ベジタリアン対応で予想外の集客アップが見込める理由とは?親日「台湾」で人口比13%、訪日ベジタリアンにアンケート

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食の多様化対応をサポートしているフードダイバーシティ株式会社の山崎です。

昨今メディアでも「ベジタリアン」をテーマにした特集を見かける機会が増えてきました。飲食・ホテル業界の方であれば「ベジタリアン対応」に関する依頼を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。今回は「訪日ベジタリアン市場の概況」と「対応メリット」について解説します。


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現状を知る〜訪日外国人の5%がベジタリアン、2020年には200万人〜

今世界では空前の「ベジタリアンムーブメント」が起きています。一説によると世界には3億7,500万人のベジタリアンがいるとされており(*1)、米国では過去3年でベジタリアンが600%増加したと言われています。(*2)。

訪日市場においても5%がベジタリアンと言われており(*3)、2020年にはその数200万人に達すると予測されています。市場規模にして400億円規模という見方も出てきています。(*4)。

下のチャートは、各国の人口に対するベジタリアン比率をまとめたものです。

▲[世界各地におけるベジタリアンの比率]:フレンバシー社のデータからフードダイバーシティ株式会社作成
▲[世界各地におけるベジタリアンの比率]:フレンバシー社のデータからフードダイバーシティ株式会社作成


上位の国・地域に着目してみると、インドイギリス・スイス・ブラジル・台湾と地域を超えてベジタリアンが点在していることが見てとれます。

ちなみにベジタリアン比率と訪日外国人数を掛け合わせると「台湾」がその他の国や地域をおさえて一位となっています。地域別のベジタリアン事情に関しては別の回で解説させていただきます。

背景を知る〜なぜ、ここまでの広がりを見せているのか?〜

ベジタリアンになる背景は大きく4つあると考えられています。

  1. 健康:ダイエットや健康維持の観点でベジタリアンになる
  2. 動物愛護:倫理的な観点でベジタリアンになる
  3. 環境保護:畜産業が地球環境に影響を及ぼす事に異論を唱えベジタリアンになる
  4. 宗教:仏教やジャイナ教など“不殺生”という観点からベジタリアンになる

グラフは、訪日ベジタリアン500名を対象に、ベジタリアンになった理由をフードダイバーシティ株式会社が調べたものです。訪日外国人の出身地域でアジアと欧米に分け、回答を集計しています。

▲[対象者=訪日観光客でベジタリアンである500名、ベジタリアンになった理由]:フードダイバーシティ株式会社調べ
▲[対象者=訪日観光客でベジタリアンである500名、ベジタリアンになった理由]:フードダイバーシティ株式会社調べ

欧米系のベジタリアンは「動物愛護」や「環境保護」を背景とした方が多く、インド台湾などのアジアベジタリアンは「宗教背景」の方が多くなっています。

ちなみに昨今世界中で起きているベジタリアンムーブメントは、動物愛護や環境保護の文脈で語られることが多いです。

課題を知る〜訪日ベジタリアンの約8割は非常食を持ってきている〜

ご存じの通り、一般的な訪日外国人向け調査では、Wi-Fi環境、交通網の複雑さ、語学の問題が上位を占めておりますが、訪日ベジタリアンの場合は、84.6%の人が「ベジタリアンレストラン探し」に一番苦労をしたと回答しています。

またこれに加え、約8割の方が自国から非常食を持ってきているのが現状です。

  • 訪日時に“一番” 不便に感じたことについて教えてください(単一回答)
▲[対象者=訪日観光客でベジタリアンである500名、訪日時に“一番” 不便に感じたことについて]:フードダイバーシティ株式会社調べ
▲[対象者=訪日観光客でベジタリアンである500名、訪日時に“一番” 不便に感じたことについて]:フードダイバーシティ株式会社調べ

  • 訪日時、自国から食事を持ってきましたか?
▲[対象者=訪日観光客でベジタリアンである500名、訪日時に自国から非常食を持ってきたか]:フードダイバーシティ株式会社調べ
▲[対象者=訪日観光客でベジタリアンである500名、訪日時に自国から非常食を持ってきたか]:フードダイバーシティ株式会社調べ

日々ベジタリアン観光客と接していると、自国から食べ物を持参するケースや、ホテル近くのスーパーで食材を買って自分で調理しているケースは、決して少なくないことに気付きます。

ちなみに、2018年の観光庁の報道では、訪日観光客1人辺りの消費額は約15万、そのうち飲食費用は約20%で約3万円とされています。ベジタリアン対応が遅れれば遅れるほど、3万円の機会損失は広がっていきます。

メリットを知る〜ベジタリアン対応で「ノンベジタリアン」も集客できる〜 

ベジタリアン対応することによるメリットは何でしょうか?」という質問を投げかけると「既存のお客様に加えて、訪日ベジタリアンのお客様が純増する」というような答えが返ってくることがあります。間違いではないのですが、もう一つ重要な観点が抜け落ちています。

ベジタリアン対策は実際は、ベジタリアンだけでなく、「ノンベジタリアン」の集客拡大にもつながります。

むしろここのインパクトが一番大きいと考えています。台湾の例で説明します。

現在台湾ベジタリアン比率は13%と言われています。すなわち、台湾人の7人に1人がベジタリアンということになり、家族や友達グループで訪日する場合、ベジタリアンの方が混ざっている可能性が非常に高いです。

▲ノンベジタリアンとベジタリアンが混在する旅行グループのイメージ
▲ノンベジタリアンとベジタリアンが混在する旅行グループのイメージ

この場合、ベジタリアン対応の可否により、そのお店が選ばれるかどうかが決まるといっても過言ではありません。

つまり、ベジタリアン対応はベジタリアンだけでなく、ノンベジタリアンもあわせて集客することができます。


今回は、ベジタリアン市場の概況および対応メリットについてお伝えしました。次回以降は事例や具体的なノウハウについて解説していきたいと思います。


<参照>

*1 http://www.expo2015.org/magazine/en/lifestyle/375-million-vegetarians-worldwide.html

*2 https://www.livekindly.co/veganism-america-soars/

*3 https://www.projectdesign.jp/201806/invound-expansion/004986.php

*4 https://honichi.com/news/2019/02/08/hanedaairportxvegan/

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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この記事の筆者

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社

フードダイバーシティ株式会社 代表取締役 守護 彰浩。千葉大学卒。2007年楽天株式会社入社。2014年に日本国内のハラール情報を多言語で世界に発信するポータルサイトHALAL MEDIA JAPANをサービスイン。またハラールにおける国内最大級のトレードショーであるHALAL EXPO JAPANを4年連続で主催し、2万人以上動員。現在ではフードダイバーシティをコンセプトにハラールだけでなく、ベジタリアンヴィーガン、コーシャなどありとあらゆる食の禁忌に対応する講演やコンサルティングを行う。流通経済大学非常勤講師も務める。

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