訪日客に高い人気を誇る、日本のスノーリゾート。北海道や長野を中心に、世界中の観光客が上質な雪や充実した設備を求めて日本を訪れ、インバウンド需要は年々増加傾向にあります。
本記事では、2024年〜2025年冬シーズンの国内スキー場の動向を振り返ります。
2025年、国内スキー場が活況に
今年の冬シーズンの国内スキー場は、恵まれた降雪量と旺盛なインバウンド需要が相まって、大きな盛り上がりを見せました。
海外からの訪問者、前年比50%増(Visa調査)
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社が4月10日に発表したデータによると、昨年の日本のスキー観光地の総訪問者数は、前年比で約40%増加*しました。海外からの旅行者は約50%増加し、訪問者の8割近くを占めています。
訪日客を国・地域別で見ると、オーストラリアが最も多く、アメリカ、シンガポール、台湾、中国、香港、タイの順で並びました。
調査によると、特にニセコ、白馬、富良野のスキー場の人気が高くなっています。
*2024年11月16日〜2025年2月15日の集計。対象地域は、ニセコ、倶知安町、蘭越、山ノ内、山形、富良野、野沢温泉、白馬、湯沢。
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2024年度のスキー場倒産、7年ぶりにゼロ
株式会社帝国データバンクが6月2日に発表した調査によると、2024年度のスキー場運営企業の倒産は0件でした。過去10年で最多だった2023年度から一転し、2024年度は7年ぶりに倒産がない年となりました。
同社は、今シーズンは全国的に降雪に恵まれたほか、訪日客の利用増加が追い風になったと分析しています。
また香港や台湾、東南アジアを中心とするインバウンド需要を取り込んだほか、シーズン券の導入などで国内の若年層やファミリー向けの集客を積極的に進め、利用者の大幅増加につなげたスキー場もみられたということです。
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国内スキー場の業績が好調に推移
こうした追い風を受けて、実際に売上や来場者数を大きく伸ばしたスキー場も見られました。ここでは、事例の一部をご紹介します。
【湯沢】5年ぶりにフルシーズン営業 アクティビティ利用は大幅増
新潟県のガーラ湯沢は、豊富な積雪に恵まれたことで、5シーズンぶりに、オープンから5月のGWまで予定通り営業を行うことができました。
また、インバウンド需要の高まりにより、訪日客に人気のアクティビティ利用は、前年比226.9%と大幅に増加しました。
【斑尾】訪日客受け入れ強化でホテル・レンタル売上増
長野県の斑尾(まだらお)高原スキー場では、2025年1月の売上が前年比156%と大幅な増加を記録。特に台湾・欧米豪からの訪日客が大幅に増加し、インバウンド来場者は前年比431%となりました。
ホテル売上やレンタル収入も増加しており、多言語対応の強化や、訪日客向けのサービス拡充、レンタル・宿泊・レッスンがセットになったパッケージプランの人気などが、売上に貢献しました。
関連記事:斑尾高原スキー場、1月売上が前年比156% インバウンド来場者は431%に
【白馬】海外への営業強化で、インバウンド来場数は過去最高に
日本スキー場開発株式会社が運営する、長野・岐阜に所在する4つのスキーリゾート(白馬八方尾根スキー場、白馬岩岳スノーフィールド、つがいけマウンテンリゾート、めいほうスキー場)では、2024年11月~2025年1月の来場者数が、同社上場以来、過去最高を達成しました。
また、白馬エリアを中心とした海外への営業強化により、インバウンド来場者数は、運営している全スキー場合計で過去最高となりました。
白馬岩岳スノーフィールドでは、新ゴンドラリフトを運行開始し、快適性・輸送能力が向上。それによりスキーをしない観光客も多く来場し、来場者数増加に寄与しました。
観光庁が国際競争力の高いスノーリゾート形成を支援
このように、旺盛なインバウンド需要も相まって、活況を見せた国内のスキー場。日本国内のスキー・スノーボード人口が減少するなか、訪日客の増加は、地方経済の活性化にも大きく貢献しています。
こうした可能性に着目し、観光庁は日本のスノーリゾートの国際競争力を高めるため、「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」を推進しています。
2024年度は、17地域に対し、スキー場のインフラ整備や、アフタースキー・グリーンシーズンのコンテンツ造成、受入環境の整備などの取り組みを支援しました。
今後も、インバウンド需要を取り込む意欲・ポテンシャルの高い地域において、スノーリゾート形成のための取り組みを支援します。
また、日本政府観光局(JNTO)においても、日本のパウダースノーへの興味・関心の高い米国・オーストラリアや、スキー人口が急増中の中国において、現地旅行会社との連携強化やプロモーションを実施しています。
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<参照>
株式会社ガーラ湯沢:【GALA】GWまで多くのお客さまにご利用いただき、冬季シーズンが終了しました
日本スキー場開発株式会社:日本スキー場開発グループ、4スキー場で第2四半期までのウィンターシーズンの来場者数が上場以来過去最高を達成!グループ全体では、前年同期比約115%の集客に成功
観光庁:「令和6年度観光の状況 令和7年度観光施策」(観光白書)について
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