全国12会場を舞台に熱戦を繰り広げている「ラグビーワールドカップ2019」で、日本は史上初の決勝トーナメント進出を果たしましたが、20日に東京スタジアムで行われた準々決勝では南アフリカとの対戦には結果敗れてしまいました。
日本代表の試合は終わってしまいましたが、外国人サポーターをはじめとする、インバウンドの地方誘客促進への効果は引き続き期待が高まります。
実際に各地のファンゾーンでは、日本文化に触れられるイベントも開催しており、地域の魅力を発信する拠点の役割も果たします。今回は、福岡の例をふまえ、ラグビーワールドカップの開催による、インバウンドの地方誘致の現状について見ていきましょう。
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6チームのキャンプ地・福岡での変化
アイルランドやサモアなど、全6チームのキャンプ地となっている福岡では、選手をはじめ外国人サポーターの姿が街中でも頻繁に見かけられます。
福岡は地理的にアクセスが便利なこともあり、普段から韓国や中国からの観光客が多い地域でした。ところがラグビーワールドカップの開催により、こうした光景が一変したといいます。
福岡市の観光スポットが点在する中洲川端の商店街や、キャナルシティ博多では、欧米人の観光客が急増しています。開催期間が長いため、選手だけでなく、長期滞在する外国人サポーターを街で見かけることも増えました。
ラグビーファンが多く宿泊するホテルに、ナイトツアーなどのイベントのチラシを配りに行く旅行会社もあり、試合の前後に福岡や九州を周遊観光する様子も顕著です。
日韓関係の悪化から訪日韓国人観光客が減少したことや、中国人を乗せたクルーズ船の寄港も縮小したことも影響しているようです。これまでは福岡市内で"爆買い"をするアジア人観光客が多かったところ、ラグビーワールドカップを契機に周遊観光などのコト消費需要の高まりが現地では感じられているといいます。
ラグビー観戦の観光客がターゲット「祭りアイランド九州」
こうした状況を見越した取り組みもあります。ラグビーワールドカップの開催に合わせて、熊本県熊本市を中心に、"祭り"をキーワードに九州の魅力を発信する「祭りアイランド九州」が開催されました。
海外からのラグビーファンをターゲットに「熊本地震からの復興に向けて九州・山口の魅力を全世界にPR」「外国人観光客、特に欧米豪の周遊促進とリピーター化」を目指し、さまざまなプロモーションを実施しています。
熊本市内中心部では『九州・山口の祭り 熊本に集結』というイベントが2日に渡り開催されました。ユネスコ無形文化遺産に登録されている博多祇園山笠など5つの祭りと、長崎のランタンフェスティバルなど九州各地から約40の祭りが集結しています。
インバウンドの周遊観光促進とリピーター化を目指し開設されたサイト「九州・山口地域の祭りめぐり」では、50以上の九州・山口・沖縄地域の秋祭りが紹介されています。試合の前後に周遊観光などのコト消費需要が高まっていることから、地域の特色が現れる"祭り"をキーワードに、インバウンドの地方誘客促進が見込まれるでしょう。
外国人サポーターによる消費拡大
ラグビーは元々イギリスのパブリックスクールが発祥の富裕層のスポーツです。試合観戦と合わせて観光も楽しむなど、時間とお金に余裕を持って日本滞在を満喫する様子が見られます。
大会組織委員会によると、今大会による外国人観光客は約40万人を見込んでいます。
初めての訪日旅行であるケースも少なくありません。チームを応援したいという動機もあり、長期滞在も多くなっています。予算に余裕のある人も多いので、出費を惜しまないという特徴もあります。
観戦をきっかけに日本を旅する人もいます。福岡から近い鹿児島や沖縄などが目的地となっているようです。
買い物では数万円を消費する訪日外国人観光客の姿も見られています。スタジアム周辺の飲食店も客の9割が外国人ということもあるそうです。普段の3倍のビールを用意したが全く足りないといった嬉しい悲鳴も聞かれています。
このように、首都圏だけでなく地方においても、ラグビーワールドカップの開催による"特需"に沸いています。
まとめ:ラグビーW杯をきっかけに訪日客のリピーター獲得へ
ラグビーワールドカップの各チームのキャンプ地や試合会場付近を中心に、インバウンドの消費拡大や周遊観光が広がっています。
一過性のブームにしない為にも、観戦目的で初めて日本を訪れたインバウンドのリピーター化が重要になります。
今回のラグビーワールドカップの各分野における経験は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際に生きてくると考えられます。インバウンドの大規模な地方誘致の動きに備え、早め早めの対応が、この先の需要の取り込みに影響してくるはずです。外国語対応など、できることから手を付けていくべきでしょう。
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<参照>
・BUSINESS INSIDER:アイルランド選手が突然来訪。「中韓の観光客とは違う」ラグビーW杯旅行者の存在感
・産経新聞:W杯盛況支える外国人ファン 長期滞在「お金に糸目付けない」経済効果各地に波及
・一般財団法人自治体国際化協会:ラグビーW杯観戦客をターゲットに、"祭り"を国内外に発信『祭りアイランド九州』
・福岡市:ラグビーワールドカップ2019
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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