中国旅行会社、大阪・関西万博のプロモーションは「上海万博より遅い印象」今求められる情報発信とは【中国市場向け「万博+観光」商談会取材・後編】

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いよいよ開催が来月に迫る大阪・関西万博。「万博期間に、どのような情報や旅行商品が求められているのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。

こうした状況を受け、日本政府観光局JNTO)は2025年2月、大阪で中国市場向けの訪日旅行商談会を開催。日本の観光事業者と中国旅行会社が一堂に会し、万博をきっかけとした地方への誘客促進について意見を交わしました。

訪日ラボは商談会の参加企業へ取材。後編では、中国企業に中国人観光客のニーズや、万博の認知度などについて伺った内容をお届けします。

中国市場向け 大阪・関西万博を契機とした訪日旅行商談会
▲中国市場向け 大阪・関西万博を契機とした訪日旅行商談会の様子:訪日ラボ撮影

前編はこちら:万博に向けた各社のインバウンド戦略とは?



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中国旅行会社に聞く、万博の認知度と旅行者ニーズ

今回訪日ラボでは、中国側の旅行会社:江苏新好游国际旅行社有限公司 の方にお話を伺うことができました。

同社のアウトバウンド(海外旅行)事業部 ゼネラルマネージャーに取材した内容をお届けします。

── 今回の商談会にどのような目的で参加しましたか?

中国人観光客向けのプロモーションをどのように展開するか、また、大阪周辺の観光地やチケット販売について、消費者に魅力的に伝える方法を探ることが目的です。

── 商談会で日本の観光業関係者と会談し、得られた収穫はありましたか?

はい、非常に有意義な商談でした。

例えば、神戸の六甲山について、阪急グループが運営していることを今回初めて知りました。すでに私たちの旅行商品にも六甲山を含めていましたが、直接リソース提供者とつながり、手配の効率を高められると感じています。

また、ホテルについても、現地の担当者と直接話し、より具体的な情報を得られました。

ホテルや周辺の観光地の情報が求められている

── 万博に向けて、中国人観光客のニーズはどのように変化すると考えますか?

まず、最も大きなニーズは宿泊施設です。ホテルの確保は非常に重要な要素になります。また、万博を訪れるだけでなく、その周辺でどのような観光ができるのかを事前に知り、旅行プランに組み込みたいという需要も高まると考えています。

私たちがここに来た目的の一つは、こうした周辺の観光地をより多くの中国人旅行者に知ってもらうことです。

大阪・関西万博のプロモーションは「上海万博より遅い印象」

── 中国市場における万博の認知度について、どのように感じていますか?

正直なところ、中国では大阪万博プロモーションがまだ十分ではないと感じます。特に、2010年の上海万博と比較すると、情報の広がりが遅い印象です。例えば、南京から大阪への直行便は現在1日4便あり、1月19日からは5便に増えますが、このような情報はあまり認知されていません。

また、大阪空港や神戸空港も含め、関西空港への便が増えており、大阪を訪れる旅行者の増加が予想されます。その一方で、大阪に観光資源が集中することで、宿泊施設や交通機関などのリソースが逼迫する可能性もあります。

こうした状況を見据え、関西エリア全体に観光客を分散させるようなプロモーション施策も求められるのではないかと考えています。

旅行商品についても、より積極的なプロモーションが必要

── 万博に向けた旅行商品の計画について教えてください。

昨年、大阪周辺の観光地を「関西クローバー」という名称でプロモーションしました。関西を中心に、東・南・西・北へと展開し、和歌山、徳島、鳥取、京都、奈良などの観光地を組み込んだ商品を造成しています。

しかし、これまでのプロモーション規模が十分ではなかったため、安定的に販売できたのは2つの商品だけでした。

地方都市の観光地は、まだ中国市場向けの宣伝が不十分なケースが多く、より積極的なプロモーションが必要だと考えています。本商談会を通じて、日本の観光業者と連携し、地方都市の魅力をより広く発信できるようにしていきたいです。

万博を契機に広がる訪日旅行の可能性と課題

以上、前編後編にわたり、商談会取材のレポートをお届けしました。

特に、日本側の事業者からは万博をきっかけに地方への導線を強化したい」という狙いが感じられました。大都市圏への観光客の集中が大きな課題となっている現状を踏まえると、単なる万博観光にとどまらず、関西圏をはじめとした地方への誘客が大きなテーマとなるのは必然ともいえます。

一方で、中国側の事業者からは万博の認知度がまだ十分ではない」という指摘もあり、日本全体としてのプロモーションの遅れが課題として浮かび上がりました。また、FIT個人旅行)の増加により、団体旅行とは異なるニーズへの対応が求められます。個人旅行者が快適に旅行できるよう、交通や宿泊の利便性向上、現地での情報提供の強化がカギとなるでしょう。

今後、各地域がどのようなプロモーションを展開し、旅行商品の造成を進めるのか。万博を一過性のイベントにせず、持続的なインバウンド拡大につなげられるかが鍵となりそうです。

本記事の前編はこちらからご覧ください:万博に向けた各社のインバウンド戦略とは?


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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

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  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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