コモディティは「商品」や「原材料」を意味する英単語ですが、意味や使い方は業界によって異なります。
なかでもマーケティングの領域では、「コモディティ化」という言葉が頻繁に使われ、商品やサービスの品質、機能が均一化し、差別化が難しくなる状態を指します。
インバウンド需要の高まりに伴い、コモディティ化は重要なキーワードのひとつで、地域の文化や独自のストーリーを商品やサービスに取り入れることで、観光客に特別感のある価値を提供し、他との差別化を図ることが求められます。
本記事では、コモディティの意味、マーケティングにおけるコモディティ化の要因、そしてコモディティ化した市場への具体的な対応策について解説します。
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コモディティとは
コモディティ (commodity) は「商品」や「原材料」という意味を持つ英単語です。
おもにマーケティングや投資の分野で使用され、「同種類の商品の中で差別化できていない一般的な商品」を指します。「コモディティ化」「コモディティ商品」といった使われ方をされます。
マーケティング業界におけるコモディティ
マーケティング用語として使われる「コモディティ」とは、市場の中で一時的には他社製品と比較して付加価値があったものの、他社の模倣商品の流通などによりその付加価値が低下し画一的、均質的になることや、その結果、商品の価値が下がってしまう様子をさします。
・コモディティ化とは
食品や日用品など、ある商品のカテゴリに対して多くの商品が流通することで商品間の特徴や魅力に差異がなくなって画一化が進んでいる状態を「コモディティ化している」といいます。
・コモディティ化の具体例
たとえば醤油を例にあげると、それぞれのメーカーが出している醤油に違いがあっても、消費者にとってその違いの判別ができず品質の差別化が難しいとき、醤油の市場がコモディティ化しているといえるでしょう。
また、かつてコーヒーは喫茶店やカフェでゆっくり楽しむものでしたが、近年ではコンビニでも手軽に購入できる高品質なオリジナルコーヒーを提供し始めています。
その結果、顧客はカフェに滞在しなくても、短時間でおいしいコーヒーを楽しむ選択肢を持つようになりました。つまり、コーヒーの市場でもコモディティ化が進んでいるといえます。
投資におけるコモディティ
コモディティは投資においても使用されます。
コモディティ投資とは、コモディティが原材料の意味を持つ単語であることから、未来の期日までに商品を購入または売却することを条件にその価格を現地点で決定する商品先物市場のような取引において、原油などのエネルギーや金銀などの貴金属、小麦、コーヒー豆などの農産物に投資することをいいます。
コモディティ化のデメリット
続いては、コモディティ化によるデメリットを2つ紹介します。
1. 価格競争が激化する
デメリットの1つが価格競争の激化です。
市場がコモディティ化すると顧客の奪い合いになり、価格競争が激しくなる傾向にあります。商品の仕様に大きな差異がない場合、顧客は「それなら安い商品を選びたい」という考えを抱くのは自然だからです。
価格競争によって顧客を獲得できたとしても、投資額を回収するまでの期間が伸び、最悪の場合、回収する前に撤退するリスクも考えられます。
2. 独自性のアピールが難しい
コモディティ化のデメリットとして、独自性のアピールが難しい点が挙げられます。
繰り返しになりますが、市場に似たような商品が出回っている状態をコモディティ化といいます。言い換えると競合商品との差別化ポイントがなく、その結果、独自性をアピールするのが困難になります。
コモディティ化の3つの原因
一般的に1つの市場でさまざまな商品が流通することで商品同士の品質に差がなくなり、コモディティ化が進むと市場価値が低下し価格競争になっていく傾向にあります。
商品価格が下がれば売上も下がるため、どの販売業者も好んで市場をコモディティ化させているわけではないはずです。
ここからはコモディティ化が進む理由を紐解いていきます。
1. 情報の流出(流入)
多くの情報がインターネット上に公開されており、SNSなど一般人でも気軽に情報収集が可能な世の中になりました。他社の商品情報や開発技術を素早く手に入れられることがコモディティ化の原因の1つとしてあげられます。
ある企業がこれまでにない画期的な商品を生み出して顧客の評判を得られたとしても、他の会社が開発情報を入手し、模倣して販売すれば商品の品質などに差がなくなり、コモディティ化が進む状態になってしまいます。
2. 技術力の発展
2つ目の要因としては、多くの企業が顧客を満足させるレベルの商品を開発するリソースを持っていることがあげられます。
日本の高度経済成長期では、商品やサービスの品質の違いがその価値を作り出せる技術力に直結していましたが、企業の発展が進むことでこうした技術の基準が底上げされ、どの企業も同等の価値をつくりだせるようになっています。
コモディティ化を防ぐには模倣されないような技術や仕組みで商品販売をする必要がありますが、現代では技術力のみで他社と差別化することが難しく、これこそがコモディティ化が進む要因の1つに挙げられます。
3. 海外製品の流入
3つ目の要因として考えられることは、海外で製造された安価な商品の流通です。
発展途上国で製造される商品は日本よりも原料や人件費が安い傾向にあり、低価格で生産、販売されることがあります。
すると市場全体でその商品の価格が下がり、低コストで商品を開発しなければならなくなると付加価値をつけるのが難しく、結果的にコモディティ化が進んでいきます。
コモディティ化の対策法
市場でコモディティ化が起きてしまった場合には、あらためて顧客のニーズを見直し自社の商品のセールスポイントを固め、それに沿ってブランディングを進めたり、あるいは販売チャネルを多数持ったりという方法が有効です。
ここでは、市場がコモディティ化した際の対策法を紹介します。
1. ブランディング:顧客目線で付加価値を訴求
コモディティ化している市場で、他社との違いを生み出し顧客に選んでもらう方法の1つとしてブランディングがあげられます。
ブランディングは、自社ブランドの代表的イメージを打ち立てる活動です。
関連記事:ブランディングとは?正しい意味・メリット・方法を6ステップで解説
コモディティ化に対抗するブランディングでは、顧客がそのカテゴリの商品やサービスに対してどのようなニーズを抱えているのかを理解したうえで、そのニーズにこたえる魅力を自社商品の特徴と紐づけて打ち出します。
たとえば、アパレルブランドが商品を冬に販売する場合、顧客のニーズには防寒が含まれます。そのうえで、顧客のニーズについて調査し、ニーズが「より多くの服と組み合わせた着回しを楽しみたい」ことにあると捉えられる場合には、そこを軸とした差別化ができます。
色味や素材、形といった側面から多くの商品と相性の良い商品は、このような顧客にとって付加価値が高い商品となります。同じ防寒機能のある服であっても、こちらを選ぶ顧客が出てくるでしょう。
このブランドの商品はあたたかいだけでなくおしゃれに着回せるというイメージが広がれば、価格競争にまきこまれない独自の地位を築くことができます。
2. 商品のネーミングを工夫・販売経路を増やす
コモディティ化から抜け出すことではなく、市場がコモディティ化している状態でも顧客に選んでもらうためには、商品名やロゴ、キャッチコピーなどをつくり、顧客に認知を広げていくことも1つの手段といえるでしょう。
また、オフラインの販売店舗だけなくECサイトなどを活用してオンラインでの流通経路をつくると、販売のチャネルが増えます。コモディティ化した市場で生き抜く1つの方法です。
3. 切り口を変える
商品の機能や価格以外の観点に目を向けることも重要です。たとえ新しい機能を開発したり、既存の商品を改良したりしたとしても、競合が模倣することで再びコモディティ化するリスクがあります。そのため、「優れた商品とは何か」という視点で商品やサービスの本質を再考する必要があります。
また、コンセプト、商品の見せ方など、機能や価格以外の観点から見直すことで、競合が容易に模倣できない自社ならではの強みが見つかる可能性があります。
コモディティ化する市場では差別化の糸口を探して訴求
コモディティ化が進むと、市場全体で価格競争が激しくなる他、商品の価格が下がるため販売利益率も下がる傾向にあります。コモディティ化から抜け出すには、市場における顧客のニーズとは何かを見出し、ブランディングやポジショニングに注力することが大切です。
さまざまな商品が低価格かつ過不足のない品質で入手できる現代においては、どのような点が付加価値であるのかをわかりやすく伝えられるかどうかが、市場で成功するための重要な要因といえるでしょう。
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