2019年11月20日、政府・与党が日本酒の海外輸出促進に向け、輸出の目的に限り新規参入を許可する方針を検討していることが明らかになりました。
日本酒は世界的に注目が高まっており、日本の魅力の1つとして認知拡大が期待される分野です。
今回は、政府による酒税法改正の背景や海外での日本酒人気の例をふまえ、日本酒の世界のアルコール市場への進出に向けた今後の可能性について紹介します。
関連リンク
中国富裕層を取り込むグルメツーリズムの取り込む方法とは
日本酒関税の大幅引き下げにより台湾限定「これあらた」販売開始!
酒税法改正の検討理由とは?
国税庁によると、成人1人当たりの酒類消費数量は、直近30年で1992年の101.8Lをピークに減少傾向にあり、2017年度には80.5Lにまで落ち込みました。
その原因は、よく耳にする「若者のアルコール離れ」だけではありません。
![▲[飲酒習慣率の変化]:ニッセイ基礎研究 ▲[飲酒習慣率の変化]:ニッセイ基礎研究](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/5303/main_e304d36a9e62dd6ddbef3d411fba4134.png?auto=format)
アルコール離れしているのは若者だけではなく、30〜40代も大幅に減少しています。この現象は、健康志向の高まりや飲酒を必要とする会食の機会が減ったことなどが要因として考えられます。
若者のアルコール離れは、健康志向と飲酒以外の娯楽が豊富にあることが挙げられます。さらに日本は超少子高齢社会となっていることも原因の一つと言えるでしょう。
このような国内需要の低下による需給調整を理由に、日本酒の製造免許の新規発行は原則認められていない状況です。
一方で、世界的には日本酒への関心や認知拡大が進んでおり、注目を浴びています。財務省の調査では、2018年の清酒の輸出金額 約222億円(対前年比119.0%)、輸出数量は約25,747kl(対前年比109.6%)となり、いずれも9年連続で過去最高となりました。
そこで政府は海外をターゲットとした新たな日本酒メーカーの参入を許可し、世界のアルコール市場においてシェアを伸ばしていく方針です。酒税法の改正案は来年の通常国会で提出し、早ければ2020年4月1日の施行を目指します。
和食ブームに便乗、日本の「SAKE」を世界へ
世界のアルコール市場は約108兆円と言われている一方で、日本酒市場は4,000億円台と、全体のわずか1%未満となっており、国内消費が大半を占めている現状です。国内では縮小傾向が見られる日本酒市場ですが、海外でのプロモーション次第では伸びしろが期待されています。
2013年に「和食」が世界無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、世界的に日本酒の認知拡大が進んでいます。近年の和食ブームに伴う日本の「SAKE」の浸透を商機と捉えた政府は、今年6月に大阪市で開催されたG20サミットで日本酒のPRブースを設置しました。各国代表団やメディア関係者などが3日間で延べ約1,700名ほど訪れました。
こうした情報発信を積極的に行うと共に、輸出手続きの簡素化にも取り組んでいます。国税庁は2020年度の予算要求において、日本産酒類の競争力強化ならびに海外展開推進事業費として、25億円と今年度の10倍の費用を要求しました。
政府も本腰を入れて日本酒の認知拡大を目指していることから、日本酒の海外進出の可能性はさらに高まっていくでしょう。
フランスにおける日本酒人気
日本貿易振興機構によると、フランス・パリ市内におけるジャンル別のレストランの店舗数は、フランス料理とイタリア料理に続き、日本料理が3位となるなど、和食人気が顕著です。背景としては、フランスの食文化が直近10年間で、ヘルシー志向へと徐々に変化してきたことが挙げられます。
和食向けのヘルシーな素材を使用したフランス料理や調理方法も浸透し、より和食が身近に感じられるようになりました。
フランスでは和食への関心拡大に伴い、日本酒への注目も高まっています。パリ市内では日本食レストランだけでなく、フレンチレストランにおいても、ソムリエが日本酒をペアリングし提供するケースが多く見受けられるようになりました。
パリでは2017年より、フランスのソムリエが選ぶ日本酒コンクール「Kura Master」が実施されています。フランス人による、フランス人が選ぶ、フランス料理のための日本酒品評会として、毎年現地でも大きな話題となっています。
「SAKE」認知拡大で地域の魅力発信へ
酒税法の改正案をはじめ、日本酒の輸出手続きの簡素化など、政府も日本酒の輸出拡大に向けて本格的に動き始めています。日本酒の認知と需要が拡大することで、全国各地の酒蔵の活性化ならびに地方創生にもつながることが期待されています。
地方の魅力発信の手段としても、日本酒は大きな可能性を秘めているはずです。
<参照>
産経新聞:日本酒づくり、新規参入を許可へ 輸出向け特化 政府が酒税法改正へ
産経新聞:世界で人気、伸びしろ大きい日本の「SAKE」日本酒参入許可へ
国税庁:酒レポート
TRIP EDITOR:日本酒よ、世界に羽ばたけ。フランスのソムリエが唸る美味いSAKE
ニッセイ基礎研究所:縮小するアルコール市場、その活路は?
【11/26開催】インバウンドの受け入れを「仕組み化」で乗り切る!宿泊・観光業の人手不足を解消する革新的ソリューションを紹介

外国人観光客の爆発的増加に伴い、スタッフの人手不足に直面する宿泊・観光業界。
さらには多言語対応やあらゆるサポートも求められ、キャパシティが限界状態にある事業者も少なくはないでしょう。
そこで訪日ラボでは、「人手不足を補いながらインバウンド対応を強化する」実践策を紹介するセミナーを開催します。
DXによる業務効率化や自動化、多言語対応の仕組みづくり、24時間・22言語対応の医療通訳付きオンライン診療、そして多言語での口コミ・MEO対策の無理のない運用方法まで、“少ない人員でも安心して外国人観光客を受け入れられる仕組み” を解説します。
<セミナーのポイント>
- 人手不足の現場でも実践できる、インバウンド対応・業務効率化のヒントがわかる!
- 多言語対応や医療連携など、“安心・安全な受け入れ体制”を整える具体策が学べる!
-
集客から滞在サポートまで、インバウンド受け入れを総合的に学べる!
→【11/26開催】インバウンドの受け入れを「仕組み化」で乗り切る!宿泊・観光業の人手不足を解消する革新的ソリューションを紹介
【インバウンド情報まとめ 2025年11月前編】中国、日本への渡航自粛を要請 / 2025年冬の国際定期便、過去最高の便数に ほか

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に10月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※訪日ラボ会員にご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国、日本への渡航自粛を要請 / 2025年冬の国際定期便、過去最高の便数に ほか:インバウンド情報まとめ【2025年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
訪日ラボの会員限定コンテンツ「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!
その他、訪日ラボの会員になるとインバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い教科書コンテンツやインバウンドを分析したレポート、訪日ラボのコンサルチーム登壇のセミナーなど役立つコンテンツが盛りだくさん!










