• コロナ前の「最大顧客」、夏季のピークは月間100万人超えも
    • 「爆買い」は下火に、体験価値を重視
    • コロナ禍で日本への団体旅行禁止、2023年8月に再開も「FIT」対応必須に

インバウンドにおける中国市場の特徴とは

訪日中国人インバウンド市場、3つの特徴を解説

訪日中国人数は2019年には約959万人でしたが、2023年は約242万人となりました。2023年、訪日中国人は一人あたり31万9,924円を訪日旅行時に使っています。また、訪日中国人のインバウンド市場で特筆すべき点は「夏季の訪日数の多さ」「トレンドが変化、体験価値重視に」「団体旅行が減り、FIT化へ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

1. コロナ前の「最大顧客」、夏季のピークは月間100万人超えも

コロナ前、訪日中国人の多くは夏季の7月と8月に来日していました。2019年の場合、訪日中国人の約21%はこの2か月に集中しており、訪日中国人を対象としたインバウンド対策を行う場合は特に夏季を重要視するべきだと言えます。

2019年7月の訪日中国人客数は100万人を超えるなど、夏季と冬季の差が顕著なものとなっています。中国では7月と8月が夏休みに当たるため、訪日旅行の人気も高まる傾向にあるようです。

2. 「爆買い」は下火に、体験価値を重視

かつては「爆買い」という言葉を生み出すほど、日本での買い物に大きな金額を投じていた訪日中国人ですが、一人当たり消費額はピークの2015年以降、2019年までゆるやかな減少傾向をみせました。

コロナ禍後は一人当たり消費額が増加しましたが、これは円安、そして航空券価格の高騰等により経済的に余裕のある人々が訪日旅行者のメイン層となったこと、などに影響されたもので、今後は徐々に一人当たり消費単価が減少し、元の水準に戻っていく可能性があります。

また、旅行支出に占める「買物代」の割合が減少しているのも特徴的です。訪日旅行の際の目的として、買い物だけでなく日本文化に触れることといった「体験」を重視する傾向が強まっているようです。「買物代」も割合としてはまだまだ大きいものの、それ以外の宿泊・飲食・娯楽などもあわせて、価値のある体験を提供していけるかがカギとなるでしょう。

3. コロナ禍で日本への団体旅行禁止、2023年8月に再開も「FIT」対応必須に

中国政府はコロナ禍の間、中国発の日本向け団体ツアーを禁止していましたが、2023年8月に再開されました。コロナ前の2019年には訪日中国人の3割弱ほどが団体ツアー客でしたが、その前から徐々に団体旅行は減少し、「FIT(個人旅行)」化が進んでいます。団体ツアーの禁止期間が長かったことから、コロナ禍後はさらにFIT化が進み、個々の旅行のニーズや情報収集経路を意識した発信が求められることになりそうです。

中国人の特徴

中国人の性格・国民性

中国人の性格や国民性として、以下のものが挙げられます。

  • 権力を恐れるも権力に従わず
    • 中国人は権力を持っている者には表面上従いますが、それが自分にとって好ましくない者だった場合決して屈することはなく、下剋上の機会を伺います。
  • 家族を大切にする
    • 中国人は家族を大切にします。家族の為なら如何なる犠牲をも払う、という覚悟のある人が多く存在します。
  • 忍耐強い
    • 中国人は忍耐強さを持っています。しかし忍耐強いが為に現状を改善する道を選べない人が多くいるのも事実です。
  • 楽観的
    • 中国人には災難の中にあっても、明日はきっと良くなると楽観的な考え方を持つ人が多く存在します。

中国人と接するうえで気を付けておきたいマナー

中国人には、世間に対する体裁「面子」を大事にする人が多く存在します。人前で相手を侮辱したり、社会的地位に影響を与える行為は冗談でも慎むべきだと言えます。

また、握手をする際には右手を差し出すようにしましょう。合わせて感謝の意を示す際に用いる「拱手」という動作も覚えておくと良いでしょう。「拱手」は右手の拳を左手で包む動作です。

食事の際には、茶碗以外のお皿は持ち上げず、箸を置く際は縦に置きましょう。また、宴会は2時間以上に渡り行われる場合が多く、最後はある程度の食事を残して帰ることが礼儀正しい所作とされています。

中国人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、中国は2019年時点で2「親日度ランキング」全20か国のうち16位となっており、親日度が特別に高い訳ではないことが分かります。(*1)また、第二次世界大戦の影響などもあり特に中高年や中国共産党員を中心に反日感情が存在します。

国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、中国には2018年時点で2,435校の日本語教育機関と20,220人の日本語講師が存在し、1,004,625人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2018年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)

中国人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

中国はAndroidがiOSより人気で、約81%のシェアを持っています。これはHUAWEIやXiaomiなど、Androidスマートフォンを製造する企業が中国に多く存在することが原因と言えます。

また、人気のSNSアプリについて、iOSではWeChatと小紅書がそれぞれ1位と3位にランクインしており、人気の高さが伺えます。

一方AndroidはTelegramとWhatsAppがランクインしていますが、中国国内でAndroidのアプリストアであるGoogle Playは利用できないため、何らかの手段を用いてGoogle Playに接続しこれらのアプリをダウンロードしているユーザーが多いことを示しています。

Telegramは通信内容が暗号化されるため、検閲の目をかいくぐる際に有用とされているようです。

2023年・2024年 中国の祝日カレンダー

▲中国の祝日・休日カレンダー(2023年):訪日ラボ作成
▲中国の祝日・休日カレンダー(2024年):訪日ラボ作成
2023年 2024年
元旦(正月) 2022年12月31日〜2023年1月2日 1月1日 ※2023年12月30日〜31日が土日のため3連休
春節(旧正月) 1月21日〜1月27日 2月10日〜2月17日
清明節(先祖の墓参りの日) 4月5日 4月4日〜4月6日
労働節(メーデー) 4月29日~5月3日 5月1日〜5月5日
端午節 6月22日~6月24日 6月10日 ※6月8日〜9日が土日のため3連休
中秋節 9月29日 ※国慶節と連続して8連休 9月15日〜9月17日
国慶節(建国記念日) 9月30日~10月6日 ※中秋節と連続して8連休 10月1日〜10月7日

中国の歴史

現在「中国」と呼ばれる中国大陸一帯の地域では、紀元前14,000年頃より長江文明、紀元前5,000年頃より黄河文明が栄えていました。紀元前1,900年頃には最初の王朝である夏王朝が出現したと言われています。その後は数々の王朝が隆盛と没落を繰り返し、脈々と受け継がれた文化は周辺諸国にも多大な影響を与えました。

1644年には最後の王朝となる清朝が中国を統一し、267年に渡り中国を支配しましたが、日清戦争などによる国力の疲弊もあり、1911年10月10日に蜂起した辛亥革命を平定できず、1921年1月1日には南京にて共和制国家である中華民国が設立されました。その後、清の最後の皇帝・溥儀は2月12日に退位し、中国大陸最後の王朝は幕を閉じました。

中華民国は中国大陸全土を支配しましたが、1932年には大日本帝国陸軍・関東軍により占領されていた満州地域に満州国が建国され、領土の一部を失いました。その後の第二次世界大戦を経て中華民国は戦勝国となりましたが、当時中国大陸では社会主義国家建設の機運が巻き起こっており、毛沢東主導の中国共産党が中国国内で次々と内戦を始め、中華民国を制圧して行きました。1949年10月1日には北京で中華人民共和国の建国宣言を行い、中国全土を支配する組織となりました。中華民国は当時敗戦した日本から接収したばかりの台湾に目をつけ、全ての機能を台湾島へと移転させました。

その後現在に至るまで中国大陸は中華人民共和国による支配が続いており、現在では習近平体制が確立されたことによる独裁と中国大陸に住む人々の人権、特に少数民族に対する暴力的抑圧などが問題となり世間の批判を浴びる一方、HUAWEIやXiaomiなどの大手企業が次々と生まれ、GDP世界第2位をものにするなど、生活は確実に豊かになっています。

中華人民共和国は今でも台湾島を自国の領土と定めており、中華民国との間では不安定な政情が続いているほか、2019年6月頃からは一国二制度が保障されていた香港に逃亡犯条例を新設し、香港の政治運営への介入を試みているなどの懸念があり多くの香港市民が声を上げています。

中国宗教観

中国政府に認められた宗教は仏教、キリスト教(プロテスタント及びカトリック)、イスラム教、道教の5つのみですが、中国では他にも多くの土着の民間信仰が存在します。宗教として最も多くの信徒を持つものは仏教ですが、道教や儒教も多く信仰されています。また、キリスト教とイスラム教も一部地域に存在し、特に回族という少数民族がイスラム教を進行する民族として有名です。

2014年の統計では無宗教及び民間信仰が73.56%、仏教が15.87%、道教や儒教等が7.6%、キリスト教が2.53%、イスラム教が0.45%となっています。

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