オリンピックの近代五種は、フェンシング、水泳、馬術、射撃、ランを順番に行う複合競技です。
さまざまなスキルが必要とされるうえ、1人の選手が5種目をこなさなければならない過酷さがあります。一方で、終盤まで逆転できる可能性があるなど、見どころも多い競技です。
この記事では、近代五種の概要、東京オリンピックにおける競技日程、会場、見どころを紹介します。
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オリンピック競技近代五種の概要・ルール
オリンピックの近代五種は、考案の際にもととなった古代オリンピックの五種競技に対して名付けられています。選手は、フェンシング、水泳、馬術、レーザーランで競い合い、最後のレーザーランでは各競技の得点を合計し、タイム差に換算してスタートします。
以下では、近代五種の概要とルールを解説します。
近代五種の概要
近代五種では、1人の選手が全く異なる5つの競技を行います。内容はフェンシング、水泳、馬術、射撃とランを交互に行うレーザーランの5つです。
さまざまなスポーツを高いレベルでこなす万能さと、1日で5つの競技をやりとげる体力が求められます。多岐にわたるスキルが必要となることから、「キングオブスポーツ」とも呼ばれています。
近代五種は、古代オリンピックで行われていたペンタスロン(五種競技)をもとに、近代オリンピックの創立者であるクーベルタン男爵が考案した競技です。
トレーニングに必要な競技施設や用具が多いことから競技人口が伸び悩んでいたものの、近年では国際近代五種連合の加盟国が100か国を超えるなど、人気を獲得しつつあります。
とはいえ、近代五種の世界大会の出場者数は約300人、同競技の日本人選手権の出場者数は40人にも満たないと言われており、いわゆる「マイナースポーツ」であることは否めません。
2018年、そんな近代五種を日清食品が応援するキャンペーンが企画されました。本キャンペーンの一貫としてゴスペラーズが名曲「ひとり」の替え歌である応援ソング、「ひとりで、五つ」を歌ったYoutubeの動画はテレビやニュースなどにも取り上げられ、反響を呼んでいます。
そのほか、日清食品は「近代五種応援サイト」を2018年3月1日より開設しており、同競技の魅力やルールの奥深さをユーモアを交えて紹介しています。
近代五種の種目
近代五種は、男女それぞれ個人戦のみです。フェンシングは決闘をもとに考案された人気種目の「エペ」、水泳は200メートル自由形、馬術は12障害15飛越方式の障害飛越競技、レーザーランは5つの的を射る射撃と800メートルのランを交互に4セット行います。
近代五種のルール
近代五種の各種目のルールは以下の通りです。フェンシング
試合の方式は、突きの有効範囲が広い「エペ」です。1分間1本勝負で総当たりするランキングラウンド、ランキングで下位になった選手から順に30秒1本勝負をするボーナスラウンドがあります。ランキングラウンドは勝率70%を250点として1勝あたり6点の増減、ボーナスラウンドは、1勝につき1点が獲得できます。
水泳
200メートル自由形で泳ぎきるまでの時間を競います。タイムは100分の1秒単位まで計測されます。2分30秒=250点を基準として1秒あたり2点ずつ増減します。馬術
最高120センチメートルにまで到達する12の障害が用意されますが、その中には2つ連続するダブル障害、3つ連続するトリプル障害が1つずつ設置されるため、合わせて15の障害を飛び越えます。また、各選手が騎乗する馬は抽選で決定します。300点満点から減点方式で採点します。
レーザーラン
フェンシング、水泳、馬術の合計点数を1点=1秒で換算したうえで、各選手がタイム差をつけてスタートします。これによりフィニッシュラインの通過順が競技全体の順位になります。
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フェンシングは第1回オリンピックから採用され続けており、一瞬の隙を狙い撃つ駆け引きやダイナミックな剣さばきが見どころです。ヨーロッパで発祥した騎士道の剣術に歴史をもち、オリンピック正式種目として、有効面や優先権など独自のルールが発展しました。2人の選手が向かい合い、剣を用いて攻防を繰り広げる様は一見単純明快ですが、種目ごとに異なる細かなルールに基づいた接近戦や頭脳戦も展開されます。1936年には電気審判機が導入され、精密な攻防に対して公正な判定を下すことが可能になりました。今回は、2021...
東京オリンピック2020近代五種の日程・選手・チケット
東京オリンピックの近代五種は8月上旬に、東京都調布市内の2つの会場を使用して催されます。いずれも他競技での使用が決まっており、大会期間中は多くの人が訪れるでしょう。以下では、近代五種の日程、内定選手を紹介します。
※新型コロナウイルスのパンデミックを受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。
日程・会場
東京オリンピックの近代五種は、8月6日(木)〜8日(土)にかけて行われます。6日はフェンシングのランキングラウンド、7日は女子の各種目、8日は男子の各種目が予定されています。6日のランキングラウンドは東京都調布市の「武蔵野の森総合スポーツプラザ」、7日および8日は同市内の「東京スタジアム」が会場となります。
バドミントンや車いすバスケットボールの会場でもある前者は、東京スタジアムの隣接地に新たに整備された施設です。
サッカーやラグビーの会場にも定められている後者は「味の素スタジアム」の名で親しまれていますが、スポンサーの関係上、オリンピックでは「東京スタジアム」と称されます。
内定選手
2020年3月現在、東京オリンピックの近代五種に内定している日本人選手はいません。2020年5月25日〜31日にかけて開催される世界選手権で、3位以内に入賞した選手が出場権を獲得できます。各国・地域から最大で男女2名ずつが出場でき、日本の場合は選手権で入賞できなかったとしても、開催国枠での出場が認められます。
リオオリンピックに出場している自衛隊所属の岩元勝平、警視庁所属の朝長なつ美の両選手は、有望選手として期待されています。特に、歴代最高の13位入賞を果たした朝長は、五輪出場の可能性が高い人物です。
東京オリンピック近代五種の見どころ
近代五種では、1人の選手が性質の異なる5種目をこなします。それぞれの種目の得意不得意によって順位が変動するため、逆転劇が起きる可能性もあります。特に、貸与される馬が抽選で決まる馬術は相性に左右される部分もあり、注目すべきポイントです。
以下では、東京オリンピックの近代五種の見どころを紹介します。
静と動の混合
近代五種は、たった1人で5つの種目をやりとげなければならない過酷な競技です。各種目で必要とされるスキルも大きく異なるため、選手はさまざまなトレーニングを積まなければなりません。特に、最後のレーザーランでは射撃とランニングを交互に行いますが、それぞれ「静」と「動」が象徴的な種目です。そのため選手たちには、種目ごとに心身を切り替える力が求められます。
また、複数の種目の得点を合計するため、巻き返しが狙いやすい点も魅力の一つです。最後まで目が離せない試合展開になるでしょう。
馬は運で決まる
近代五種で選手が乗る馬は貸与されますが、選択はできず抽選によって決められます。各馬の能力は均してあるものの、性格や特徴には個体差があるため、競技の中で見極めなければなりません。また、選手と馬には相性があり、馬術の得意な選手であっても必ず良い結果を残せるわけではありません。近代五種の馬術では短い時間で信頼関係を築くスキルが必要です。
この抽選方式は近代五種の醍醐味でもあり、各選手の対応力は見どころの一つです。
強豪国選手のメダル争い
近代五種の強豪国は、イギリス、フランス、イタリアなどヨーロッパ勢が並んでいます。2000年以降はロシアが劇的に力を伸ばしており、シドニー(2000年)、アテネ(2004年)、北京(2008年)、リオデジャネイロ(2016年)の4大会で金メダルを獲得しています。また、アジア圏では韓国が着実に力をつけており、2018年のワールドカップの1位、2位はいずれも韓国人選手でした。
ロシアをはじめとする強豪各国に対して、日本や韓国がどこまで食らいつけるかが見どころとなるでしょう。
1競技で5種目楽しめる近代五種
近代五種は、古代オリンピックで行われていた五種競技をクーベルタン男爵が改変したもので、選手はフェンシング、水泳、馬術、レーザーランに取り組みます。性質の大きく異なる5つの競技が連続するため、それぞれを高いレベルでこなす万能さが求められます。また、射撃とランを交互に繰り返すレーザーランでは、集中力を保ったまま、心身のモードを切り替える必要があります。
ロシアやイギリス、フランスなどが強豪国として知られており、特にロシアは、直近5大会で4度金メダルを獲得しています。一方、日本の朝長なつ美も、リオオリンピックで歴代最高の13位に入賞するなど着々と力をつけており、日本代表の活躍にも期待できそうです。
<参考>
日清食品:近代五種応援サイト
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