野村総合研究所(以下:NRI)のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏は、東京五輪が中止または受け入れ観客数が制限されての開催となった場合の経済損失についての試算を発表しました。
同氏の試算によると、中止となった場合には1兆8,108億円の経済損失が生まれるとのことです。
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東京五輪の経済効果は1兆8,108億円、中止ならすべてがゼロに
5月25日、NRIのエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏は、東京五輪が中止となった場合、1兆8,108億円の経済損失が生まれるとの試算を公表しました。
また、無観客開催となれば、1,470億円の損失になるとされています。
五輪中止なら経済効果の総額1兆8,108億円が損失
木内氏が触れている組織委員会の資料では、1兆8,108億円という経済効果について、大会運営費とその他、さらに新型コロナウイルス対策の3つに分けて示されています。
なお、同資料は、国内の観光客を受け入れた場合の経済効果を予想したものとなっています。
大会運営費は12,070億円が見込まれており、内訳には、仮設費の3,890憶円、オペレーション費の1,930億円、マーケティング費の1,360憶円、そしてテクノロジー費の1,210憶円などが含まれます。
運営費以外の経済効果として見込まれているのは5,078憶円です。うち関連グッズ・テレビ購入などによるものが2,910憶円を占めており、チケット販売に伴う収益は900憶円だとされています。
なお、新型コロナウイルス対策としては960億円の予算が示されています。
五輪中止の判断が下された場合、以上の経済効果がすべて失われることがわかります。
海外客受け入れ断念により1,500億円の損失と試算、無観客ならさらに1,468億円の損失
日本政府は、東京五輪開催にあたって海外からの観客受け入れを中止することを発表しています。
この決断によって、現時点で1,500憶円の経済効果が失われた事がわかっています。
1,500憶円という数字については、木内氏が2019年の訪日外国人の総消費額4兆8,113億円をもとに算出したものです。
同氏は、総消費額4兆8,113億円を訪日外国人観光客数3,188万から割り出すと一人当たりの消費額が15万1,000円程度となると述べています。
東京五輪は、海外からの大会観客数が100万人と見込まれていたことから、前述の15万1,000円の100万人分を海外からの観光客による経済効果として見込んでいました。
また、国内の観客受け入れについては、未だ受け入れ数が決まっていません。政府は6月にも確定、公表するとしています。
観客数の制限にはさまざまなケースが考えられますが、木内氏によると、無観客での開催となった場合には五輪開催による収益が16,640億円となり、前述の1兆8,108億円から1,468億円減少するとのことです。
1,468億円に含まれるものは、観戦チケットの総売上900憶円と、交通費、宿泊費、飲食費、買い物代、施設利用料等を含む消費支出568億円です。
なお、チケット販売による収益については、海外からの観客受け入れ中止によって払い戻しとなった60万枚のチケットが、すべて国内観客に回るものとされています。
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<参照>
野村総合研究所:コラム「東京オリンピック・パラリンピック中止の経済損失1兆8千億円、無観客開催では損失1,470億円」
野村総合研究所:コラム「東京オリンピック・パラリンピックで海外観客受入れ見送りの場合の経済損失試算」
ロイター通信:五輪中止なら経済損失1兆8000億円=野村総研・木内氏
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