近年訪日外国人観光客が日本旅行の際の移動の足に使うことが増えてきたと言われるレンタカーですが、その背景には 団体旅行ではなく個人旅行(FIT)が増加してきた 事があると言われています。こうした個人旅行で訪れる訪日外国人観光客は、空港でWi-Fiをレンタルし、その足でレンタカーをピックアップして旅行先を巡ります。実はこれは欧米諸国では一般的な旅行スタイルで、海外旅行を自分のペースでドライブも含めて楽しみたいと考えるアクティブな観光スタイルであると言えます。
こうした訪日外国人観光客の動向に関して、大阪観光局がアンケートを行っています。その詳細を見ていきましょう。なお、この調査は2017年6月~7月の関西国際空港でレンタカーを返却したインバウンド100名にアンケート用紙に記入してもらう形で行われています。
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レンタカー利用者は香港出身の30代、40代男性が最も多い
まず国籍別に見ていくと 香港 出身の方が多いのが目立ち、100名中34名が香港出身者であったことがわかります。香港は1997年までイギリスの植民地であったため、交通ルールが左側通行(右ハンドル)であるということも、同じく左側通行の日本でドライブをすることに対して抵抗が無いためと推測出来ます。
次いで多いのは韓国、中国となっています。性別では男性が圧倒的に多く、全体の7割超が男性となっており、年齢としては運転に慣れている30代、40代がボリュームゾーンであることが伺えます。
年20万件以上の訪日外国人利用 レンタカー×インバウンドの可能性とは:ニッポンレンタカーやNEXCO東日本などの取り組みも紹介
訪日外国人観光客の日本国内の交通手段として、一般的に鉄道や新幹線、バスや飛行機などが、頻繁に利用される傾向にあります。しかし、近年では訪日外国人観光客の移動手段の1つとしてレンタカーの利用が増えています。2016年6月20日に日本政府観光局(JNTO)よりリリースされた「訪日ドライブ旅行の現状と課題」では、訪日外国人観光客における日本国内のレンタカー利用状況や、訪日外国人観光客のドライブを促すにあたっての課題などが紹介されています。目次北海道と沖縄を中心に年間200,000件以上の利用:ア...
レンタカー利用者の7割は5回以上日本を訪れている「日本のファン」
レンタカー利用者の来日回数を見ていくと、5回以上日本を訪れている方が全体で7割超 となっており、5回目以下の利用者が少ないのが特徴です。これは日本の交通事情へ慣れた訪日外国人観光客が再度レンタカーの利用をしているということ、そして1度レンタカーを利用した訪日外国人観光客は高い確率でリピーターになっていくという事が伺えます。
こうしたことからレンタカー事業者も、次回の来日時に利用出来るクーポンであるとか、使えば使うほどお得になるといったキャンペーンを展開すれば、ある程度の効果が見込めると言えるでしょう。
レンタカー利用は家族・親族で2人以上、8〜13泊で利用した方が最も多い
日本での宿泊数を見ていくと 8〜13泊という回答が最も多く、約3割近くが1週間以上の滞在でレンタカーを利用している ことが伺えます。しかし同時に14泊以上、7泊未満という回答も満遍なく存在しており、日本に2泊しかしないにも関わらずレンタカーを利用している層も一定数いることが伺えます。また、同乗していた人数に関しても2人から6人以上まで満遍なく存在していることがわかります。
一方、1人でレンタカーを利用したと回答した訪日外国人観光客は僅か2人となっています。同乗者との関係という質問に対しては家族・親族という回答が最も多くなっており、全体で7割超が家族・親族での利用をしていたようです。その他の回答としては友人同士で、夫婦・パートナーと共に利用していた方が多い結果となりました。
レンタカー利用の背景は、公共交通よりも利便性が高いから
レンタカーを利用した理由としては荷物が多い、小さな子供がいる、目的地の交通の便が悪い、以前使って便利だった、24時間利用出来るという回答が、それぞれ40人前後でほぼ同数となり、公共交通より安いからと回答した方は13人という結果に。
この事から、訪日外国人観光客がレンタカーを利用する背景には公共交通機関より安いからという理由ではなく、荷物が多い、小さな子どもがいるなど 公共交通機関では不便さを感じる場面でレンタカーが便利だということ、24時間好きな時に使えること、目的地に行くにはレンタカーのほうが便利であるなど、レンタカーならではの利便性が支持されている ことが伺えます。
道路MAPや駐車場情報を求める声が多い
事前に入手したい情報としては道路MAPという回答が最も多く、次いで駐車場情報、ドライブルートでの見どころ情報が続きます。昨今のレンタカーではオプションでナビを取り付けられるが一般的ですが、やはり 運転前に、ある程度の道路情報、観光先の駐車場の情報、見どころに関する情報が求められている ようです。また交通法規に関しても知りたいという声が多く、お土産やショッピングに関する情報よりもこうした情報が求められているようです。
レンタカー事業者としては、例えば近郊の観光地までのルート、駐車場情報などを用意しておくと喜ばれるであろうことが伺えますし、日本の交通ルールや標識について英語冊子など用意しておくと喜ばれるでしょう。
また、利用した施設に関しては高速道路上のサービスエリア、一般道路では道の駅という回答が多く、日本人同様に訪日外国人観光客もこうした施設を使用している事が伺えます。
不満点は高速料金や駐車料金などの「料金の高さ」に関連した回答が最も多い
困った点としては高速料金が高いという声が最も多く、次いで駐車料金が高いという回答を多く見られ、料金に関しての不満が最も多い結果となりました。渋滞が多いとする回答、駐車場が見つけにくいといった回答も一定数見られますが、日本の運転に慣れるまで時間がかかったという回答は少なくなっています。これは前出のように、日本と同じ左側通行の香港の利用者が多いこと、日本旅行が5回目以上とする回答が多いことからこうした結果になっていると予想されます。
増える訪日客のレンタカー利用 高まる地方誘客への期待:10月から始まった訪日客向け高速乗り放題サービス「Japan Expressway
訪日旅行の際に、レンタカーを利用して国内旅行を楽しむ訪日外国人が増加 しているという背景をうけて、レンタカーを利用する訪日外国人向けの定額高速道路乗り放題サービス「Japan Expressway Pass」が今年10月13日から始まりました。実際にどのようなサービスなのでしょうか。「Japan Expressway Pass」の概要より引用インバウンド受け入れ環境整備についてより詳しい資料のダウンロードはこちら「翻訳・多言語化」に関する詳しい資料のダウンロードはこちら「多言語サイト制作」...
関空でレンタカーを借りた旅行者であっても、関西圏のみならず、東京、千葉、また地方部にも足を伸ばしている
行き先としては大阪府下はもちろん近隣の京都、和歌山、奈良、兵庫のほか関西国際空港から東京や浦安までドライブした方もいたようです。一方、今後訪日外国人観光客が増えていくと予想される地方部に関しても、金沢、富山、鳥取、岡山、愛媛などの回答もあり、やはり個人旅行で日本を訪れレンタカーを利用する訪日外国人観光客は、アクティブに色々なところに出かけて日本観光を楽しんでいることが伺えます。
成田1強から変化 インバウンドの玄関口はどこだ!?訪日外国人の入国者数で見る空港・湾港ランキング
インバウンドのおもてなしの玄関口となる空港や湾港。その利用者数は、今まではゴールデンルートの出発点となる成田国際空港の1強でしたが、その勢力図に変化が見え始めています。今回は、訪日外国人観光客が日本のどこから入国しているのかを調査してまとめました。<関連>インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?訪日ラボがまとめた「インバウンドデータレポート」を詳しく見てみる「調査・リサーチ」の資料を無料でダウンロードする「インバウンドデータ」の資料を無料でダ...
まとめ
今回大阪観光局が実施した調査は調査期間1ヶ月、サンプル数も100という小規模なものですが、それでも国籍や年齢、利用の動機、どのような要望があったのかなど、レンタカーを利用して日本旅行を楽しむアクティブな訪日外国人観光客の姿を知る上で大変有意義な内容となっています。
こうした点を踏まえてレンタカー事業者としてレンタカー利用者の利便性を高めるために、道路MAPやドライブルートの案内、観光地側ではホームページ上などで車で訪れる場合は駐車場はどこに停めたら良いのかなどの情報発信など、出来る事が色々と見えてくるでしょう。
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<参考>
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