ホテル予約26倍...韓国からのインバウンドが「爆増」する理由

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日本政府は今月11日から、水際対策を大幅に緩和しました。短期滞在ビザは免除され、個人旅行も解禁されるなど、入国条件はほぼコロナ前の状態に戻り、再び「開国」したといえます。

そうして世界の旅行市場に舞い戻ってきた日本に、最も熱い視線を注いでいるといえる国がお隣、韓国です。コロナ前までは相互に活発な観光客の往来があった日本と韓国ですが、コロナ禍においては相互の渡航制限により、観光目的の入国はできませんでした。

しかし、日本の人気はコロナ禍の最中でも衰えていませんでした。実際、6月に相互の観光が限定的に再開した際には、ビザの申請や旅券を巡り「争奪戦」が各地で起こりました。

そして今回、ついに全面的に訪日旅行が解禁されたことで、韓国では訪日熱が爆発しています。本記事では、韓国人の訪日旅行に関する基本的なデータから、最新の動向までをチェックしていきます。

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問い合わせは1,120%増、ホテル予約は26倍

訪日旅行を扱う韓国の大手旅行会社、HANATOUR JAPAN(ハナツアー)では、9月1日から同22日までの日本旅行の問い合わせ件数は、8月に比べ1,120%増加したと、韓国経済新聞が報じました。

また韓国のオンライン旅行会社であるTripbtozでは、9月の日本のホテルの予約件数が8月に比べ26倍に増加したと、ソウル聯合ニュースが報じました。

韓国国内では、訪日旅行に関するこうした予約件数などの数値が、9月以降に軒並み急上昇しています。

決め手は「ビザ免除×円安」

そうした急上昇の大きな要因としては、「入国制限の大幅緩和」と「円安ウォン高」が挙げられます。

まず「入国制限の大幅緩和」についてです。日本政府は9月下旬に、10月11日からの入国制限の大幅緩和を行うと発表しました。具体的には、「短期滞在ビザの免除」「1日当たり入国者数の上限撤廃」「個人旅行の解禁」が実施されました。

その中でも韓国人の訪日旅行の回復にとって大きかったのは、ビザの免除です。日本旅行が限定的に再開された今年6月頃には、韓国の日本領事館には連日5~600件ほどの申請が殺到し、処理が追いつかないという状況もありました。

今回の入国制限緩和により、そのビザの申請が不要になり、さらに旅行業者を通さない個人旅行も解禁されたことで、訪日旅行のハードルは大幅に下がったといえます。

そしてもう一つ、訪日旅行回復の追い風となるのは「円安ウォン高」です。

2022年の初頭には、1ウォンは0.09円台後半で推移していましたが、日本円の対ドル安を追うようにして、6月頃には1ウォン0.12円までウォンが上昇しました。

円安の状況が生まれたことで、韓国国内でも非常に人気の高い日本の食品や、日本のアニメやエンタメのグッズなども安く買うことができます。また円安により、予算を抑えたままホテルのグレードを上げる、といった行動をとることも考えられます。

ビザ免除と円安という、2つの好条件がそろったことで、韓国人の訪日旅行が爆発的に回復しているということです。

訪日韓国人の特徴は?

そんな訪日韓国人は、コロナ前の2019年まではどういった特徴をみせていたのでしょうか。データで見ていきましょう。

まずは訪日客数をみていきます。2019年には、日韓関係の悪化により訪日客数は大幅に減少しましたが、2018年には過去最多となる約750万人が訪日していました。これは全国籍の総計の約25%にあたる人数です。訪日韓国人は、日本のインバウンドの「お得意様」であるといえます。

訪日韓国人観光客数(2014年〜2019年)
▲訪日韓国人観光客数(2014年〜2019年)


訪日韓国人の最大の特徴といえるのは、男女ともに若年層が多いということです。

訪日韓国人観光客 性別・年齢別内訳(2019年)
▲訪日韓国人観光客 性別・年齢別内訳(2019年)

そのため、訪日旅行をする際の情報収集で利用する媒体としても、SNSや個人のブログなどがよく利用される傾向にあります。訪日韓国人に向けたプロモーションを打つ際には、この年齢構成と、SNS等の影響力の強さを念頭に置いておく必要があります。

訪問地域の特徴としては、東京都市圏よりも九州、特に福岡の訪問率が高いことが特徴です。

日本政府観光局:都道府県別訪問率ランキング
▲日本政府観光局:都道府県別訪問率ランキング

地理的・時間的な近さから、日帰りで行けるほどの手軽な観光地として、福岡や大分が親しまれているということです。

訪日韓国人の回復は大都市圏から、新規客にも期待

最後に、今後日本を訪れる訪日韓国人が、どんな傾向を示すか予測していきます。

まず一つ目は、大都市圏への訪問の集中です。

韓国人の訪日意欲が急速に高まっている一方で、両国を結ぶ航空便はまだ完全には回復していないのが現状です。特に韓国の主要空港と、日本の地方空港とを結ぶ路線で回復が遅れています。

そのため、今後数か月の間は、日本の主要空港の周辺に訪日韓国人の訪問が集中すると予測されています。地方部の観光地としては、航空便の回復を待つか、都市部から地方部への誘客を強化することが必要になると考えられます。

もう一つは、新規の訪日客の増加にも期待できるということです。

コロナ禍で両国の物理的な往来がストップしていた時期にも、互いのコンテンツは両国でますます高い人気を集めていました。日本において韓国のエンタメが人気であるのと同じように、韓国では日本のグルメ、エンタメ、アニメといったコンテンツが、特に若年層の間では絶大な人気を誇っています。

この3年間でそうしたコンテンツに触れてきた若年層が、ついに訪日旅行が再開した今、初めて日本を訪れる可能性は高まっています。訪日韓国人は、もともとリピーター率が高いのが特徴ですが、新規の訪日客の獲得にも期待がかかります。

日韓の往来全面回復へ、条件は揃った

韓国から日本への訪問と同様に、日本から韓国への訪問も本格化していきます。韓国政府は今月17日、日本などからのビザなしでの短期滞在を認める措置を11月から全面的に再開すると発表しました。

韓国人の訪日に関する唯一の懸念点は、日韓関係の悪化に影響を受けやすいという点ですが、ここ数か月は日韓関係は比較的落ち着いており、今後悪化する兆候も現時点では見られません。

入国制限の緩和、円安、比較的良好な日韓関係と、両国の往来が全面的に回復する条件がそろった今は、またとない好機であるといえます。隣国・韓国との距離が、一気に再び縮まることに期待がかかります。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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