「御朱印」とは、神社や寺院を参拝した証として印章・印影を押印してもらう台帳のようなもので、印章・印影収集がブームとなっています。参拝した日付や寺社名、神社に祀られている御祭神や寺院に据えられている御本尊の名前などを墨書きしてもらえること、神社や寺院ごとに特徴あるデザインであり、特別感に心を満たせる人が多いようです。
最近では、いただいた御朱印をSNSで投稿・共有する人も増えています。中には外国人観光客と思われる人のSNS投稿も見かけるようになりました。
今回は、実際に外国語での御朱印集めのSNS投稿があった神社に、外国人観光客の来訪状況や御朱印集め、神社の実際の対応について話をうかがいました。
外国人は御朱印をどのように楽しんでいるのか、そして、寺社は御朱印集めをする外国人をどのように迎えていくべきかを考えます。
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御朱印とは?写経の証から参拝の証へ
御朱印はもともと、お経を写した「写経」を納めた証としてさずけられるものとされていましたが、最近では神社をお参りした証としてさずける神社やお寺も増えてきました。御朱印集めのブームにつながったきっかけといえます。
「令和」改元でブームが加速
御朱印は神社やお寺によって、デザインが異なります。デザインの違いを御朱印集めの楽しみにする人が増えブームになりました。さらに昨年、「平成」から「令和」への改元をきっかけに、新元号が記された御朱印を集める人が増えたことでブームが加速しました。
ブームにより御朱印の認知度が上がった一方で、中には「スタンプラリー感覚」で御朱印集めをする人もいるようで、神社によってはトラブルになっていることもあると報じられています。あくまで参拝するという行為に対する証として御朱印をいただく、という基本を忘れないようにするのが大切です。
神社ごとに独自の御朱印帳も
御朱印を拝受するためには、専用の帳面「御朱印帳」が必要です。普通のノートや紙などに御朱印をもらおうとする行為は失礼だと認識され、御朱印を断られることもあります。
御朱印帳は文具店や通販などでも手に入れられますが、寺社オリジナルの御朱印帳を購入することもできます。表紙のデザインやサイズ、紙質などにそれぞれの特徴があり、御朱印集めをより意味あるものにしてくれそうです。
御朱印集めが訪日外国人にもブームに
最近では、SNSにいただいた御朱印を紹介する訪日観光客の投稿も見られるようになりました。各地の神社の御朱印を様々なハッシュタグと共に投稿する、熱心な外国人もいるようです。
では、外国人にとって、御朱印はどのように捉えられているのでしょうか。
御朱印に記される漢字の意味や形が魅力
外国人向けに英語で情報を発信するWebサイト「LIVE JAPAN」では、御朱印に記される漢字の魅力について書かれており、外国人は、その意味を理解していなくても漢字の形や筆で書かれる芸術性などに興味を持つと紹介しています。
そもそもは、日本での御朱印ブームが外国人に御朱印を知ってもらうきっかけになったのかもしれません。SNSには外国人による御朱印に関連した投稿が、いくつも確認できます。外国人にとって、御朱印集めが「日本らしさ」を感じられるひとつのコンテンツとなっていることがうかがえます。
Twitter:中川八幡神社の御朱印についての投稿(https://twitter.com/NooBenjy/status/1241988509939806209)
Instagram:鳩森八幡神社の御朱印についての投稿(https://www.instagram.com/p/B9n2MLzlYUj/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading)
御朱印集め投稿があった鳩森八幡神社に聞いた
実際にSNSで外国人からの御朱印投稿があった神社の一つ、鳩森八幡神社(東京都渋谷区)の担当者に、外国人の神社参拝や御朱印集めの現状について聞いてみました。
神社参拝者の10人に1人は外国人に
鳩森八幡神社の担当者によると、神社に参拝に訪れる外国人の数は毎年多くなっており、初詣やお祭りの日などで混み合わない普段の日の10人に1人が外国人だそうです。男性は1人で訪れるバックパッカーが多く、女性は友人や家族で訪れる人が多いと教えてくれました。
中国や台湾といった近隣の国からの観光客が多いものの、アメリカやカナダからの参拝者もいるとのことです。
外国人にも訪れてもらいやすい工夫も
鳩森八幡神社では増えつつある外国人観光客に向けて、神社の由来などを記した「由緒書き」の英語バージョンやおみくじを外国語バージョンで作っています。この他にも、英語が得意な地元大学生にボランティアでガイドに参加してもらうなど、外国人にも神社に親しみを持ってもらえるような工夫をしているとのことでした。
なお、御朱印書きについて、土曜・日曜・祝日は直書きではなく、書き置き紙対応にしていることがあるそうです。
御朱印集めを通じて神社や寺院の文化を知ってもらう
外国人にとって御朱印集めは、日本での思い出に残るユニークなお土産の一つとなります。中には御朱印のデザインや書道で書かれる漢字の良さを感じる人もおり、御朱印を通じて外国人に日本の神社や寺院を知ってもらうことができます。神社や寺院にも外国人が少しずつ増えてきたことに合わせ、御朱印の対応状況についても、多言語表記が必要かもしれません。特に御朱印の希望者の多い神社では、日時による対応方法の違いについても、多言語での表示・アナウンスが必要といえます。
さらに、熱心な外国人にはさらに御朱印のもととなった「写経」について外国語で伝える場や体験する場を設けることで、神社や寺院に何度も訪れるきっかけを作ることができるのではないでしょうか。
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