MICEという言葉をご存知でしょうか。MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などが行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとったビジネスイベントの総称です。
今年5月に観光庁が2016年度国際MICEの経済効果が1.1兆円と発表して注目されています。その内訳の中で国際会議による金額が約65%(約6,789億円)と大半を占め、また外国人参加者1人当たりの総消費額でも、国際会議は約37.3万円とMICEの中で一番大きい金額です。しかし、この国際会議自体に馴染みがないため、なかなか理解しづらい内容ではないでしょうか。
今回は、多くの外国人が集まる国際会議の特徴やそこに参加する外国人についてご紹介します。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
観光庁の調査データをもとに国際会議の特徴や外国人参加者を知ろう
2017年3月に観光庁がとりまとめた「平成28年度MICEの経済波及効果及び市場調査事業」報告書を参考に見てみましょう。
日本で開催される国際会議にはどのような人が参加しているのか(参加者の職業)
外国人参加者の職業は、参加者の約37%が研究者、約24%が学生。その他の約39%には、医師などが含まれます。
日本における国際会議のテーマ別の比率をみると、「技術」「自然科学」「医学」の順に多く、全体の60%を占めています。
何人ぐらい参加するのか
国際会議というと500人以上が集まる大型会議をイメージしがちですが、500人を超える会議は、約18%で、499人以下の小・中規模の国際会議が75%以上を占めています。特に30人以上149人以下という最も小さい規模の国際会議が全体の約40%あることが分かります。
国際会議の期間中、参加者は何をしているのか
一般のビジネスマンは、実際に国際会議に参加する機会がほとんどないため、期間中に何をしているのかイメージできない方も多いと思います。研究者が参加する国際会議を一例としてご紹介しましょう。
プログラムを見ていただければ一目瞭然ですが、会期中のほとんどの時間は、研究発表に使われます。研究者は、自分の発表に加え、他者の発表を聞き、自分の研究に活かすという知見の交流が行われます。
また、交流をスムーズに行うために発表の合間の食事が重要で、主な食事は、前日の夜のウエルカムパーティーや2日目のディナーバンケット、最終日のフェアウェルパーティー、そして毎日のランチになります。発表の間にコーヒーブレイクを用意して、より参加者が交流しやすい機会を増やすこともあります。
観光庁の調査によると外国人参加者は、国際会議に参加した際、主催者あるいはスポンサー、出展者からランチや軽食の提供があったと回答した参加者が約43%。また、ディナーあるいはパーティの提供があったと回答した参加者は約39%でした。
参加者の半分以上は、会議で配布される地元の観光ガイドマップを参考にして自身でお店を探すか宿泊先のホテルなどで食事をしていると考えられます。そのため国際会議の開催期間中は、会場近くのお店やレストランでは英語のメニューを準備するなど外国人への配慮が必要とされます。
国際会議後に参加者が楽しみとするものとは
アフターコンベンションという言葉を知っていますか?参加者は会期中、ほとんどの時間を研究者の発表や交流に時間を使うため、会期終了後は、アフターコンベンションとして観光やショッピングを楽しむなど、開催国を満喫してから帰国する方が多くいます。
各地のコンベンションビューローがメニューの開発やラインナップの充実に取り組み協力するなど、地域全体でこのアフターコンベンションを充実させることが訪日外国人の消費額の増加につながります。
国際会議の主催者が準備するツアーで楽しむ
会議参加者は事前にオプションとして費用を払うことで、国際会議の主催者が準備をしたツアーに参加することができます。
国際会議のツアーとして行うことで、百貨店を貸し切ったショッピングや普段入ることのできない施設での食事など特別な体験が楽しめます。またツアーには、添乗員のサポートがつくため、日本語に不安のある方や訪日がはじめての方でも気軽に参加することができるのが特徴です。
既存のツアーではなく自分が行きたい場所へ行く
一方で、インターネットの普及により事前に日本の観光情報を取得することができるようになったことから国際会議主催者が準備するツアーには参加せず、個人の趣味趣向にあわせた旅行先に行くことが増えてきています。FIT層や団体旅行客とは異なるターゲットに対しインバウンド施策が有効で注目されつつあります。
有名なホテルではなく、東京から少し離れた場所にある旅館でゆっくりしたいという参加者も増えているようです。また、まちの景観や観光施設を見るだけではなく、着物の着付けや座禅などの体験型のプログラムが人気となっています。
まとめ:馴染みのない国際会議も内容をよく見てみると開催による経済効果の大きさがイメージできる。
2016年度国際MICEの経済効果の調査では、国際会議に参加した外国人1人当りの消費額は約37.3万円で、一般的な訪日外国人1人あたりの旅行支出を約20万円上回る結果となっています。国際会議期間中の宿泊や食事、そして新たな旅行者をターゲティングできるアフターコンベンション。国際会議開催による消費額が大きいイメージを持っていただけましたでしょうか。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!