成長を続ける日本のインバウンド市場。2024年年間の訪日外国人数は3,687万人、旅行消費額は8兆1,257億円と、過去最高を更新しました。
2025年も、訪日外国人数は最速で2,000万人を突破しており、その勢いは衰えていません。
しかし、訪日外国人が増加していることは理解していても、その伸び幅や勢いについては、まだピンときていない方も多いかもしれません。
本記事では、この10年間(2015~2024年)の訪日外国人の数や消費額がどのように変化してきたのか、その時々の状況とともに振り返っていきます。
訪日外国人数は右肩上がりに推移 コロナ後は幅広い国から旅行者が増加
まず、2015〜2024年の訪日外国人数の推移を見ていきます。
2020年以降はコロナ禍の影響で訪日外国人が一時的に減少したものの、全体的に右肩上がりに増加していることが分かります。
2019年までは、ビザ(査証)の戦略的緩和や免税制度の拡充などの施策の推進や、交通ネットワークの拡充、多言語表記をはじめとする受け入れ環境整備、観光コンテンツの造成、日本政府観光局(JNTO)による訪日プロモーションなどを理由に、過去最高を更新していました。
特に中国は、2015年から2019年にかけて、毎年のようにビザが緩和されたことにより、訪日中国人が急激に増加しています。2015年の訪日中国人数は499万人で、2024年(241万人)の2倍以上に増加しています。2019年には959万人と、全体の3割を占め、日本のインバウンドにおいて最大の市場となりました。
そしてコロナ後は、2022年10月に入国者総数の上限撤廃など、水際対策が大幅に緩和され、再び外国人が日本を訪れやすい状況になりました。
2023年10月には2019年同月水準を超え、2024年には過去最高だった2019年の3,188万人を大幅に更新し、3,687万人と過去最高を記録しました。
また国・地域別で見ても、23市場のうち計20市場で過去最高を記録。東アジアだけでなく、東南アジア、欧米豪など、幅広い国・地域からの旅行者が増加したことが、全体を後押ししました。
関連記事:2024年の訪日外客数、過去最高の3,687万人 12月は初の340万人超え
訪日消費額、コロナ後に急拡大 一人あたり支出が増加
続いて、2015〜2024年の訪日外国人の総消費額の推移です。

消費額も、訪日外国人数と同様に、コロナ禍を経て右肩上がりに推移しています。
2015年は、円高傾向が続いていた為替相場が円安に転じたことや、2014年10月に免税制度が拡充されたことにより、2014年から71.5%も増加しました。中国人観光客が日本で様々な商品を大量に買い込む「爆買い」が聞かれるようになったのもこの頃です。
また、2015〜2019年の間、消費額の増加は、訪日外国人の増加に比べて緩やかであることが分かります。
一方、コロナ後の推移をみると、2023年の訪日外国人数はコロナ前2019年の水準に達していないものの、消費額はすでにその水準を超しています。そして2024年は、2019年比68.8%増と、訪日外国人数の伸び以上に増加し、過去最高を大幅に更新しました。
これは、円安や物価上昇、高付加価値旅行の拡大などにより、一人当たりの旅行支出が増加した影響であると考えられます。
関連記事:訪日消費額、過去最高の8.1兆円 1人当たり旅行支出は22.7万円
成長を続けるインバウンド市場
今回は、2015年〜2024年の訪日外国人数、訪日消費額の推移を解説しました。
この10年間で訪日外国人数は約1.9倍、消費額は約2.3倍に拡大し、インバウンド市場が急成長を遂げたことが分かります。2025年も引き続き訪日外国人数が増加していることから、今後もインバウンド市場の更なる発展が期待されます。
関連記事:インバウンド消費は8.1兆円、その市場規模を他産業と比較する
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<参照>
日本政府観光局(JNTO):訪日外客統計
観光庁:インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)
観光庁:令和7年度版 観光白書
外務省:最近のビザ緩和(一般旅券所持者)
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