KOLとKOCはどう違う?中国ネット用語「种草」徹底解説【テストに出る中国マーケティング用語】

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ライフタイムバリュー、バイラルコンテンツ、など、どこかで耳にしたことはあるのに、意味を問われてもとっさに答えられなかった…という体験をしたことのある方もいるのではないでしょうか?

前者は、生涯価値と訳され、顧客との取引開始から終了までの全期間で企業が得ることのできる利益のことで、LTVと略されることもあります。後者は、ウイルスが伝染するかのように、ユーザーによるシェアを通じてウェブ上で拡散される(された)コンテンツのことを指します。

中国での流行を理解するのに、同地でのマーケティング理解は欠かせません。共通の概念がある一方で、中国独自の表現や、中国では日本以上に重要な概念もあります。

今回はその中でも、影響力がある人物を起用したインフルエンサーマーケティングにおいて理解しておきたいマーケティング用語を解説していきます。



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影響力がある人物を起用したマーケティングで外せない「KOL」と「KOC」とは?

中華圏ではSNS上で影響力のある人物を「網红(ワンホン)」や「KOL」と呼びます。最近では「KOC」という言葉も耳にすることが多くなりました。

影響力がある人物を起用したマーケティングをする際には非常によく出てくるので、押さえておきたいマーケティング用語です。

「KOL」=「キーオピニオンリーダー」とは?

KOL」とは「Key Opinion Leader(キーオピニオンリーダー)の略です。特定の分野における「専門性」があり、特定のコミュニティで強い影響力を持つと定義されています。

例を挙げると、中国には別称「口紅王子」として有名な「李佳琦(リージャーチー/Austin)」という美容系ライブ配信者の男性がいます。彼のWeiboフォロワー数は2020年5月時点で1,500万人を超えており、美容系という限られたジャンルにも関わらず圧倒的なファン数を誇ります。

▲[李佳琦(リージャーチー/Austin)]百度百科

彼はもともと世界最大の化粧品メーカーであるロレアルの美容部員出身であり、コスメに関する専門性と強い影響力を備えています。こうした専門性を生かして強い影響力を持つ李佳琦(リージャーチー)は典型的なKOLといえます。

逆にいうと、確かに特定のジャンルにおいては知名度と影響力がありますが、専門外のジャンルにおいても同じような知名度と影響力を発揮できるとは言い切れません。

インターネット上の有名人「網紅(ワンホン)」とは何が違う?

中国にはインターネット上の有名人のことを網紅(ワンホン)と呼びます。

元祖網紅(ワンホン)と言えば「papi酱」(※酱は〜ちゃんの意)が有名です。フォロワー数はWeibo抖音TikTok中国版)共に3,000万人を越えており、中国で強烈な知名度があります。

▲[papi酱]:Weibo公式アカウント

彼女自身は「搞笑(お笑い)」といわれるジャンルで活動をしており、基本的には日常を皮肉ったクスッと笑える小ネタを提供するコンテンツを配信しています。何か特定の専門性を持っているわけではありません。

ジャンルを問わず幅広い層で知名度を得ているpapi酱は専門性に特化したKOLというよりも、網紅(ワンホン)の側面が強いといえます。

網紅(ワンホン)の価値はその人自身であり、KOLの価値はその人の知識や目の付け所にあると整理ができます。

影響力というとSNSのフォロワー数が指標になりがちですが、幅広い人に向けたメッセージなのか特定のジャンルの人に向けた専門的なメッセージなのかによってフォロワーが多いか少ないかを判断する基準が変わってきます。

SNSの発達により情報取得が容易になった今、多くの人の好みが細分化しています。単純なフォロワー数だけでなく、細分化された特定のジャンルにおける影響力を見るように意識すべきでしょう。

「KOC」という言葉の誕生

KOLよりも新しい概念である「KOC」について見ていきたいと思います。

KOCはKOLと異なり自らも消費者の立場でありながら、レビューなどに影響力がある人で、「Key Opinion Consumer(キーオピニオンコンシューマー)」の略です。

自身も消費者の立場で使用感を自分の言葉で正しく伝えられ、身近な人たちに対して影響力を持ちます。

KOL、KOCはフォロワー数で明確に線引きできるものではありませんが、IT系情報サイトである青瓜伝媒ではKOL、KOCのランクを以下のように定義しています。

  • 芸能人
  • スーパーKOL
  • トップKOL(フォロワー数>50万)
  • 中堅KOL(5万<フォロワー数<50万)
  • マイクロKOL(5,000<フォロワー数<5万)
  • KOC(300<フォロワー数<5,000)
▲[KOCとは]:筆者作成
▲[KOCとは]:筆者作成


KOCを起用したマーケティング事例「完美日記」

フォロワー数の多いトップKOLを起用して商品宣伝などのマーケ施策を打つよりも、KOCと呼ばれる人たちを広く浅く大量に起用をする成功事例も生まれており、KOCに注目が集まっています。

巧みなSNSマーケティング施策によって設立からわずか3年で国民的化粧品ブランドになった「完美日記(Perfect Diary)」では、口コミサイト小紅書RED)」などにおいて、芸能人1:スーパーKOL1:トップKOL3:中堅KOL46:マイクロKOL100:KOC150の比率で宣伝の依頼をしたことが伝えられています。

▲[完美日記(Perfect Diary)]公式コーポレートサイト

日本でいうと、アマゾンベストレビュアーやアットコスメのクチコミ投稿者ランキングにランクインしているレビュアーがKOCに近い存在です。

忖度なしで使用感を伝えているレビューを見て購入の後押しになった経験は誰しもあるのではないでしょうか。

誰もが気軽にSNS発信できるようになった今、遠くの有名人よりも、近くの友人に信頼が集まる構造がますます加速しています。

消費者の購買意欲を「草」になぞらえる:“种草”、“长草”、”拨草”とは?

発信者を区別する言葉だけでなく、消費者心理にも表現方法があり、SNSで消費者同士でも気軽に使う語彙になっています。

言葉を知ることで実際に消費者が購入に至るまでどのような心理状況を経ているのかを把握することができます。

中国SNSでは購買意欲を植え付けることを「种草(直訳で草を植えるの意)」と言い、消費者の間でもよく使われています。

口コミアプリの投稿を見ていると、「种草されて買ってしまった!」という購入報告や、「この商品すごく良かったのでみなさんに种草します」と言った推薦レビューで度々登場しています。

このような用語を中国SNSで検索すると中国の消費者がどういうシチュエーションでどんな商品を購入したくなったのかというヒントがたくさん出てきます。

この「种草」には段階があり、購買意欲を育てることは「长草(直訳で草を育てるの意)」、最終的に購入する/もしくは完全にやめることは「拨草(直訳で草を抜くの意)」と表現します。

微妙な心理状態の違いを単語で表すこれらの用語を押さえておくと、購買に対する消費者のリアルな温度感を掴むことができます。

▲[テストに出る中国マーケティング用語「植草」]:筆者作成
▲[テストに出る中国マーケティング用語「植草」]:筆者作成


マーケティング用語には消費者の感覚が隠れている

マーケティング用語はただの単語のように見えますが、外国語のマーケティング用語を理解することは、日本とは異なる消費者の感覚を把握することにつながります。

中国では本記事で挙げた用語以外にも、ネットサービスのユーザーのトラフィックの分類や、インターネット上におけるブランド化に関する言葉まで、様々なマーケティング用語が存在します。

中国SNSを利用して集客などのマーケティング施策を打つ際も、中国で実際に行われているマーケティング施策を理解することで、よりスムーズに施策を打つことができるでしょう。

海外市場に向けたマーケティング施策を検討、実行する際には、それを表すマーケティング用語の理解から始めるのもおすすめです。


<参照>

青瓜伝媒:品牌“红人带货”策略

李佳琦4个月粉丝增长1000w,即将突破2000万

【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント

2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。

これだけ市場が大きく、経済インパクトのある中国インバウンド。 いま多くの企業が「中国向けに本格的な戦略を立てるべきではないか?」と検討を始めています。

しかし中国では、Googleをはじめとする多くのサービスに規制があり、中国現地のSNSや地図サービスを活用するなど、独自のカスタマイズされた対策が必要です。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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