2019年2月より京都の着物レンタル夢館では、訪日ムスリム観光客をターゲットに、着物に似合う和柄を取り入れたヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭や身体を覆うスカーフ)のレンタルを開始しました。近年のムスリム女性ファッションの多様化をふまえ、京都と横浜のムスリムフレンドリーな着物レンタルショップのサービスについて、インバウンドのムスリム受け入れ対応例の1つとして見ていきましょう。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
ムスリム女性ファッションの多様化が進む東南アジア
インドネシアやマレーシアなど、東南アジア諸国のムスリム女性たちのファッションのモダンで多様なスタイルに、近年注目が集まってきています。ヒジャブとは、イスラム教徒の女性が頭や首を覆うために身につけるスカーフのような布のことです。
国民の約8割がイスラム教であるインドネシアでは、おしゃれの一貫として多様なスタイルのヒジャブを身につけるムスリム女性が増えています。特に都市部の若い女性は流行に敏感で、人気のパステルカラーのヒジャブや、普段着とあわせて柄物を取り入れるなど、ヒジャブのスタイルは多岐に渡っているのが特徴です。
ムスリムファッションは、今最も勢いのあるファッション分野の1つとして世界的にも注目されており、ユニクロやNIKEなど大手ブランドも取り入れました。日本のインバウンド対策においても、2018年5月に「訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン」が策定されるなど、急増する訪日ムスリム観光客の対応が活発化しています。世界的なムスリムファッションに対する関心と、日本のムスリム観光客需要の高まりを受け、ムスリム女性向けに独自の着物レンタルサービスを始めた京都と横浜のショップの例を見ていきましょう。
京都着物レンタル夢館:ムスリムスタッフが中心となり和柄ヒジャブを製作

ムスリムスタッフを筆頭に、デザインや生地を試行錯誤した結果、日本らしい桜を基調とするデザインをはじめ、オリジナルの和柄ヒジャブを約20枚製作しました。今後は季節に合わせたコーディネートも楽しめるよう、夏にはレースなどを取り入れた夏用ヒジャブも含め50枚程度まで増やす予定とのことです。
京都着物レンタル夢館ではインドネシア語のサイトも開設しており、サイト上で和柄ヒジャブや着物とのコーディネートの多様性など、新たなサービスのPRに当たっています。
「横濱ハイカラきもの館」:ムスリム女性への配慮まで行き届いたサービスを提供
横濱ハイカラきもの館では、訪日ムスリム観光客に向けて、着物とヒジャブのトータルコーディネートを提供しています。着物は100種類以上あり、浴衣や振袖、袴などの用意もあることから、より多様なヒジャブとの組み合わせが楽しめる点が人気です。
また、ムスリム女性への配慮として、着付け師は全員女性であること・専用スペースで着付けをするため他人に肌を見られる心配がないことなども、あわせて案内しているとのことです。着物をレンタルした場合は、お祈りスペース・お祈りマット・無料Wifi・方位磁石・足洗用おけ・お湯も無料で貸し出しています。新たな着物体験の提供だけでなく、訪日ムスリム観光客の満足度向上に向けたサービス提供にも余念がありません。
まとめ:ファッションの分野から訪日ムスリム観光客の満足度向上へ
近年訪日ムスリム観光客へのインバウンド対策として、ハラール対応飲食店や祈祷室の拡充などが進められていますが、ムスリム女性のファッションへの関心の高さに着目した新しいインバウンド対応からも目が離せません。着物レンタルにおけるヒジャブとのコーディネートは、ムスリム観光客の訪日旅行の満足度を高め、リピーター増加やさらなるムスリム観光客の誘致へ繋げるにあたって、効果的な取り組みと言えるでしょう。
<参考>
- PR TIMES:訪日ムスリム観光客に向けた着物に似合う『和柄ヒジャブ』のレンタルサービス開始。
- FASHIONSNAPS.COM:勢いを増す「ムスリムファッション」驚くほど多様でモダンに
- 横濱ハイカラきもの館:ムスリムフレンドリー(2019年1月16日)
- MATCHA:Muslim-Friendly Yokohama-Wear A Kimono And Enjoy Tea Ceremony!
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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