東京都交通局は7月22日より、東京を訪れる訪日外国人観光客向けに、海外旅行保険を含むメディカルサービスが付帯された企画乗車券「TOKYO STARTER KIT」の発売を開始しています。
企画乗車券に海外旅行保険がセットになる新しいインバウンドの取り組みとして、注目が集まります。
「TOKYO STARTER KIT」のサービス概要をふまえ、訪日外国人観光客の受け入れ態勢強化に向けた東京都交通局の取り組みについて見ていきましょう。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
「TOKYO STARTER KIT」で訪日客と医療機関双方の利便性向上へ
「TOKYO STARTER KIT」は、東京を訪れる訪日外国人観光客がより便利かつ安心安全に観光を楽しめるよう、東京海上日動火災保険株式会社と連携して発売する企画乗車券です。
訪日外国人観光客がケガや病気の際に受診する医療機関探しや、旅行保険に未加入の場合の高額な治療費、言葉が通じないといった問題の解決を目指します。
2019年3月に観光庁が実施した「訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査」では、インバウンドの約3割が旅行保険に未加入で訪日していることが判明しました。
旅行業者や宿泊施設を対象にしたアンケートでは、インバウンド対応の課題として、旅行業者からは「外国人対応ができる医療機関が分からない」、宿泊施設からは「会話対応・通訳が十分できない」といった声が挙がっています。
また、同じく3月に厚生労働省が発表した「医療機関における外国人患者の受け入れに係る実態調査」によると、外国人の医療未収金は月平均で42万円、8.5件発生していることが明らかになりました。
今回の「TOKYO STARTER KIT」の発売により、訪日外国人観光客はもちろん、医療機関や宿泊施設、旅行業者といった受け入れ側の負担軽減への効果も期待できるでしょう。
「TOKYO STARTER KIT」でスムーズな観光に便利なサービスを網羅

専用のモバイルアプリをダウンロードすると、医療機関の紹介や受診時などに便利な通訳サービス、パスポート紛失時のサポートなどを受けられます。観光情報やお得なクーポンも入手できるほか、災害発生時の多言語による情報通知などのサービスも含まれているのが特徴です。
2019年7月22日から上野御徒町駅ツーリストインフォメーションセンターにて発売を開始し、金額は大人子供ともに3,000円になります。
発売対象者は訪日外国人観光客のため、パスポートを確認した上で、購入時に専用端末でパスポート情報を読み取り被保険者登録を行います。契約書類に個人情報を記入するといった作業を省略し、よりスムーズに利用できる仕組みを新たに開発しました。
最大72時間利用可能「訪日外国人向け総合サポートサービス」
「TOKYO STARTER KIT」購入日の翌日0時から最大72時間利用できる、旅行中のトラブルに対するサポートは、訪日外国人向け海外旅行保険と災害情報の提供になります。
訪日外国人向け海外旅行保険では、日本国内におけるケガや病気の治療費用と本国への移送費用等を補償します。ケガや病気の症状に応じて、治療費を自己負担することなく受診できる医療機関を紹介する、キャッシュレスメディカルサービスもあります。保険会社が直接治療費を支払うため、500万円まで自己負担をすることなく治療が受けられる仕組みです。多言語サービスも充実しており、英語・中国語・韓国語に対応した電話通訳を利用し、医療機関を受診できます。
さらにレストランやホテルなどでも、43ヶ国語対応の電話通訳が利用可能なので、東京観光をよりストレスフリーに楽しめると言えるでしょう。トラベルサービスでは、パスポートやクレジットカードの紛失盗難の際のサポートから空港とホテル間の送迎予約まで、さまざまなサービスを用意しています。
災害情報の提供では、災害発生時に、英語・中国語・韓国語に対応した専用アプリから位置情報に応じた災害情報が発信されます。最寄りの避難場所の情報や避難場所へのルート情報も入手できる仕組みです。
まとめ:インバウンドの医療・災害時の受け入れ態勢強化へ
インバウンド客の急増により、医療機関の多言語対応や医療費未払いなど、さまざまな課題が上がっているのが現状です。訪日客に人気の企画乗車券に海外旅行保険や旅行中のトラブルに対するサポートを含めた「TOKYO STARTER KIT」は、インバウンドの受け入れ態勢強化による利便性向上はもちろん、受け入れ側の負担軽減に繋がることも期待されるでしょう。
<参照>
・東京都交通局:都営地下鉄のニュース【報道発表】(2019年7月5日)
・訪日ラボ:外国人の医療未収金、月平均42万円・8.5件発生と判明 医療機関のインバウンド対策を厚労省が調査、多言語化にも課題
・観光庁:訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査・受け入れ環境の整備強化を行いました
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
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- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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