東京オリンピック・パラリンピックに向けて、雇用が大幅に増えたことを受け、日本国内では職探しにおける「売り手市場」が続いてきました。
しかし、一般的にオリンピック終了後には景気が低迷するとも言われており、この「売り手市場」が続くのかを気にされている人も多いはずです。今回の記事では、そんな転職とオリンピックとの関連性についてご紹介します。
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転職市場の今
東京オリンピック・パラリンピックを控えた2020年3月現在、転職市場はどのような状況にあるのでしょうか。
厚生労働省が発表する有効求人倍率は、2018年12月には1.61倍であり、前年の1.50倍を上回る結果になりました。この項目では、昨今の労働の需要と供給の変化についてご紹介します。
「売り手市場」は収束へ?
転職市場においてはここ数年「売り手市場」が続いてきました。
しかしここ2~3年で、建築・土木、人事、法務、販売・サービス業界などでの求人が増加していただけで、その他の業界での求人数に大きな変化はありませんでした。
それらの求人の目標地点でもあった2020年オリンピック開催が近づき、ここまで求人を増やして多くの人を雇ってきた企業も、一度落ち着いて状況を観察する姿勢にシフトする可能性が高いといえます。
そのため、東京オリンピック・パラリンピックを境に、これまでの転職の「売り手市場」は収束していくだろうという見方が強まっています。
オリンピック後は景気が悪くなる?
一般的に「オリンピック後は景気が悪くなる」という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。この項目では、その理由と、どのような状況が起こり得るのかをご紹介していきます。
オリンピック開催後 日本の景気どうなる?
来年の東京オリンピック開催を控え、日本全体がオリンピックムードに盛り上がりをみせていますが、同時に気になるのがオリンピック後の日本経済の変化です。今でこそオリンピック開催に向けて、各業界がオリンピック施策に取り組み、経済的に良い効果をもたらしているように見えます。一方で、オリンピック後の不景気や衰退といった声が飛び交うなか、果たしてインバウンド市場の観光客増加にどのように影響するのかも気になるところです。そこで今回は、オリンピックとインバウンド需要の関係性も含めてオリンピック会最後の日本の...
オリンピック後に景気が悪くなる理由
オリンピック後に景気が悪くなりやすいと言われる理由は、いくつかに分かれます。
例えば、オリンピック需要の影響を受けやすい建設業界や旅行業界は、オリンピック特需が去った後には雇用が減少することが予想されます。
観光におけるピークをすぎ、外国人観光客によるインバウンド収入の落ち込みが起きることや、不動産バブルがはじけることも考えられます。その他、オリンピック特需の終焉だけでなく消費増税の影響も相まって、民間での投資や、個人消費が低迷する可能性もあります。
それ以外にも、景気循環の平均周期がちょうどオリンピック開催感覚と等しいことから、東京オリンピック・パラリンピック後には、景気が冷え込むとの意見も出されています。
過去の事例
過去に実際に起こった景気低迷の例について紹介します。
1988年に開催されたソウルオリンピックでは、その終了後に輸出業に大きなダメージがありました。2000年のシドニーオリンピックでは、オリンピック後にオーストラリア全体の景気が1~2%低下しました。
さらには、ギリシャで2004年に開催されたアテネオリンピックでは、その後急速に景気が悪化し、1年後に経済破綻をしたという例もあります。
日本で行われた1969年の東京オリンピックでも、大会後の建築需要減や、家電メーカーでの不況などが問題となりました。
このように、オリンピック効果で大会までの需要が上昇する反動で、のちの消費行動の低迷が景気に影響するということがわかります。
求人に対する影響
このように、オリンピックを開催するにあたり、様々な需要や急激に増加し、消費が増える一方で、反動的に終了後の消費低迷を引き起こし、一般的に景気の悪化を招くという構造が見られます。
この景気の悪化が起きた場合、求人数へも影響を与えると考えられます。つまり、景気が悪化することで、全体的な日本経済が縮小し、新しい雇用をする余力がなくなることで雇用の縮小が起きるのです。
そのため、優良企業が求人を取りやめることになり、求人の質が悪化し、仕事はあるけど条件の悪いものや、低賃金のものばかりになってしまう可能性もあります。
オリンピック以降の転職市場はどうなる?
このように、経済悪化や雇用の縮小が心配される日本経済ですが、オリンピック後の転職市場は、どのような状況が想定されるでしょうか。この項目では、特に転職市場に焦点を当てていきます。
企業が転職者に求めるもの
転職者を採用するにあたって、企業が求めているのは、「スキル」「実績」「人柄」「やる気」と言われています。
その企業が求めている人材が20代である場合、そのポテンシャルや意欲に注目することが多く、反対に30代以降であれば、それまでに身に着けたスキルや専門性、マネージメントの能力などが問われます。
このように、企業によってどのような人材を求めているかは異なるため、転職希望者は、それぞれの企業が求めている人材である必要があります。
つまり、条件や募集要項などを熟読し、自分の持っているスキルと企業の求める人物像が一致しているかをよく吟味していくことが大切です。
東京オリンピック後に伸びる業界は?
では、オリンピック後の景気低迷に左右されず、需要が高まることが予想される職業にはどのようなものがあるのでしょうか。
オリンピック後にも盛り上がる可能性もある仕事の条件としては「地域性に縛られない」ということが挙げられます。また、景気が低迷していても十分経営していけるよう、資本力があまり必要のないビジネスであるという点も重要です。
その他、利益率が高い、撤退・方向転換のしやすい新規ビジネスであること、海外への展開が見込めることなどが、今後も生き残る仕事である条件と言えるでしょう。
そのため、所有物をレンタルすることで利益を得るシェアビジネスや、「月額課金」や「定額制」でサービス、商品を利用するサブスクリプションモデルを採用している業界が今後伸長することが予想されています。
転職の「売り手市場」はオリンピック前まで
結論としては、現在の売り手市場の転職が続くのは、東京オリンピック・パラリンピックが開催される前まで、という見解が有力であるといえます。
それは、不動産投資や五輪特需による消費がなくなり、反動的に景気が低迷した日本経済においては、必然的に優良な求人も減少する可能性が高いからといえます。
しかし一方で、今後も成長が見込まれるビジネスのスタイルもあります。特に、特定の場所に留まる必要がなく、資本を抱えずに行えるビジネス形態は、景気の波の影響を受けにくいため、シェアビジネスやサブスク業界などは注目すべき業界といえます。
オリンピック景気に左右されずに転職を成功させるためには、企業側が求める人物像を的確に把握することや、今後も伸長する確率の高い業界を狙うことが求められるでしょう。
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