こうした中、中国人から日本と並び人気の旅行目的地となっているのが台湾です。ところが昨日、中国政府の文化旅行部が、中華人民共和国民の台湾への旅行を禁止する通知を公開しました。台湾、中国、そして日本のインバウンド市場にも大きな影響をもたらすとみられるこの通達や各地域での反応について解説します。
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中国から台湾への個人旅行が全面禁止へ
昨日の報道によると、本日8月1日より北京や上海を含む47都市において中国国民が台湾へ赴く際に必要な「台湾通行証」の発行が停止され、中国から台湾への個人旅行が全面的に禁止されることとなりました。
中国から台湾への旅行は元々禁止されていたものの、2008年に台湾において親中派の馬英九氏が総統に就任した後、協議の末にまず団体旅行が、更に2011年から2015年にかけて段階を経て個人旅行が解禁されました。
この間に中国の合計47都市から台湾へ個人で旅行に行くことができるようになりましたが、2016年に反中派の蔡英文氏が総統に就任した後は両国関係が急速に冷え込み、中国政府は一部の団体旅行を制限します。訪台中国人の数は2015年に記録した約418万人を境に下落して行きました。
今回発表された個人旅行の全面禁止は台湾で今年秋に行われる総統選挙に対する圧力だと捉えられており、反中派の台頭を抑制したい狙いがあると考えられています。
台湾の反応:海外旅行にも政府の許可が要るなんて…
台湾・蘋果日報(アップルデイリー)ではこの報道をいち早く報じており、これにより台湾経済に約39億元(約135億円)の打撃があると予想しています。
同時に、台湾政府は今回の中国の決定を受け、36億元(約125億円)の予算の追加投入を決め、国内旅行や個人旅行・団体旅行の全てに補助金を交付し、国内の観光業界を冷え込ませないように全力を尽くすと表明しました。
台湾では、「出国でさえ毎回政府の許可を取らないといけないなんて、中国人が可哀想」「損失は39億元どころじゃない、大変な事態だ」「国民党(注:台湾の親中派政党)はこういう時こそ中国と話し合うべきでは?」と、台湾経済への打撃に危機感を示す声や中国の体制に驚きを示す声が上がっています。
中国の反応「台湾を早く統一しよう」
中国・今日頭条(ジンリートウティァオ)でもこの報道は報じられており、台湾に用事のある中国人が個人旅行の禁止措置前に何とか許可証を取得すべく、出入国管理事務所に長蛇の列を作っている光景もSNSにアップロードされています。
中国では「台湾人が中国に来ることも禁止しよう」「団体旅行も禁止するべきだ」「台湾と香港に中国を敵に回すとどうなるか分からせてやろう」「今こそ台湾を攻撃する時だ、清にできて中華人民共和国にできない訳がない!」と統一に関する議論が起こり、緊張感が高まっています。
日本のインバウンド業界に求められる対策は?
台湾旅行を予定していた中国人が今回の措置により行き先を日本へと切り替える可能性は十分にありえます。また、中国旅行を予定していた台湾人が中国との関係悪化を懸念して行き先を日本へと切り替える可能性も考えられます。
訪日台湾人や訪日中国人に対応できるよう中国語対応などの基本の準備を怠らず、こうした日本のインバウンド市場に大きな影響を与えるとみられる中国政府の動きには、引き続き注意を払っていくべきでしょう。
<参照>
中華人民共和国文化旅行部:https://www.mct.gov.cn/whzx/ggtz/201907/t20190731_845439.htm
イザ:http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/190731/wor19073117160013-n1.html
蘋果日報:https://tw.news.appledaily.com/headline/daily/20190801/38407114/
今日頭條:https://www.toutiao.com/a6719707186919916036/
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