8,000万再生回超え「Tokyo Bon 2020」なぜ世界的流行に…「ジャパングリッシュ」満載の歌詞から見るインバウンド対応のヒント

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2021年夏開催の東京オリンピックを目指して、日本国内では急速にインバウンド対策が進められています。それに合わせて海外における日本への関心も高まり、訪日外国人観光客数は2015年以降右肩上がりになっています。

観光業界において外国人観光客が占める売上の割合は高く、インバウンド対策を進める店舗や観光スポットが増えています。そんな中、日本の様々なイメージを「海外から見た視点」で描かれたYouTube動画が人気になっており、SNSを中心に拡散されています。

その中でも評価の高い動画から「海外から見た日本の印象」と、インバウンド対策に繋がる課題点を探っていきます。

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アジアを中心に話題の動画「Tokyo Bon 2020」

アジアを中心に今、世界的に話題となっているのが「Tokyo Bon 2020」という動画です。「Tokyo Bon 2020」はマレーシアのアーティスト「Namewee」と、日本最大級のインフルエンサーマーケティング企業「Cool Japan TV」が共同でプロデュースした作品です。

株式会社Cool Japan TVは、アジア最大のインフルエンサーネットワークを持ち、インバウンドプロモーション事業を展開している日本の企業です。「Tokyo Bon 2020」は2017年11月のリリース後、わずか2ヶ月でYouTube上で1,000万回再生を突破しました。

Facebook、InstagramTwitterだけでなく世界各国の動画プラットフォームに拡散され、累計再生回数は1億回を超えています。

同作品では、Cポップの人気アーティストNameweeのほか、アジア各国の人気YouTuberたちが出演しています。さらに振り付けを世界的に活躍する創作日本舞踊家の孝藤右近が担当するなど、多国籍コラボレーション作品としても注目を集めています。

 動画の内容は、日本語が話せない外国人旅行者が着物をきた女性に話しかける場面からスタートします。その後、セーラー服を着た女性が日本国内の観光名所を案内していきます。

曲中で「セーラー服」「着物」「力士」といった外国人にとっては日本の象徴ともいえる姿をした人々が曲に合わせて踊る内容となっています。ポップで軽快な音楽に載せて、日本らしい和の光景が次々と登場する動画です。

最後は大相撲の土俵セットを背景に、花魁、連獅子、力士、忍者などの日本を想起させる仮装を着用した出演者たちが、手をつなぎ盆踊りを楽しみます。国境を越えて全員で盆踊りを踊る姿は、日本の精神である和の心をユーモラスな形で表現しているといえます。

歌詞には日本国内で日常的に使われている「ジャパングリッシュ」が並び、そのユニークな響きが注目されているようです。

2018年Japan Expoでもパリっ子が熱狂

2018年7月にフランス・パリで行われた「Japan Expo」でも「Tokyo Bon 2020」は人気を博しています。

プロデュースした株式会社Cool Japan TVと、同イベントで初の名誉ゲストとして招待された日本の音楽グループ「TRF」リーダーのDJ KOOを中心に、Namewee、創作日本舞踊家の孝藤右近、世界各国の人気YouTuberが参加し、会場は大いに盛り上がりました。

Japan Expoのライブ会場に、彼らが華やかな衣装で登場すると大歓声が起こります。1万人を越えるステージでは、振り付けを覚えてきた観客も「Tokyo Bon 2020」を一緒に踊り始め、パリっ子を熱狂の渦に巻き込みました。

「踊ってみた」動画が多数投稿される

「Tokyo Bon 2020」のYouTubeの再生回数は現時点で8,000万回以上にのぼっています。

各SNSでも拡散され続けており、中でも「踊ってみた」動画が増えています。日本国内でもアプリ「Tik Tok」で5,000人以上がカバー動画を投稿しているほか、世界各国から「盆踊りを踊ってみた」動画が続々と投稿され、国境を越え社会現象になっているようです。

日本人が話す英語は「Japanglish(ジャパングリッシュ)」

「Japanglish(ジャパングリッシュ)」は「Japanese(日本語)」+「English(英語)」が入り混じったもので「和製英語」と言われています。ネイティブには伝わらない、日本独自の英語です。その発音もネイティブにとっては聞き取りづらく、コミュニケーションの摩擦が生まれてしまうこともあります。

本動画内の最初の部分でも、着物を着た女性に話しかける観光客が、その女性が話す英語を理解できない様子が描かれていました。 日本人が正しいと思って発音している「ジャパングリッシュ」ですが、実際はネイティブには伝わらない日本独自のものであることも多いです。

動画に登場する「マクドナルド」「グーグル」「ディズニーランド」といった言葉も、ジャパングリッシュと言われています。動画の中で見られるような「英語だと思って話しても伝わらない」というのは現実にあることです。国内ではあまり認知されていないジャパングリッシュについて、まず日本人が理解する必要があるかも知れません。

「Tokyo Bon 2020」は、iTunesでは『Makudonarudo(東京盆踊)』というタイトルで公開されています。実は、海外で「マクドナルド」と言っても伝わりません。このタイトルはそういった現状も加味してつけれたのかもしれません。

訪日外国人観光客が日本らしさを感じるポイントとは?

「Tokyo Bon 2020」は「海外から見た日本の印象」を色濃く反映しています。

動画の中で登場する「日本らしさ」はあくまでも海外から見た日本の印象です。「着物」や「セーラー服」も日本のイメージの一つでしょう。海外では「東芝」「ホンダ」「ヤマハ」「ソニー」と言った日本企業名、「ドラえもん」などのキャラクター名が知られていることが分かります。

「Tokyo Bon」から訪日外国人観光客の戸惑いを知る

「Tokyo Bon 2020」を見ると、訪日外国人観光客の多くが「日本観光でどんなことに困っているのか」を読み取ることができます。それは観光庁のアンケートにも表れており、訪日外国人観光客が「日本に来て困ったこと」に「施設などのスタッフとコミュニケーションが取れない」が挙げられていました。2016年の結果である32.9%よりは徐々に下がってきていますが、2018年は未だに20%の割合となっています。

日本人は「ジャパングリッシュ」がネイティブに伝わると思っている人も多いため、コミュニケーションミスにつながっている可能性は十分考えられます。 

動画内では、「新宿駅はとても広くてドラえもんが要る」と歌われるなど、訪日外国人観光客へのサポートが不十分なことがうかがえます。 実際に新宿駅などの主要な「公共交通機関が使いづらい」ことも、訪日外国人観光客の懸念の一つとして観光庁の調査結果に挙げられています。「切符売り場」や「乗り場」が未だにインバウンド対策されていないことも原因のようです。

「Tokyo Bon」はフランス語で「東京いいね」という意味です。海外から見た日本への信頼は熱く、日本の「おもてなしの心」などは世界中で称賛を浴びています。さらに日本の良さを世界に知ってもらうためにも、観光産業や訪日外国人観光客をターゲットにしている店は、「Tokyo Bon 2020」などから海外から見た日本のイメージを理解しインバウンドの対応に活用するとよいかもしれません。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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