2018年度に、 訪日外国人を対象とした消費税の免税制度が拡大されました。
政府は2020年に訪日外国人4,000万人、消費額8兆円という政府目標を達成するために煩雑な免税制度を簡素化し、免税店の増加、さらなる訪日客の消費の後押しを狙っています。
ここでは、訪日客の消費トレンドなどの免税制度改正の背景を紹介し、今までの免税制度と今後の免税制度の違いを徹底解説します。また、政府主導の免税制度の周知についてだけでなく、直接訪日客と接する免税店の様々な取り組みについても紹介します。
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訪日外国人向け免税拡大の背景:コト消費によるインバウンド消費の変化、出国税との絡み
今回の免税制度拡大についての要望は観光庁が8月に提出していました。2020年に開催される東京オリンピック、パラリンピックで、政府は訪日客4000万人、消費額8兆円という政府目標を達成するために煩雑な免税制度を簡素化し、免税店の増加、さらなる訪日客の消費を後押しするという狙いがあります。
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全国で免税店は今年4月時点で 4万店 存在しています。これは2014年時点と比較すると 約7倍 となっていますが、日本を最も多く訪れている訪日外国人である 中国人観光客の1人あたりの旅行支出額が伸び悩んでいる こともあり、政府はこうした免税制度の拡大などでさらなる消費を促したい考えです。
また観光庁では、2018年の税制改正の中に観光復興の新たな資源とすべく「出国税」を盛り込むことを検討しています。現時点ではこの「出国税」は1人あたり1000円ほどになるとされており、巡り巡って訪日外国人のために環境整備などの資金となるわけですが、訪日外国人からすると単純な訪日旅行のコスト増と捉えらえがちです。そのため、訪日外国人にとっては「ムチ」にあたる出国税の導入と、「アメ」にあたる、免税制度拡大の導入を同時に実施しようとしているわけです。
訪日客増えたので「宿泊税」実施します 京都市では45億円の増収見込み 東京都、大阪府に続き独自の宿泊税の導入へ
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現在の免税制度はこうなっている:消耗品・一般物品”それぞれ”で5,000円以上購入が必要
現在の免税制度について今一度復習してみます。現時点では免税申請をするためには、消耗品(食品類、飲料類、薬品類、化粧品、医薬品など)、一般物品(消耗品以外のもの、家電製品、カバン、靴、洋服、時計、宝飾品、民芸品)を それぞれ5,000円以上購入しない限りは免税が適用されません 。また、消耗品、一般物品に分けて個別の申請が必要 なため、訪日外国人にとっても、小売店の現場においても面倒な手続きとなってしまっていました。実はこの消費税免税制度に関しては今までも改正がされており、平成28年5月1日から現行制度になる以前は、一般物品の購入合計金額は10,000円以上となっていました。
新しい免税制度はこうなる:消耗品・一般物品”合わせて”で5,000円以上購入でOKに
それでは今回の免税制度改正後はどうなるのかというと、今までは消耗品と一般物品それぞれ5,000円以上購入が必要だったものが、消耗品と一般物品の購入合計金額が5,000円を超えていれば免税制度が適用となる ように変わります。また何よりも訪日外国人にとって嬉しいのが、今までは個別に必要だった免税申請が1枚の申請書で済むようになる ことです。これによって、今までは「どの商品が消耗品で、どの商品が一般物品なのか」といった心配などをしながら個別に申請をしていたものがなくなり、まとめて煩雑な手続きを心配せずに1枚の申請書で免税手続きが完了するようになります。
まとめ:今後は免税制度改正に関する周知、地方部の免税店の拡大が求められる
2018年の税制改正に免税制度の改正が盛り込まれ、来年の夏に実施を目指しているわけですが、何よりも重要なことは、訪日外国人に日本の免税制度が変わること、来年夏以降は変わったことを周知していくことです。
ある程度は政府主導による周知が求められますが、実際に免税店に訪れた訪日外国人の消費マインドを直接刺激出来るのは接客をしている免税店側になります。そのためには、店頭で「消耗品、一般物品の合計が5,000円以上で免税適用となった」「今後は免税申請が1枚の申請書で良い」といった制度改正のポイントを、わかりやすく店頭のポップ、デジタルサイネージなどでPRしていくことが求められますし、可能であれば制度改正のポイントについて、中国語、韓国語、英語等で説明出来る店頭マニュアルなどを用意しておくと、こうした対策をしていない免税店と大きな差をつけることが出来るでしょう。また観光庁も課題意識を持っている地方部における消費拡大についても、免税手続きが簡略化されたことで、地方部での免税店拡大が期待されます。
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