日韓関係の悪化により訪日韓国人観光客が激減し今後の動向も懸念される中、石井国土交通大臣は8月26日、本日である30日に韓国の観光大臣と急遽会談を開くことを発表しました。
また大阪観光局も26日、日韓関係の悪化のインバウンドへの影響について、今後の見通しを発表しています。
今回は、これまでの日韓関係の動向をふまえ、インバウンドとの関係性について見ていきましょう。
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急遽韓国の観光大臣と会談実施へ
日本政府観光局によると、7月の訪日韓国人観光客数は56万1,700人と、前年同月比7.6%減となりました。韓国の釜山とフェリーで結ばれている長崎県対馬市では、今年7月から韓国便の旅客船の減便が相次ぎ、市南部の厳原港を発着する韓国便は全て運休している状況です。
対馬を訪れる訪日外国人観光客の99%以上は韓国人とのことで、減便開始後に入国した外国人は1万4891人と、昨年同期より5,000人近く減少しており、日韓関係の悪化がインバウンド誘客に悪影響を及ぼしている現状が伺えます。
今後もさらなるインバウンドへの悪影響拡大が懸念される中、石井国交相は今月30日、韓国観光大臣と急遽個別に会談することを発表しました。
韓国で開かれる日中韓の3カ国の観光大臣による会合と合わせて実施されます。石井大臣は人的交流は日韓の相互理解の基盤であり、観光による交流は重要との考えを示しており、観光面の影響拡大を防ぐべく、政府間で協力していくとのことです。
大阪観光局「数値に見えるのは9月から」
インバウンド客を受け入れる宿泊施設や観光施設などの現場では、実際に訪日韓国人観光客の客足が遠のいている状況をふまえ、インバウンドへの影響を示す具体的な数値を心配する声が挙がっています。大阪観光局は26日に会見を開き、日韓関係の悪化がインバウンドにどのように影響するかといった見通しを発表しました。
2019年1月〜3月に大阪を訪れた訪日韓国人観光客数は、前年同期に比べ13%減少し、62万8,000人となりました。さらに大韓航空は、日本と韓国を結ぶ6路線の運行休止を順次進めていくと発表しています。
大阪観光局によると、関西国際空港と韓国各地を結ぶフライトの就航数は、10月末には82便減少し258便になるとのことです。
ホテルについても、8月以降は大幅にマイナスになっていると言及した一方で、具体的にインバウンドへの影響を具体的に数値化できるのは9月以降になると述べました。旅行会社のツアーなどもキャンセルが相次いでいる状況で、インバウンドへの影響は秋にかけてさらに広がることが懸念されます。
これまでの日韓関係のインバウンドへの影響
7月4日に日本政府が韓国向けの半導体材料に対する輸出管理厳格化に踏み切ったことを受け、日韓関係の悪化が顕著となっており、インバウンドへの影響も拡大しています。
具体的には、「ボイコットジャパン運動」と呼ばれる、韓国における日本製品の不買行動や訪日旅行のキャンセルといった動きが広まり、ネット上では訪日旅行の感想を投稿すると非難コメントが殺到するといった状況です。
SNSの普及が運動の拡大にも影響していると見られ、「ボイコット・ジャパン、行きません、買いません」を合言葉に、韓国全体で盛り上がりを見せています。
「NO NO JAPAN」という、商品のQRコードをスキャンすることで日本製品かどうかを一瞬で判別できるスマホアプリもリリースしました。サイトへのアクセスは、多い時で1日148万件にも上っており、ボイコット運動への関心の高さが表れています。
韓国からインバウンド誘客を加速させる要因の1つとなっていたLCCも、就航数の縮小化が進んでいます。
韓国のLCCであるイースター航空は、9月の日本と韓国を結ぶ直行便の運休を発表しました。はっきりとした理由は明らかになっていませんが、日韓関係の悪化による訪日客のキャンセルが相次いだことから、収益に影響が出たためと考えられています。
訪日旅行のキャンセルは団体旅行が中心となっており、訪日韓国人観光客を積極的に受け入れていた観光地では一気に客足が遠のき、今後の動向に対し不安な声が強まっています。
まとめ:日韓情勢をふまえ、インバウンドの最新動向をキャッチしよう
いまだ解決の目処が立っていない日韓情勢は、今後もインバウンドへの影響拡大が懸念されています。大阪観光局によると、具体的にインバウンドへの影響を具体的に数値化できるのは9月以降となる見通しですが、引き続き日韓関係の悪化に伴う日本製品の不買行動や航空便の減便といった最新動向にアンテナを張り、今後のインバウンド対策について検討していくことが求められるでしょう。
<参照>
・MBS NEWS:日韓関係悪化の観光業への影響「見えてくるのは9月以降」大阪観光局が会見
・NHK NEWS WEB:韓国人旅行者が現象 石井国交相が韓国観光大臣と会談へ
・時事ドットコムニュース:7月の訪日韓国人客、7.6%減=関係悪化が影響
・日経ビジネス:年間40万人の韓国人客が激減、長崎・対馬の静かすぎる夏
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