観光業×危機管理に必要な「4R」とは?防災・減災対応、必要な対策、自治体の取り組みを紹介

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新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、日本国内では外出自粛状態が続いています。しかし、たとえ新型コロナウイルスが収束した後も、今後日本旅行を検討している外国人にとって、予期せぬ災害発生時にも安心して観光できる環境づくりが求められるでしょう。

日本は「災害大国」と呼ばれることもあるほど、地震や台風など災害が発生しやすい国です。日本でもこれまでの経験を糧に防災意識が高まっているように見えますが、実際にどのような「備え」をすべきなのか、具体的に何から着手をすべきかわからない方もいるのではないでしょうか。

危機管理の心がまえとは、危機管理対策として具体的に何をすべきなのかについて、市町村の事例とともに紹介します。


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近年増える大規模災害と危機管理

自然災害はいつどこで起きるか分かりません。ここ数年、日本でも地震、台風、豪雨など記憶に残る災害が目立っています。そこで2000年以降、日本で起きた大規模な災害について詳しく解説します。

日本の近年の災害

2011年 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

2011年3月11日14時46分ごろ、三陸沖の太平洋を震源地とするM9.0の巨大地震が起こりました。

この地震は強い揺れだけでなく大規模な津波を生み、東日本一帯に甚大な被害をもたらしました。日本の観測史上、最大規模といわれる東日本大震災はこのほかにも福島第一原子力発電所事故を発生させて多くの被災者が避難を余儀なくされ、液状化、建造物倒壊などの被害を招き、多くの被災者が生まれました。

2014年 御嶽山噴火

2014年9月27日11時50分ごろ、長野県と岐阜県の県境にある御嶽山が突如、噴火しました。当時は紅葉シーズンで、たくさんの登山客でにぎわっていました。最も低い噴火警戒レベル1の状態で前触れもなく水蒸気噴火し、死者・行方不明者63人を出す火山災害となりました。

2018年 猛暑

2018年の夏、5年ぶりに40度を超える猛暑となりました。熊谷市の最高気温は41.1℃を記録、下呂市、美濃市でも41.0℃を観測するなど、記録的な高温となりました。

2019年8月 九州北部豪雨

2019年8月、長崎県から佐賀県、福岡県の広範囲に集中豪雨の災害が起こりました。この豪雨は秋雨前線の影響で発生したものです。長時間にわたる集中豪雨により、8月28日を中心に各地点で観測史上1位の記録を更新しました。

2019年9月 台風15号

2019年9月、千葉県を中心に大規模な台風が上陸しました。千葉県の住宅被害は5万棟を超え、関東でも工事現場の足場が崩れるなどの被害がありました。関東上陸時の勢力では過去最強クラスの台風となっています。

観光客は災害の影響を大きく受けてしまう

観光客が災害に見舞われると、どのような事態になるのでしょうか。まず観光客には拠点となる住居がないため、宿泊先がなくなります。交通網が麻痺すると、どこにいけばいいか分からず居場所がなくなってしまいます。

地域住民と比べても土地勘や地縁が薄いため、居場所を確保する作業自体が困難になってしまうことが考えられます。災害が発生したあと、観光客が帰宅手段を失って観光地周辺に留まらざるをえない事態は全国で発生しています。

観光危機管理とは?

「観光危機管理」とは、台風や地震、航空機・船舶事故、感染症といった災害や事故などが観光客や観光産業に与える影響を「観光危機」とし、その危機をあらかじめ想定しておくことです。

危機的状況に陥ったそのときに「どうすべきか」を考えるのではなく、「もしこうなったら、どうすべきだろう」と状況に適した対応や対策をあらかじめ考え、計画を立てておくことで被害の拡大化を防ぐという目的があります観光危機管理は、観光に関わるすべての人たちが優先的に考えるべきものといえるでしょう。

危機管理に大切な4Rとは?

観光危機管理を行うには、危機によるマイナスの影響をできる限りプラスにする判断力と実行力が必要です。では具体的にどのようなことを判断し、実行していけばいいのでしょうか。危機管理は「4つのR」で考えることができます。この4つのポイントを意識しておくことで、危機管理を正しく理解することができます。

減災:Reduction

「減災」は災害をあらかじめ想定して起こりうる危機の種類を把握&分析し、ダメージを小さくするための活動です。活動でリスクが減るだけでなく、危機発生時の時間の浪費を減らし、人的資源を有効に活用できます。

具体的には避難マップをつくる、危機に関する早めの情報提供をおこなう、事前避難・事前準備の促進するなどのアクションが挙げられます。

備える:Readiness

「備える」はマニュアルや計画を定め、その計画の監査&訓練を定期的に実施し、関係者すべてが危機対応のスキルを習得した状態を維持することです。

災害発生のストレスやインパクトは少なくありません。いざ災害が発生しても冷静な判断と行動ができるよう、心と身体を備えておくことが大切です。

対応:Response

「対応」は危機が発生した際に計画にそって行動し、影響をコントロールして観光客の安全を確保することです。

災害や危機の種類によっておこなうべき安全確保のための対応は異なります。大切なのは観光客や従業員の命を守り、施設への被害をおさえることです。

状況説明、避難場所への誘導のあとは情報収集、情報発信を適切におこなうことで、危機後の復興を回復する手助けとなります。

復興:Recovery

「復興」は危機後の観光地を1日でも早く元の状態に戻すため、観光インフラの修復やマーケティングなどについて検討・計画することです。

復興は災害による直接の被害を受けなかった地域でも必要となる場合があります。災害前の状態に戻るためには、応急的な復旧が終わったあとも継続的な対応が求められます。

自治体の具体的な取り組み

危機管理には前述したように「減災」「備え」「対応」「復興」となる4Rの理解が必要となりますが、実際に日本ではどのような取り組みがなされているのでしょう。

ここでは自治体の取り組みとして沖縄県と京都市を紹介します。

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沖縄県:危機管理のWebページ

沖縄観光危機管理WEBサイト(運営元:一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー)では、ハザードマップを閲覧することができます。

ハザードマップとは自然災害によって引き起こされる被害を予測し「どのエリアが、どのような被害を受ける可能性があるのか?」を地図上で確認できるようにしたものです。

ハザードマップがあることで、該当エリアに住んでいる人たちの避難がスムーズになり、二次災害発生予想箇所を避けるなど被害を最小限におさえることが可能になります。

また、事業者向けにも「事前準備」「初期対応」といったチェック項目リストがダウンロードできるようになっています。

京都市:帰宅困難者対策

京都市は大規模災害時の帰宅困難者に観光客が含まれる点に着目し、2012年に「ターミナル対策(京都駅周辺)協議会」「観光地対策協議会」「事業所対策協議会」からなる検討体制をつくっています。

清水・祇園地域、嵯峨・嵐山地域で大規模災害が起きた場合を想定し、まとめられた「帰宅困難観光客避難誘導計画」では「緊急速報メールによる一斉帰宅抑制」「避難場所のお知らせ」「一時滞在施設のお知らせ」などをまとめ、何をどの順番でおこなうのかをステップごとにまとめています。

事前の準備でいざというときに適切な対応を

日本も諸外国と同様に、さまざまな災害や事故を経験してきました。災害や事故は、いつどんなときも起こる可能性があります。

観光危機が発生した場合、最優先に守るべきはもちろん人の安全や安心です。そして被害を最小限におさえられるかどうかは、頭の中で「今、どうすべきか」が想定できているかにかかっています。

観光業における危機管理は、たんに防災意識を持つだけでなく、実際に「何をすべきなのか?」をあらかじめ検討し、必要なものを準備しておくことが大切です。

また災害が起きた場合のステップを関わる人すべてが意識しておくことも重要となります。「安心できる国・日本」はこうした取り組みを重ねることで築きあげられていくのではないでしょうか。



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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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