あの国の訪日外国人が増えるのはいつ?インバウンドカレンダー:欧米(英語圏)編

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先日ご紹介したインバウンドカレンダーの全国関集計&アジア編が好評でしたので、後編として欧米(英語圏)のアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアのインバウンドカレンダーをご紹介します。

<東アジア・東南アジア編はこちら>

インバウンド・外国人観光客が多い時期がひと目でわかる「インバウンドカレンダー」:全国籍&アジア(中国、台湾、香港、韓国、タイ)編

インバウンド市場

インバウンドビジネスにおいて、どの国の訪日外国人観光客がどの月・タイミングで訪日外客数が増減するのか、いわばインバウンドカレンダーを押さえることは、戦略的に重要となります。是非、広告などの集客戦略のタイミング選定などに活用下さい。

今回は、国籍別に月別訪日外客数を、2013年〜2016年まで集計。訪日需要が高まるタイミングと、その背景にある理由や各国の長期休暇時期についてインバウンドカレンダーとしてまとめました。

 

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インバウンド市場全体の動向をおさらい

前編でも解説しましたが、おさらいとしてインバウンド市場全体のインバウンドカレンダーを見ていきましょう。

全国籍・地域の月別訪日外客数

全国籍・地域の月別訪日外客数

全国関・地域での月別訪日外客数を見てみると、訪日需要が高まるのは主に4月、7月、8月、10月、12月となります。それぞれの背景には、4月は桜の花見需要、7,8月は各国のバカンス期間にあたるので夏休み需要が、また10月は紅葉需要、そして12月は雪需要および冬休み需要があります。

主要訪日国の月別訪日外客数(2013年〜2015年の平均値)

主要訪日国の月別訪日外客数(2013年〜2015年の平均値)

全体の傾向としては前述のとおりですが、国籍ごとに月別訪日外客数を分析すると、各国によって訪日需要が時期にばらつきがあることがわかります。

各訪日国の主要長期休暇の時期

各訪日国の主要長期休暇の時期

その背景には、それぞれの国ごとに長期休暇の時期が異なることが大きな要因としてあります。例えば、特徴的なのはタイとオーストラリアです。両国ともに、日本とは気候が全くことなるため、いわゆる「夏休み」のタイミングが、タイでは4月ごろないし10月ごろ、オーストラリアでは逆転して12月,1月ごろになります。

さて、それでは欧米圏(英語圏)の主要訪日国の月別外客数推移とその背景について詳しく見ていきましょう。

 

訪日米国人観光客:訪日外国人観光客全体を代表するような”模範的”な動きを見せる

訪日米国人観光客の月別外客数推移

訪日米国人観光客の月別外客数推移

訪日米国人観光客の外客数は6月〜7月頃の夏休み・バカンスシーズンにピークを迎えます。また、3月〜4月にかけては、桜需要に後述のイースター休暇の後押しがあり、2番めのピークとなります。10月は紅葉需要によって、夏休み需要からの盛り返しが見られます。

こうしてみてみると、訪日米国人観光客の外客数推移は訪日外国人観光客全体の推移と似通った傾向をしめしており、ある種、「模範的な訪日外国人観光客」とも言えるでしょう。日本側のもつ「このタイミングでインバウンド需要が高まりそう」というイメージに素直に反応している格好のため、インバウンド対策をする際のモデルとして活用できます。

アメリカの祝日・長期休暇

アメリカの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

アメリカの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

アメリカは6月中頃から8月にかけてがバカンス期間となります。

キリスト教の国として特徴的なのはイースター(復活祭)です。イースター(復活祭)とは、十字架にかけられ死んだキリストが3日目に復活したことを記念する、キリスト教の祭日です。3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日に祝われ、その直前の金曜日も、キリストが十字架にかけられた日を聖金曜日(Good Friday)として記念日となっています。これらのおよそ1週間をイースターといい、米国連邦祝日として制定されてないものの、学校はお休みとなり、企業も休みとするケースも多くあります。

その他、比較的長めの祝日では、感謝祭(Thanksgiving Day)が11月後半にあります。元来は宗教的な祭日だったものの、連邦祝日に制定され、今では宗教的意味合いはすくないものとなっています。木曜がその休日とされ、翌日金曜も休日としている企業が大半のため、最大4連休となります。

 

訪日カナダ人観光客:最大のピークは3月,4月

訪日カナダ人観光客の月別外客数推移

訪日カナダ人観光客の月別外客数推移

訪日カナダ人観光客の外客数のピークは3月〜4月に山場を迎えます。これは、桜需要と、アメリカの項目で説明したイースター(復活祭)休暇がカナダにもあること、また3月に学校がマーチブレイクという春休みにはいることなどが重なっているためです。

第2のピークは12月ごろのクリスマス休暇(クリスマス前後2週間程度に設定)、そして10月の紅葉需要&感謝祭休み、続いて7月,8月の夏休み・バカンス期間となります。他の国籍・地域の訪日外国人観光客と比較してバカンス・夏休み期間がピークではないことが特徴的です。

カナダの祝日・長期休暇

カナダの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

カナダの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

カナダの夏休み・バカンスシーズンは7月〜8月頃です。祝祭日としての長期休暇は3月末〜4月初旬ごろにあるイースター休暇です。先述のアメリカと違い、カナダの場合はほぼ全国で祝祭日として休みとなっており、聖金曜日から復活祭の翌日(イースターマンデー)まで4連休となります。また、この時期はマーチブレイク(春休み)として学校が長期休暇になるため、両者の休日が重なり、家族旅行もしやすいタイミングとなります。

カナダは、上記のJNTOの利用にもある通り、州によって祝祭日がまばらである点は留意点として覚えておくと良いでしょう。

 

訪日英国人観光客:イースターの影響で3月から4月ごろにピークを迎える

訪日英国人観光客の月別外客数推移

訪日英国人観光客の月別外客数推移

訪日英国人観光客は、訪日カナダ人観光客とよく似た推移を示し、3月から4月頃にピークを迎えます。その背景は、これもまたカナダと同様で、桜需要とイースター休暇の後押しによるものです。

そして第2のピークは紅葉需要による10月です。また、10月半ばごろに学校の秋休み(Autumn break)があるので、外客数の底上げに貢献しています。第3のピークとして7月頃の夏休み・バカンス期間がありますが、こちらもカナダ同様、少し盛り上がりに欠ける印象です。

イギリスの祝日・長期休暇

イギリスの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

イギリスの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

イギリスの夏休み・バカンスシーズンは7月中旬頃〜9月上旬ごろとなります。また、先述の通り、イギリスもキリスト教国家なのでイースター休暇が3月から4月頃にあり、学校は2週間ほどの長期休暇となります。カナダ同様、聖金曜日(Good Friday)〜復活祭の翌日(イースター・マンデー)までがイギリスの祝祭日として4連休となっています。

 

訪日豪州人観光客:南半球に位置するがために最も特殊な市場

訪日豪州人観光客の月別外客数推移

訪日豪州人観光客の月別外客数推移

オーストラリアは南半球に位置するため、「夏」のシーズンが日本と正反対となります。そのため、夏休みは12月〜2月上旬頃であり、訪日外客数のピークもここで迎えます。

また、オーストラリアに特徴的なのはスキー・スノーボード需要です。観光庁訪日外国人消費動向調査によれば、訪日豪州人観光客の19.5%が訪日前にスキー・スノーボードに期待をよせており、同数の19.5%が実際に訪日旅行中にスキー・スノーボードを楽しんでいます。そのため、夏休みシーズンと重なる12月〜1月が顕著に訪日豪州人観光客の外客数が伸びています。

オーストラリアの祝日・長期休暇

オーストラリアの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

オーストラリアの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

先述の通り、オーストラリアは南半球に位置するため、夏休み・バカンスシーズンは12月から1月下旬になります。また、オーストラリアもキリスト教国のため、イースター休暇があり、カナダ、英国同様、国の祝祭日として聖金曜日(Good Friday)から復活祭の翌日(イースター・マンデー)まで4連休となります(週によっては翌火曜も休日となる)。

オーストラリアの祝日は、カナダ同様州によってかなりばらつきがあるという特徴があります。際立って特徴的なのは6月末〜7月末にかけての北部準州(ノーザンテリトリー)の祝日です。この期間、毎週金曜日は何かしらの祝日が制定されており、毎週末が3連休となります。しかしながら、訪日豪州人観光客の外客数には影響を与えていません。

 

まとめ:各国で異なる訪日需要の推移

今回2記事にわたって、主要訪日国のインバウンドカレンダーについてご紹介しました。それぞれの国によって、日本の観光シーズン(桜、紅葉、雪など)や長期休暇のタイミングによる変動が様々であることがわかります。

おおよその傾向で言えば

  • 東アジア・東南アジアの国においては、 需要喚起の影響力は「自国の長期休暇タイミング」>「日本の観光シーズン」 。その理由は現状ショッピングがメイン訪日目的のため(特に中国)。
  • しかしながら、中国では「爆買い」が沈静化。そのため、今後は変動の可能性が高い。
  • 中国・台湾・香港などの中華圏では、 1月〜2月の「春節」 が影響。しかしながら夏休みシーズンほどではない。
  • 欧米・オセアニアなどの英語圏では、 「自国の長期休暇タイミング」と「日本の観光シーズン」双方が需要喚起に影響 。その理由は、訪日目的が「観光らしい観光」寄りのため。
  • キリスト教系の国では 3月〜4月頃にイースター休暇 による需要増がある。
  • タイとオーストラリアは特殊 な市場。気候による影響で、他国と顕著にピークがずれる。

などがあげられます。これらの特徴を把握することで、インバウンド集客に役立てましょう。

<東アジア・東南アジア編はこちら>

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インバウンド市場

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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