ユネスコの世界文化遺産に登録されている厳島神社(広島県廿日市市)は、全国に約500社ある厳島神社の総本社です。厳島は「安芸の宮島」とも呼ばれ、日本三景の1つとしても知られています。
6月17日、この厳島神社の大鳥居が大規模な修理期間に入りました。8月には防護シートによる覆いが施されます。
厳島神社がこのような処置を施された理由は、その損傷です。鳥居の傷みは以前から指摘されており、その傷みの程度がひどくなることが危惧されていました。
こうした鳥居の傷の原因は「観光公害」にあると言われています。
この記事では、どのような修理が行われるのかや、その修理中の対応、そして「観光公害」について、詳しく解説していきます。
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大鳥居が大規模修理、内容と対策は
世界遺産や国の重要文化財に指定されており、厳島神社の象徴とも言える大鳥居が6月17日、大規模な修理に入りました。8月中旬には全体が防護シートに覆われる予定となっています。
老朽化が進み、倒壊寸前まで損傷が激しくなってしまったことが原因です。修理の終了時期は未定となっています。
厳島神社は訪日外国人からも大人気
トリップアドバイザー(TripAdvisor)の「外国人に人気の観光スポットランキング 2018」によると厳島神社は、訪日外国人の中で3番目に人気の観光スポットとなっています。2017年は4位だったので、より人気が高まったと言うことができるでしょう。
また、トリップアドバイザー上では5点満点中4.5点という高評価を受けているほか、日本語以外で3,000件以上の口コミが集まるなど、その支持の厚さがうかがえます。
観光への影響懸念、対策は?
厳島神社は広島県を代表する観光地の一つで、前述の通り訪日外国人からも人気を集める観光地です。その大鳥居が修理されるとあって、観光者の減少といった影響が懸念されています。
こうした影響を最小限に止めるため、防護シートは大鳥居のシルエットが見えるものを採用することが予定されています。
また8月には観光施設を新設し、20分の1サイズの模型を設置するとともに、大鳥居の魅力を解説する予定です。廿日市市は、神社側と協力して工事の進展や、鳥居の姿に左右されない島そのものの魅力を発信していく方針です。
損傷はかなり前から危惧されていた「観光公害」の影
古い歴史を持つ厳島神社の大鳥居が、倒壊寸前にまで追い込まれてしまったのは何が原因なのでしょうか。
実はその原因は「観光公害」と言われています。以下では、厳島神社の大鳥居における「観光公害」について詳しく解説していきます。
大鳥居に硬貨を差し込む観光客
日本経済新聞は2013年12月、「観光客が年々増加している世界遺産・厳島神社(広島県廿日市市)の大鳥居の主柱に、さい銭感覚で硬貨をはめ込む観光客が後を絶たず、神社側が対応に苦慮している」と報じています。立て札などで注意を促せばいいのではといった案も出ましたが、海水で腐食してしまうこともあり、有効な対策が出来ずにいるという情報もありました。
また、大量のコインが大鳥居に差し込まれるという問題は、日本経済新聞が報じた2013年のさらに20年以上前から存在したとも言われています。
今回の大規模改修は、何年も前から危惧されていた大鳥居の倒壊危機を受けたものだったというわけです。
柱の腐食がTwitterでも話題に

Twitter:厳島神社の鳥居にコインを差し込む行為に関する投稿(https://twitter.com/senjuin1010/status/1098766358194470912)
画像を見ると、大鳥居の亀裂に大量のコインが挟まっているのがわかります。
腐食しているのが目に見えてわかることから、一般のユーザーによって発信された「コインを差し込む」という行為に対し警鐘を鳴らすツイートが多くあります。
「みんなやっているから大丈夫だ」という意識が「観光公害」を引き起こす
一般の観光客でもわかる腐食があるにも関わらず、なぜこのような行為が後を絶たなかったのでしょうか。
日本ではあまり知られていませんが、海外の観光地では、歴史的建造物にコインを投げる習慣があります。
厳島神社に関して、以下のように紹介する海外のWebメディアすら存在します。
It is common practice for visitors to place coins in the cracks of the legs of the gate and make a wish.(観光客にとって厳島神社で鳥居の柱にコインを差し込んで願い事をするのは一般的なことです。) ー Twisted Sifter「MIYAJIMA TORII – JAPAN’S FLOATING GATE」より英文を引用・和訳
こうした報道が「みんなやっているから大丈夫だ」という意識を助長している可能性も大いにあるでしょう。
他県からの観光客がコインを差し込んでいる姿もあり、必ずしも訪日外国人だけが原因というわけではありません。このような観光客のマナー違反によって引き起こされる問題は「観光公害」と呼ばれ、日本だけでなく世界中で問題になっています。この「観光公害」を防ぐには、訪日外国人をはじめとした観光客に向け、その観光地でのマナーを発信していく必要があります。
人気だからこそ損なわれた鳥居の景観、欠かせない観光公害対策
観光地として人気を集める厳島神社の大鳥居ですが、人気の故に集まった観光客により景観が壊れてしまうという残念な結果となってしまいました。
観光地の史跡や自然環境を質高く保つということは、長期的なインバウンド集客を考えた時に外すことのできない方針です。厳島神社の問題は、史跡、自然環境かかわらず、「観光公害」への対策の必要性を広く世界に知らせる例となるはずです。
<参照>
- 訪日ラボ:世界遺産を失う恐れ?劣化が止まらない厳島神社 倒壊寸前に:背景には訪日客の身勝手な行動が… そろそろ本気で考えなければならない「観光公害」
-
訪日ラボ:インバウンド人気観光地ランキング4位「厳島神社」の人気の理由・インバウンド対策とは
- 日本経済新聞:大鳥居に硬貨、対応苦慮 世界遺産の厳島神社
- 読売新聞:厳島神社の大鳥居、大規模修理へ…8月には覆い
- 毎日新聞:世界遺産・厳島神社の大鳥居、改修始まる 老朽化で損傷
- TripAdvisor:旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の観光スポット ランキング 2018
- TripAdvisor:宮島(厳島)
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