日本政府観光局(JNTO)は9月に「第28回 JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」を開催しました。
同フォーラムでは、海外全26拠点の海外事務所長などが訪日旅行市場の最新動向を解説したほか、パネルディスカッションや対談セッションも実施されました。
訪日ラボでは、2日間にわたるフォーラムの様子を取材。本記事では、2日目に行われたMICEプロモーション部による講演の様子をお届けします。
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市場動向調査に基づく訪日インセンティブ旅行の概況
「市場動向調査に基づく訪日インセンティブ旅行の概況と韓国市場のトレンド」と題して、MICEプロモーション部長の巽 麻里子氏とソウル事務所チーム長のイ・キョンミン氏が登壇しました。
MICEの4文字は、それぞれ英単語の「Meeting(企業などの会議)」「Incentive Travel(インセンティブ旅行)」「Convention(国際会議)」「Exhibition&Event(展示会・見本市)」の頭文字をとって造られた言葉です。
訪日インセンティブ旅行の動向
2024年度のインセンティブ旅行に関する調査によると、インセンティブ旅行の増加が見込まれる業界として、ITや製薬、金融、保険業界が挙げられました。
またインセンティブ旅行の目的としては、モチベーションの向上や会社の文化醸成、チームワークの向上が挙げられており、ユニークな体験やアウトドア、ウェルネスを重視する傾向にあるといいます。
今後3〜5年にかけてインセンティブ旅行市場は拡大すると見られており、特に東南アジアでは人数と予算、欧州では予算の増加が見込まれています。
訪日インセンティブ旅行のトレンド
訪日インセンティブ旅行におけるプログラム内容としては、「チームビルディングにつながるプログラム」が実施企業・旅行会社ともに多くなっています。
また巽氏は、インセンティブ旅行の業界団体「SITE」のアンケート調査結果を共有し、インセンティブ旅行の目的が、販売促進から社員間の親睦を深めることにシフトしていると紹介しました。
同じくSITEの調査結果から、インセンティブ旅行を検討する際に、治安や地政学リスク、健康などの「安全性」が重要視されていると説明しました。巽氏は、日本はいずれの観点の安全性についても条件をクリアしていることは強みだと述べました。
訪日インセンティブ旅行における韓国市場の現況
続いてキョンミン氏より、訪日インセンティブ旅行における韓国市場の現況について解説がありました。
韓国市場のトレンド
韓国市場においては、海外の目的地では東南アジアや日本、中国が多くを占めているとのことです。東南アジアでは、特にベトナムでの実施が目立っているといいます。
日本の主要目的地としては、報奨旅行では北海道や沖縄などのリゾートが中心で、研修や視察が目的の場合は東京や大阪、名古屋、京都などの大都市や地方都市が中心となっています。
韓国インセンティブ旅行で見られるトレンドとしては、「ESG連携プログラム」や「デジタル・AI体験」、「文化体験」、「チームビルディング&ネットワーキング強化」、「ウェルネス&健康」などが挙げられました。
ESGとは環境(environment)、社会(social)、ガバナンス(governance)の頭文字をとった言葉で、韓国ではESGが持続可能性と社会的責任を評価する基準として、企業経営でも受け入れられているといいます。
また韓国ではウェルネスと健康への関心が高く、「日本の温泉とグルメとの相性は良い」と述べ、「テーマを発掘・アレンジして、バイヤーの特性に合わせたモデルコースを提案できれば、韓国市場のバイヤーは積極的に関心を見せる」との考えを示しました。
ほかにも日本で実施されたファムトリップの様子も紹介。基本的に満足度は高かったものの、屋内で実施するプレゼンテーションなどの活動には「時間が長かった」といった感想もあったようです。キョンミン氏は「屋内での活動は、韓国で実施するツアーとの違いがわかりにくいのではないか」との認識を示し、だからこそ訪問施設における特別な体験などの有無が重要になると語りました。
プロモーションは点ではなく「面」が重要
続いて、巽氏とキョンミン氏による質疑応答の対談セッションの時間が設けられました。
韓国のインセンティブ旅行でベトナムの人気が高まっている理由を問われると、LCCの航空便の登場やベトナムでのリゾート開発のほかに、韓国メディアが取り上げる回数が増えたことなどの複合的要因が考えられるという認識を示しました。
キョンミン氏は、「インセンティブ旅行の企画担当者としては、参加者の反響を考えて大人数の希望を満たす必要があるため、既に評価が判明している地域が選ばれやすい」と述べ、大都市やリゾート地にインセンティブ旅行が集中する理由を示唆しました。
韓国のインセンディブ旅行におけるプロモーション活動について問われると、「メディアを利用したプロモーションが上手い印象がある」としたほか、芸能人が国の観光PRに活発に参加することも効果が大きいと話しました。
最後に日本の事業者に対して、韓国でセールスする際のアドバイスとして「自治体や施設が単独で宣伝するより、宿泊施設や周辺のインフラ、交通、グルメ、体験などをセットで提案することが重要」と述べ、点ではなく面によるアプローチが必要だと語りました。また、日本国内での飛行機の乗り継ぎや新幹線での移動は韓国人には向かないとしたものの、「韓国から日本の地方部にも直行便が就航していることは強み」と述べました。巽氏は「インセンティブ旅行は消費単価が高く、グループ単位で誘客が可能であることが特徴で、今後の成長も見込める有望なマーケットである」と講演を締めくくりました。「第28回 JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」
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