抹茶や緑茶は、日本を訪れる外国人観光客にとって魅力的なコンテンツとして広く認知されています。
近年では日本食ブームや健康志向の高まりを背景に、抹茶を使ったドリンクやスイーツはもちろん、茶道具が人気を集め、さらに茶道体験や「ティーツーリズム」といった、体験型の施策も注目されています。
本記事では、インバウンドから抹茶・緑茶が人気の理由や、抹茶・緑茶を活用したインバウンド施策について、具体的な事例をまじえて紹介します。
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インバウンドから抹茶・緑茶が人気の理由とは
抹茶や緑茶は、日本を訪れる外国人にとって 「日本らしさ」を象徴するコンテンツとして認知されています。その背景には、日本食ブームや健康志向の高まり、そして抹茶フレーバーの認知拡大があります。
和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、世界中で日本の食文化への関心が高まり、その一環として抹茶や緑茶も注目を集めるようになりました。とくに抹茶はカテキンを含む健康的な飲料としての評価が高まり、ヘルシー志向の観光客に支持されているようです。
さらに、 抹茶ラテや抹茶スイーツの普及も人気を後押ししています。農林水産省の資料によると、抹茶の鮮やかなグリーンカラーは視覚的にも魅力があり、SNS映えすることから、訪日客が「日本で体験したい食文化」として求めるようになっているといいます。
以上のように、抹茶・緑茶の人気は、伝統・健康・トレンドという要素が複合的に影響したものであることがわかります。
日本国内だけではない、緑茶・抹茶は世界中から注目
抹茶や緑茶の人気は、日本国内にとどまらず世界中で広がりを見せています。各国で抹茶や緑茶の文化がどのように受け入れられているのか、具体的なデータを見ていきましょう。
緑茶の輸出額、過去最高を記録
緑茶の輸出は過去最高を更新し続けており、その伸びは顕著です。農林水産省のデータによると、この10年間で輸出量は約2.5倍に増加し、2024年の輸出額は過去最高の363.8億円に達しました。
輸出の傾向として、 米国では抹茶を含む「粉末状の緑茶」 が多く輸出されるのに対し、 台湾やEU、英国では「リーフ茶」 の需要が高いことが挙げられます。国や地域によって求められる茶の形態が異なるため、それぞれの市場に適した商品展開が、今後のさらなる輸出拡大の鍵となりそうです。
タイ国内でも抹茶が大人気
日本政府観光局(JNTO)が発表している「外国旅行の動向」によると、タイでは抹茶の人気が非常に高く、現地では抹茶ラテ、抹茶アイス、抹茶チョコレートなどの抹茶商品が広く流通しています。
その影響もあり、 日本旅行の際に本場の抹茶スイーツを楽しむことを目的のひとつとする観光客も多いようです。とくに、抹茶の本場である京都の老舗カフェや和菓子店を訪れることが人気で、土産として抹茶関連の商品を購入するケースも増えています。
タイ国内での抹茶人気は、日本での観光体験や購買行動にもつながっており、抹茶を活用したインバウンド施策において参考になる部分も多いでしょう。
アメリカでは茶道具の人気が増
同じく、日本政府観光局(JNTO)が発表している「外国旅行の動向」によると、アメリカでも日本茶文化への関心が高まり、 抹茶の人気とともに茶道具の需要が増えているようです。
この背景には、 健康志向の高まりがあります。アメリカでは「日本食=健康的」というイメージが定着し、寿司やラーメンなどが都市部を中心に広く受け入れられています。
なかでも抹茶はスターバックスをはじめとするカフェチェーンが抹茶フレーバーの商品を提供するようになったことで、より身近な存在になりました。こうした影響を受け、日本の茶文化を体験したいというニーズが高まり、 アメリカ市場で新たなトレンドとして茶道具が注目されつつあるのです。
抹茶・緑茶でインバウンドを集客するには?
抹茶や緑茶の人気を活かし、インバウンド集客につなげる方法はいくつかあります。ドリンクやスイーツとして提供する手法に加え、茶道体験や「ティーツーリズム」といった体験型の施策を組み合わせることで、より深い魅力を伝えることができます。
それぞれの具体的な施策を見ていきましょう。
1. 抹茶を使ったドリンクやスイーツを提供
抹茶を使ったドリンクやスイーツの提供は、 訪日観光客を惹きつける有力な施策のひとつです。先述のとおり、抹茶は鮮やかなグリーンカラーがSNS映えすることや、 健康志向の高まりを背景に人気が拡大しています。
とくに抹茶ラテや抹茶アイスクリーム、抹茶を使ったケーキや和菓子などは、カフェや土産物店で広く提供されており、外国人観光客にも定番の商品となっています。
さらに、 地域ごとの特色を活かした抹茶メニューを開発することも、インバウンド集客には効果的です。たとえば、抹茶と地元の特産品を組み合わせたオリジナルスイーツを提供すれば、観光地ならではの特別な体験を演出できます。
このように、 抹茶を取り入れた商品展開は、日本らしさを手軽に楽しめるコンテンツとして、インバウンド市場での強みとなるでしょう。
関連記事:人気和カフェチェーン4ブランドの口コミ5,036件を比較!日本人と外国人で評価が分かれたブランドは?
2. 茶道体験でコト消費を促進
近年、訪日観光客の消費傾向は「モノ消費」から 「コト消費」へとシフトしています。日本ならではの文化体験を求める外国人観光客が増えており、着物の着付けや歌舞伎鑑賞、温泉などの伝統文化に触れるアクティビティが人気を集めています。
なかでも茶道体験は、訪日外国人からとくに人気を集めているアクティビティのひとつ。茶道は単なるお茶の試飲ではなく、 自らお茶を点て、もてなすことができる参加型の体験だからです。
また、「わび・さび」といった日本独自の精神や、茶室の静寂な空間を通じて、日本ならではの美意識を体験できることも、外国人にとって大きな魅力となっています。
茶道と結びつけることによる具体的な集客方法については、「茶道の魅力とは?抹茶味ブームを機に海外からも注目、外国人観光客向けの茶道教室も」の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
3. ティーツーリズムで地方へ誘客:静岡市・佐賀県嬉野市の事例
ティーツーリズムは、お茶の産地を訪れ、その土地ならではのお茶文化や体験を楽しむ新しい旅行スタイル。静岡市や佐賀県嬉野市などで積極的に展開されています。
静岡市ではお茶農家や茶商を訪れ、普段は見ることのできないお茶づくりの現場や、本場のお茶を味わう体験型のティーツーリズムが企画されています。
佐賀県嬉野市のティーツーリズムでは、嬉野温泉、嬉野茶、肥前吉田焼の三つの伝統文化を融合させた体験を提供。具体的には、茶畑でのティーセレモニーや、ティーバトラーが滞在中のお茶の世話をする「茶泊(ちゃはく)」、自転車で茶空間や観光スポットを巡る「茶輪(ちゃりん)」など、多彩なプログラムが用意されています。
これらの施策は、訪日客の滞在時間や消費額の増加につながり、地域経済の活性化にも大きく貢献していると考えられます。
抹茶・緑茶を活かしたインバウンド施策の可能性
抹茶や緑茶の人気は、飲食だけにとどまらず、体験型の観光コンテンツとしても広がりを見せています。
抹茶スイーツやドリンクの提供は、気軽に楽しめる施策として効果的ですが、茶道体験やティーツーリズムなどの「日本ならではの体験」を組み合わせることで、訪日観光客の満足度をさらに高められます。
また、外国人観光客のニーズに応えるためには、多言語対応や着物レンタル、写真撮影などの付加価値を取り入れることも重要です。こうした工夫により、SNSでの発信が促され、口コミによる集客効果も期待できます。
抹茶や緑茶の魅力を最大限に活かし、飲食と体験の両面から戦略的にインバウンド集客を進めることで、継続的な集客につなげていきたいところです。
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<参照>
- 農林水産省:その魅力を世界へ発信!日本茶の魅力
- 農林水産省:日本食材 輸出の最前線|日本茶を世界に届ける
- 日本政府観光局(JNTO):訪日旅行誘致ハンドブック 2021(東南・南アジア7市場編)
- 日本政府観光局(JNTO):訪日旅行誘致ハンドブック 2023 年(米州・オセアニア・中東 5 市場編)
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