2019年まで順調に拡大していたインバウンド市場。レジャー目的で入国する訪日観光客の数字の大きさに注目が集まりがちですが、消費単価の大きい「MICE」参加者も忘れてはいけません。JNTOもMICE分野での活動が盛り上がるよう、以前から取り組みを進めています。
今回は、2020年7月にJNTOが開設したMICEのSNSアカウントについて紹介します。また、MICE分野におけるJNTOのこれまでの取り組みや、MICEがもたらす経済効果について解説します。
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【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
JNTOがMICEのSNSアカウントを開設
JNTOは7月17日、MICEの日本語Facebookアカウントを開設したことを発表しました。また、これまでも運営しているMICEのLinkedInグローバルアカウントにおいても、日本語での投稿を開始したことを伝えています。
これらの日本語SNSアカウントは、国際会議の日本誘致を検討している主催者や、日本における国際会議の開催を予定している主催者、学会関係者を対象に、国際会議開催に向けた足掛かりとなる情報を日々発信しています。
MICEの開催地となることは、観光地としての魅力も世界に向けてPRする機会に恵まれることを意味します。MICE誘致は地域振興に向けて有効な1つの手段といえるでしょう。自治体や関係組織にとっては、国際会議や学会実施の動向を把握し、MICE開催地として名乗りを上げることにも役立つと考えられます。
JNTOは、これまでも公式サイトでの情報発信に取り組んできました。今回のSNSアカウント開設により、MICE事業に関する情報はより頻繁に、手軽に関係者にチェックしてもらえるという利点が生まれます。日本社会におけるMICEの認知と理解がさらに進んでいくことが期待できるでしょう。
JNTOのMICE分野でのこれまでの取り組み
JNTOは、日本のMICEブランドの認知拡大を目指し、コンセプトを視覚的に発信するブランドロゴを作成しました。MICE開催地として、海外に日本の魅力を発信していくにあたり、JNTOが作成したロゴマークを使用することが可能です。
またJNTOでは、MICE分野で経験が豊富なスタッフが、国際会議などの開催を計画している主催者に向けてさまざまなコンサルティングを行っています。
開催にあたり寄付金を募りたい主催者に対しては、寄付金・交付制度の紹介をしています。MICEの開催地を探している場合には、MICE開催に適した全国各地のコンベンション施設やホテルはもちろん、歴史的建造物や文化施設などのユニークベニューもJNTOのホームページで検索できるため、日本の歴史文化も合わせて発信できるMICE開催を後押ししています。
そのほかにも、JNTOが持つ国内外のMICE関係団体とのネットワークを活用し、主催者がMICE開催の立候補や誘致活動をする際のサポートサービスも提供してきました。
MICEの市場規模は?経済波及効果は約1兆円に
MICEを開催すると、参加者による宿泊や交通・飲食などの消費をはじめ、主催者による施設利用など、大きな消費活動が発生します。実際にMICE分野は、大きな経済波及効果を開催地や日本全体にもたらしています。
観光庁の2018年に実施した調査によると、日本において国際MICE全体による経済波及効果は、約1兆円にものぼります。なかでもMICEの「C」に当たる国際会議の経済波及効果は6,789億円と、開催件数と人数の増加が顕著に表れ、対前年比で15%増となりました。
また、主催者等の負担分も含めた外国人参加者の総消費額は、1人当たり33.7万円〜が平均です。2018年の訪日外国人消費動向調査の結果によると、訪日外国人1人当たりの旅行支出は約15万3,000円であり、外国人のMICE参加者は一般の訪日客の約2倍の額を消費することがわかります。
日本国内におけるMICE開催事例:沖縄科学技術大学院大学
2019年11月、沖縄科学技術大学院大学で「第20回システムバイオロジー国際会議(ICSB2019)」が開催されました。ICSBは2000年以降、世界各国で毎年開催されているシステム生物学の最大の国際学会です。
12年ぶりの日本開催となった今回は、442人の参加者が海外から参加しました。
会期中は、会場の外にレストランがないため弁当を配布していましたが、海外からの参加者に配慮しベジタリアンやハラールに対応した弁当を数種類準備するなどといった工夫をしました。
また、国際会議を学術的に高いレベルを誇る沖縄科学技術大学院大学で開催することで、日本の科学技術力を世界にPRする絶好の機会になったとしています。
日本の文化的・科学的側面を発信する機会として、海外との活発な交流が実現しました。
地元の沖縄の人たちのおもてなし精神も素晴らしく、海外からの参加者が観光や食事で沖縄の街に出かけた際も、ポジティブなフィードバックがあったとしています。
コロナ禍におけるMICE開催のためのガイドラインを制定
一般社団法人 日本コンベンション協会は7月6日、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室のチェックを受け改訂した、「新型コロナウイルス感染症禍におけるMICE開催のためのガイドライン第2版」を公開しました。主催者に向けて、MICE再開に向けた具体的な指針を示したものです。
感染リスクに対する注意点を明示したほか、参加者の安全対策が準備段階から会期中までシチュエーション別に定められています。運営関係者の感染予防対策や、安全にMICEを運営するための開催施設への依頼事項もまとめました。
ウィズコロナ時代のMICE開催は、徹底した感染予防対策を実施し世界にアピールすることで、インバウンド市場のいち早い回復に貢献できることでしょう。
<参照>
JNTO:MICEブランド
JNTO:JNTOからのお知らせ
観光庁:我が国の国際MICE全体による経済波及効果は約1兆円!~主催者等の負担分も含めた外国人参加者1人当たり総消費額は平均33.7万円~
展示会とMICE:観光庁調査結果 日本の国際MICE全体の経済波及効果は1兆円 ~MICEの主催者や出展者による支出額算出し、全体の総消費額も把握へ~
JNTO:主催者の声
JCMA:【改訂版】「新型コロナウイルス感染症禍におけるMICE開催のためのガイドライン 第2版」を公開します
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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