日本政策投資銀行は、2021年6月10日「ウィズ・コロナ時代における関西インバウンド観光のあり方」という題でレポートを発表しました。
レポートでは、現在観光目的での外国との往来が難しくなっているものの、人々の「知らないところに行ってみたい」「そこでしか見られない景色を見たい」といった願望は人間の本質的なものであると指摘しています。
よって、ワクチン接種等が進めばいずれインバウンド観光の回復が見込まれるという立場から、「ウィズ・コロナ時代のインバウンド観光に求められるもの」を日本政策投資銀行は提言しました。
提言内容として、コロナ禍後に向け消費単価の高い富裕層のさらなる誘致、リピーター等の多様なニーズに応え得るまだ知られていない観光地の発信の2点をあげています。
インバウンド対策サービスを探している方必見!無料で資料DLできる「訪日コム」を見てみる
コロナ禍以前のインバウンド観光の課題
レポートではまず、コロナ禍以前のインバウンド観光の課題について分析が行われました。
コロナ禍以前では、リーマンショックや東日本大震災による一時的な現象があったものの、訪日外国人旅行者数および消費総額が年平均20%近く成長をつづけてきました。

関西においては、関西を訪れる外国人旅行者は全国を上回るペースで増加してきていました。
特に京都、高野山では文化的な価値を世界からも高く評価されてきていました。
一方で、コロナ禍以前から課題も指摘されてきていました。
まず、訪日外国人旅行者1人当たりの消費単価について、ほぼ横ばい傾向にあります。
またオーバーツーリズムも深刻な問題となっていました。
特に京都府や奈良県では1年間に人口の3倍から4倍の外国人旅行者が訪問しており、住民からの不満、そして観光客の満足度が低下するという問題に陥っていました。
これらの課題について、コロナ禍後も適切に対処していく必要があると考えられます。
コロナ禍で生じるインバウンド観光の変化
次に、レポートではコロナ禍で生じるインバウンド観光の変化について取り上げています。
コロナ禍に伴い、人々の衛生面に関して意識が大きく高まりました。
より安心・安全・清潔を求めた旅行スタイルが選ばれるようになり、旅行が少人数・小規模化すると予測しました。
また地方都市や自然・屋外など三密を回避できる訪問地について人気が高まると考えられます。
さらに人気やトレンドに流されず、本当に行きたい場所を選ぶ傾向にあることもレポートで指摘されています。
ウィズ・コロナ時代のインバウンド観光に求められるもの
そこで日本政策投資銀行では、コロナ禍での人々の意識の変化に対応しつつ、従来から存在する問題に対処する方法として主に2つを取り上げました。
1点目は「消費単価の高い富裕層の更なる誘致」です。
富裕層の誘致に向けて「質的な向上」がキーワードとなります。なぜなら、富裕層は旅行に関して費用をかけることが目的ではなく、本物体験や独自性、快適性などの要素を追求した結果として消費額が高くなるからです。
また最近のトレンドとして、持続可能性、ウェルネス、アートが意識される傾向にあります。
関連記事:2024年に富裕層旅行市場が22兆円に 求める観光コンテンツとは
2点目は「リピーター等の多様なニーズにも応えうるまだ知られていない観光地の魅力の発信」です。
日本政策銀行は、訪日外国人のうち過去に訪日経験のある旅行者、つまりリピーターの割合は近年増加あ傾向にあり、2019年位は60%を超えていることを指摘しました。
その上で、まだ知らない日本の魅力に触れたいというリピーターに対し、情報を発信することで更なる外国人観光客の誘致につながるとアピールしました。
また、関西と東京ではニーズが異なるため、それらに沿った魅力を打ち出していくこともレポートでは述べられています。
外国人観光客のニーズについて日本政策投資銀行がアンケートを行った結果、特に関西においては東京と比較すると「自然や風景の見物」「有名な史跡や歴史的な建築物の見物」「世界遺産の見物」などが上位に来ていることがわかりました。
発信方法については、観光庁が2019年に発表した訪日外国人消費動向調査によると、「出発間に得た旅行情報源で役に立ったもの」としてSNS、個人のブログを参照している人が約25%に達していました。
ここから、インフルエンサーを利用したSNS、個人ブログもとに発信することが求められると考えられます。
コロナ禍後に向けて今から取り組みを
コロナが最初に大きく流行してから1年以上経過した現在でも、インバウンド客の往来再開についてはいまだ見通せません。
しかし、日本政策投資銀行が提言した魅力あるコンテンツ作り、情報発信はコロナ禍の現在でも行えます。
ふたたびインバウンド客を十分に迎えられる日が来るまで、これらの提言をもとに対策を打つのも効果的だと考えられます。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
<参照>
観光庁:訪日外国人の消費動向
日本政策投資銀行:ウィズ・コロナ時代における関西インバウンド観光のあり方
【6/24開催】集客の両輪を加速させる!新規とリピーターで“人が集まる”仕組みづくり
競合店舗がひしめく中で、お客様に選ばれ続けるためには「単発的な集客施策だけでは不十分」と感じられている店舗事業者の方も多いのではないでしょうか?
集客力を最大化するには、「新規顧客の獲得」と「再来店の促進」この2つの視点を両立することが必要不可欠です。
本セミナーでは、店舗ビジネス向けメディア「口コミラボ」を運営する株式会社movと、セミカスタム型アプリパッケージ「App Publisher」を提供するエンバーポイント株式会社が共催し、
・新しいお客様を呼び込むための口コミ活用術
・お客様にリピートしてもらうためのアプリを活用したCRM戦略
について、それぞれ解説いたします。
新規集客・リピーター獲得に課題を感じている方は、ぜひご視聴ください!
<本セミナーのポイント>
- 新しいお客様を呼び込むための口コミの収集、活用方法が学べる!
- アプリを活用したリピーターを獲得するためのCRM戦略が学べる!
- 各企業の実例から”明日から使えるテクニック”が学べる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→集客の両輪を加速させる!新規とリピーターで“人が集まる”仕組みづくり【6/24開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!