。そして、この取り組みの背景にはロスフィンドレーという外国人の感性が活かされてます。

ロスフィンドレーは、現在でこそニセコのレジャー施設などの管理をおこなうNACの代表取締役として活躍していますが、もともとは「ニセコで過ごす夏」に退屈な印象をもっていたひとりでした。そんな彼はニセコにある地理的な特徴を活かせるラフティングに着目し、ビジネスをスタートしました。その結果、今ではラフティングツアーの参加者は年間3万人を超え、またSUPやジップラインといった多角的なレジャーの発展につながりました。

外国語対応

「アンヌプリ」という恵まれた環境に位置しているニセコですが、その特徴だけで外国人観光客の誘致に成功しているわけではありません。多くの外国人が満足する環境を整えることにもしっかりと対応しています。現地の看板やサイネージのすべてが、きちんと外国語対応されている、お店のメニューにもきちんとした外国語対応がなされている、接客も外国語で対応されているといったインバウンド対策をしているため、さらなる外国人観光客を集めることに成功しています。

ニセコがインバウンド誘致に成功した理由は?

ここからはニセコがインバウンド誘致に成功した理由を、さらに深掘りして解説していきます。地理的な優位性だけでなく、外国人観光客目線のサービス、さらに現地に住む町民との関わり方にも配慮が行き届いています。

ニセコ町公式HP

ニセコ町の公式HPでは、街をあげたこだわりが記載されています。今でこそオーストラリア人などのスキーヤーが観光客の多くを占めていますが、英語だけでなく韓国語や中国語、台湾語などの外国語対応も実施しています。また、公式HPだけで魅力が伝わるコンテンツ内容なども整えられており、外国人観光客目線に立った観光運営がおこなわれています。

ニセコ街観光復興計画

また、ニセコ街観光復興計画によって、明確な目標設定がなされているのもニセコ町のインバウンド対策の特徴です。ニセコ街観光復興計画では、ニセコ町の目指す姿を「いつ訪れても心身ともに健康で元気になれる居心地のいい町 ニセコ」と定義付けし、スローライフなかから感じられる充実感を提供するリゾート地として、価値の創造を進めています。さらに「四季を通じた美しい自然や景観、遊び」、「信頼できるおいしい食」、「あたたかく迎えてくれる人々」といった要素に分け、来訪者と町民の双方が楽しるリゾート地を目指しています。

"#japow"とは

SNSを用いたインバウンド対策も、ニセコがおこなっている外国人観光客誘致の特長です。”Japan”と”Powder Snow”を組み合わせた「Japow」という言葉を用いた、SNS投稿は28万件を超え、まだニセコを訪れたことのない外国人観光客にもしっかりとアピールすることができています。

▲Instagramでの「#japow」検索結果
▲Instagramでの「#japow」検索結果

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ニセコの成功から学ぶ、インバウンド誘致の正攻法

ニセコのインバウンド誘致は、「外国人の、外国人による、外国人のためのリゾート」によって形成されています。外資系ホテルが軒を連ね、看板や案内などには英語が利用され、ニセコならではの物価によって効率的なリゾート運営を実現しています。

外国人誘致には成功しているように見えるニセコですが、一方ではその恩恵を地域に還元しきれてないという課題も隠されています。今回紹介したニセコインバウンド対策から、テクニックを学びつつ、地域に還元するという視点を加えることで、次のステップに進んだ外国人観光客の誘致を実現することができるでしょう。

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【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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