1兆円の経済波及効果を生む「MICE(マイス)」とは:コロナ禍で開催様式はどう変わる?

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MICE(マイス)とは、国際会議や研修旅行などのビジネスイベントを指す総称です。

開催地には高い経済波及効果をもたらすことから、世界中の都市が積極的にMICEの誘致に取り組んでいます。

しかし、コロナ禍の影響により、大人数でのイベントや国を超えた移動が制限された今、MICEの今後の開催様式について関心が高まっています。

今回はMICEの定義と経済波及効果をふまえ、開催に関わる主催者、運営会社、国・地域の3者のそれぞれのメリットと、コロナ禍で開催様式がどのように変化するのかについて解説します。

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MICEとは?

MICEとは、Meeting(企業の会議)Incentive Travel(研修・報奨旅行)Convention(国際機関や学会が行う国際会議)Exhibition/Event(展示会や見本市・イベント)の頭文字を繋げて造った総称です。

日本におけるこれまでのMICEの開催状況と、MICEがもたらした経済波及効果について解説します。

日本のMICE開催状況とその経済波及効果

国際会議協会(ICCA)の統計によると、世界における国際会議の開催件数は年々増加傾向にあり、2019年に13,254件を記録しました。

2019年には日本で527件の国際会議が開催されており、世界第7位の開催件数となりました

観光庁の調査によると、2016年の日本における国際MICE開催の経済波及効果は1兆590億円と推計されており、今後も拡大が見込まれています。

また、国際MICEに参加した外国人の日本滞在における1人当たりの平均消費額は33.7万円となり、一般の訪日客が約15万円であることに比べると、2倍以上の消費額となっています。

MICEのメリットとは?

MICE開催は主に「主催者や発案者」「運営をするイベント会社や会場を提供するホテルなどの施設」「MICEが開催される国や自治体」が携わることで成り立っています。

これらの3者におけるMICE開催のメリットを、それぞれ紹介します。

主催者:各国の専門家と交流し学問やビジネスの発展につながる

MICEの主催者には、普段会うことのない各国の専門家や参加者との情報交換や交流を通じて、新たなアイディアや発見が生まれ、さらなるビジネスや学問の発展に繋げられるといったメリットがあります。

運営会社・会場:宿泊費・交通費など滞在に伴う高い経済波及効果

MICEの運営には、国際会議などの企画運営を専門とするPCO(Professional Congress Organizer)企業をはじめ、各種会議施設やホテル・警備・ケータリングなどの会社が携わります。

このようなMICEに関わる運営会社や会場は、多くの企業がMICEに参加することで、会場のセッティングにかかる費用はもちろん、宿泊費や交通費といった滞在費用の発生から高い経済波及効果が期待できます。

また近年では、文化財の施設や日本庭園・水族館・博物館といったユニークベニューがMICEの会場として注目されているため、さまざまな施設にMICE開催による経済波及効果を受けるチャンスがあるといえるでしょう。

国・地域:観光客誘致や国際的地位・競争力の向上につながる

MICEのような大規模な国際会議やイベントでは、主催者や出展者・参加者による消費および事業支出が非常に大きいことに加え、比較的長期にわたり滞在するため、開催国や地域にとって一般の観光客よりも高い経済波及効果を得られる点がメリットとして挙げられます。

また、MICEは、世界では多くの国においてイノベーションツールとして高い注目を集めています。MICEにより生まれる新たなイノベーションやビジネスチャンスは、開催国や都市のビジネス環境の向上に繋がることはもちろん、国際競争力の向上も促進します。

コロナ禍のMICEはどうなる?

MICEは高い経済効果と開催国や都市のイノベーションにも大きな役割を果たすとして、世界中が関心を向けていますが、コロナ禍により大規模なイベントの実施や国をまたぐ移動が制限されているのが現状です。

ウィズコロナ時代の新たなMICEのあり方について、ガイドラインの内容とオンラインMICEの広がりについて解説します。

MICE開催のガイドラインの発表

一般社団法人日本コンベンション協会(JCMA)は2020年9月、「新型コロナウイルス感染症禍におけるMICE開催のためのガイドライン 第3版(改訂版)」を発表しました。

本ガイドラインでは、大規模イベントとなるMICEの開催で懸念される感染リスクを明示したほか、それらへの対策が具体的にまとめられています。

MICEの運営関係者の安全に関しては、出勤前の体調確認や体温測定の実施と記録をはじめ、感染の疑いがある関係者または濃厚接触者がいる場合の対処フローを事前に定めて自宅待機等の対処を行うこと、手洗いと手指の消毒の徹底、マスクの着用などについて言及しました。

MICEの開催施設への依頼事項としては、会場内の清掃や消毒の頻度を増やすこと、消毒液とサーモグラフィーなどの設置、こまめな換気の実施などを求めています。

オンラインMICEの広がり

新型コロナウイルスの感染拡大以降は、さまざまな展示会や見本市がオンラインで開催されるようになりました。

2020年9月5日に開催された「東京ガールズコレクション(TGC)」は、例年全国から来場者が集まる大規模イベントである点をふまえ、来場者の安全を第一に考えてオンライン開催に踏み切りました。

2020年4月時点で開催の中止を決定していた「第30回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2020)」も、出展者からの商談機会や新製品発表の場を望む声を受け、8月5日に会期を11月に変更しオンラインで開催することを発表しました。 

オンラインMICEは、自社サービスや製品の紹介動画を流した後に、オンラインツールを使用し商談を行うといった進め方が多く見受けられています。

製品説明や商談は、オンラインでも十分に対応できるといった意見が多いなかで、製品を実際に体験し反応を確認する点は難しいという意見もあるのが現状です。

とはいえ、オンラインMICEには会場運営費といったコストの削減や、MICEの様子をデータに記録できるといったメリットもあり、将来的に5Gが広く普及した際には、オンラインMICEのコンテンツの工夫によってはより進化を遂げることが期待できるでしょう。

多くのビジネスチャンスが潜むMICE

MICEには、主催者や運営者・開催国と地域に大きな経済波及効果をもたらすとともに、新たなイノベーションやビジネスチャンスが生まれる場としても注目されています。

コロナ禍によりリアルな場でMICEを開催し各国から参加者を募ることが難しくなりましたが、日本ではガイドラインが策定されたり、各社でも次から次へとオンラインMICEの取り組みも始まったりして、今後新しい形のMICEに対する期待が高まります。

オンラインMICEを開催する際には、国内外の先行事例をふまえ、出展者と参加者にとってより良いビジネスの場になるよう、柔軟な発想で準備を進めることが求められるでしょう。

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<参考>

ICCA:ICCA announces record number of association meetings in 2019

観光庁:我が国の国際MICE全体による経済波及効果は約1兆円!~主催者等の負担分も含めた外国人参加者1人当たり総消費額は平均33.7万円~

一般社団法人日本コンベンション協会(JCMA):【改訂版】「新型コロナウイルス感染症禍におけるMICE開催のためのガイドライン 第3版」を公開します

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

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  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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