訪日旅行のキーワードは「体験重視・少人数・地方志向」 安比高原や島原など地方のコンテンツ発信にも注力(JNTO取材)

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日本政府観光局JNTO)は4月23日、メディアブリーフィング(メディア向けの報告会)を開催。

インバウンド観光をめぐる最近の動向や、地方誘客の強化に向けたJNTOの主な取り組みなどについて説明しました。

関連記事:前回(1月)のJNTOメディアブリーフィング

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インバウンド観光をめぐる最近の動向について

はじめに、インバウンド観光をめぐる最近の動向について、日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏より説明がありました。

▲日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏:訪日ラボ撮影
▲日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏:訪日ラボ撮影

訪日客数・消費額・宿泊数いずれも好調

既報の通り、3月の訪日外客数については349万7,600人となりました。また3月までの累計では1,053万7,300人となり、過去最高で1,000万人を突破しています。

中国については2024年を上回っており、回復基調が続いているとしています。東アジア3市場および東南アジア6市場は2019年を上回る水準で推移しており、欧米豪市場も2019年を大きく上回っていて特に米国が好調だとしました。

また観光庁が発表している訪日消費額については、2025年1-3月期は2兆2,720億円(前年同期比28.4%増)で好調しました。

宿泊者数については、三大都市圏に宿泊者が集中する傾向が続いているものの、地方部の延べ宿泊者数も増加傾向にあり、特に2024年8月以降は2019年の水準を大きく超えて推移しているとしています。

また為替の変動による訪日旅行への影響について問われると、出口氏は訪日中の消費に影響が出る可能性を挙げた上で、為替状況にかかわらず旅行消費が落ち込まないように旅行体験をPRしていきたいとコメントしました。

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仏旅行業界「トラベルドール」で日本が初受賞

そのほかに、フランスの旅行業界の賞である「第16回トラベルドール」の外国政府観光局賞を日本が受賞したことを報告しました。

トラベルドールとはフランスの旅行業界における権威ある賞の1つで、日本が受賞するのは今回が初めてです。

地方の観光コンテンツやアクティビティに関する重点的な情報発信や、サステナブルツーリズムへの意識の高まりを踏まえたプロモーションが評価されたとしています。

地方誘客の強化に向けたJNTOの取り組みについて

続いて、地方誘客に向けたJNTOの取り組みについての紹介がありました。

「体験重視・少人数・地方志向」がキーワード

出口氏は、最近の訪日インバウンドのキーワードとして、以下の3つを挙げました。

  1. 体験重視(コト消費):日本ならではの体験や地域の人との触れ合いを求める傾向に
  2. 少人数のグループ旅行、家族旅行、FIT(個人旅行):OTA経由の予約が伸長
  3. 地方志向:「まだ見ぬ日本を知りたい」という要望が強い

JNTO地方誘客を促進する上で、海外の旅行会社メディアを招請する際、体験重視の需要に応えるために以下のような地方体験コンテンツを実施しています。

  • 岩手県:安比でのスノーシュー・スキー体験
  • 兵庫県:丹波篠山サイクリングツアー
  • 福井県:越前和紙工房の訪問
  • 奈良県:醤油蔵見学とマイ醤油づくり
  • 長崎県:島原の伝統野菜収穫体験
  • 沖縄県:琉球薬膳の料理体験

たとえば安比(岩手県)でのスノーシュー・スキー体験は、ニセコ白馬に次ぐ新たなスノーエリアとして、参加者の評価も高かったといいます。そのほかにも越前和紙工房(福井県)の紙漉き体験や、島原(長崎県)の伝統野菜収穫体験など、価値ある文化体験や非日常の体験が高評価を得ています。

地方誘客に向けた2025年度の主な取り組み

2025年度における地方誘客に向けては、以下のような取り組みが予定されています。

  • 戦略的な訪日マーケティング
    • 復便・増便・新規就航の機会を活用した地方誘客の取り組み
    • アジアにおける大規模キャンペーン
    • 高付加価値旅行の推進
    • アドベンチャートラベルの推進
    • サステナブルツーリズムの推進
    • 大阪・関西万博に向けた取り組み
  • 国内関係者との連携強化
    • 地方運輸局・広域連携DMO連携事業
    • 全国の特別な体験等の情報発信
    • 他機関・省庁と連携した情報発信
  • 国際会議・インセンティブ旅行の誘致
    • 地方への国際会議・インセンティブ旅行の誘致

アドベンチャートラベルの推進においては、2025年秋頃に「アドベンチャーウィーク」を東北にて開催予定です。

また大阪・関西万博の期間中の取り組みについて質問したところ、2024年度は特設サイトや広告などによる発信を行ったとした上で、現在はインフルエンサー招請を実施していると述べました。今後もさまざまな取り組みを予定しており、万博を契機とした地方誘客への取り組みを進めていくとコメントしました。

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JNTO認定外国人観光案内所の取り組みについて

最後に、地域連携部 受入対策グループ マネージャー 天野氏より「JNTO認定外国人観光案内所」の取り組みについて紹介がありました。

近年の訪日客数の増加や旅行者の情報収集方法の変化によって、外国観光案内所の役割も変化しており、道案内や観光情報の提供だけでなく、文化体験や地元の人との交流といった役割が期待されているといいます。

また欧州では観光案内所を閉鎖する動きが加速する一方で、日本を含むアジア地域では増加傾向にあるとしており、現在、日本では全国に1,500か所以上設置されています。

JNTOでは、認定外国人観光案内所の優れた取り組みを表彰しており、2024年度は大分県奈良県福岡県の3か所の認定案内所が表彰されました。それぞれ訪日客に向けた情報発信や文化体験、災害対策などの取り組みが評価されました。

JNTOとして、今後も全国各地の認定案内所における積極的な取り組みを支援し、質の向上と周知拡大に務めるとしました。

関連記事:JNTO、認定外国人観光案内所を表彰 ショート動画配信・日本文化体験・災害対応など独自の取り組みを評価

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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