東京都・神奈川県に位置する「よみうりランド」は、近年新たなアトラクションやイベントを打ち出し、注目を集めています。また、PRや訪日観光客向けのチケットの発売なども実施し、インバウンドの施設利用を促しています。これらの取り組みは、テーマパークにおけるインバウンド対策の参考にできます。
今回の記事では、よみうりランドの目指すテーマパークの構想や、実際に行っているインバウンド対策を紹介します。
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よみうりランドの施設概要
初めに、よみうりランドとはどのような施設なのか、どのような特徴が集客につながっているかを紹介します。
これらについて知ることで、インバウンド対策を実施する前後でよみうりランドの運営戦略がどの様に変化したか理解できます。
よみうりランドとはどのようなところ?
よみうりランドは、東京都稲城市から神奈川県川崎市にまたがっており、新宿駅から約40分と、交通の便が良い立地となっています。1964年に開業してから、時代に合わせて変化を続けており、2016年には「グッジョバ!」という子供向けの工場体験施設が導入されました。
よみうりランドでは、季節に応じたイベントや多種多様なアトラクションを運営しており、さらにショーや子供向け職業体験施設も兼ね備えた、都内最大級の人気遊園地となっています。
アトラクションは約30種類もあり、絶叫マシンからお化け屋敷などの屋内型アトラクションなど、様々なアトラクションが用意されています。
さらに、夏はライブイベントや子供向けのイベントを開催する「プールWAI」を、秋から冬にかけては「ジュエルミネーション」を開催し、どちらも盛り上がる人気のイベントとなっています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、「よみうりランド」および「HANA・BIYORI」は休園となっていましたが、感染症拡大防止策を講じたうえで2020年6月16日より屋外アトラクションに限って営業を再開しています。
インバウンドに向けた取り組み
紹介したように、よみうりランドでは様々な取り組みを実施し、集客を図ってきました。
では、インバウンドへ向けた取り組みでは、どのような事業を展開しているのでしょうか。ここでは、インバウンド対策として特徴的な取り組みについて紹介します。
外国人目線の動画でインバウンドPR
よみうりランドにおけるインバウンド対策の課題として、よみうりランドの代名詞となるようなキーワードがない点がありました。そこでよみうりランドでは、訪日外国人向けの情報コンテンツを制作・発信しているJAPANKURUプロジェクトとコラボレーションすることで、この課題を解決することを試みました。
この課題のポイントとして、「桜」「イルミネーション」など、よみうりランドが提供している景観をアピールすること、また、よみうりランドに興味を持ってもらうための動画を配信することがありました。
このポイントを基に、JAPANKURUのWEBプラットフォームで、動画コンテンツを利用した紹介記事を多言語で記載しています。さらに、イベント動画をターゲットがよく利用するであろうYouTubeや京王電鉄の観光案内所で放映することで、課題の解決を目指しました。
「日本らしさ」を体験することを求めて訪日する外国人も多くいますが、よみうりランドではあえて「普遍的な楽しさ」伝えるように工夫し、その中に日本テイストを混ぜることで、より体験に付加価値を生み出そうとしています。
これにより、「日本らしさ」が少なくても施設そのものを効果的にアピールすることで、訪日外国人の集客につながりました。
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「よみうりランド トラベルクーポン」の発売
また、インバウンド対策のひとつとして、よみうりランドは、「よみうりランドトラベルクーポン」を発売しています。
これは、新宿西口の小田急旅行センターで訪日外国人観光客向けに発売されている、よみうりランドへの交通機関の運賃と入園料などがセットになっているチケットです。
具体的には、小田急線の「新宿駅~読売ランド前駅間」と小田急バスの「読売ランド前駅~よみうりランド間」の往復乗車券、よみうりランド入園券、よみうりランド3回乗り物券が含まれます。
価格は大人が3,500円、こども2,500円で、通常の価格よりも安くよみうりランドを楽しめます。
また、クーポンを購入できる新宿西口小田急旅行センターは外国人旅行者向けの案内所でもあり、外国人スタッフが対応しているため、よりスムーズな旅行が可能となります。
他にも、乗車券や入園券などをその都度購入する手間の省略や、チケットそのものにも英語、中国語(簡体字)の表示が併記されていることから、利便性も高いです。
このような、訪日外国人がストレスなく優位性をもって施設を利用できるような工夫をすることはインバウンド対策に効果的であると言えます。
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よみうりランドが目指す「スーパー遊園地」とは?
紹介したように、様々な工夫を凝らすことで、ターゲット層の拡大および集客に成功してきたよみうりランドですが、今後は「スーパー遊園地」を目標として事業に着手しています。
よみうりランドが目指す「スーパー遊園地」とはどのようなものか、また、スーパー遊園地に対して、どのような対策を講じれば良いかについて紹介します。
「スーパー遊園地」の構想
「スーパー遊園地」とは、よみうりランドが掲げた独自のプロジェクトの目標です。2029年3月期までの10年間でよみうりランドの集客を2019年3月期の191万人から2029年3月期に433万人へと、まさに「飛躍」させる計画をしています。
さっそく2019年秋から冬にかけて小動物のパフォーマンスを主とした新感覚のフラワーパーク「HANA・BIYORI」を開業しました。
さらに、2016年3月以降、多くの子供たちから人気を得ている、モノづくり体験アトラクションである「グッジョバ!」では、今年の春から拡大リニューアルをしており、更なる盛り上がりが期待されています。
この他にも、公開時期は未定となっていますが、AR(拡張現実)を基に映像技術をふんだんに使用した「アート水族館」も開設予定となっており、今後多くの観光客によって賑わいをみせることになるでしょう。
エンタメ植物園やアート水族館
スーパー遊園地を目指すよみうりランドでは、2018年の夏に、全社員に夏休みとして、「企業を飛躍的に成長させるアイデア」を出すことを課しました。その中でも面白いアイデアを出した社員の話は、杉山社長自ら詳細を聞くことで、よみうりランドの飛躍を狙いました。
既にオープンしているエンタメ植物園「HANA・BIYORI」も、アート水族館もこのようにして生まれました。植物園は、社員のアイデアを基に、エンタメ性を重視することで他所の植物園との差別化を図り、従来人気があるシニア層だけではなく、若い世代にも楽しんでもらうことを狙いました。
この2つの他にも、よみうりランドではこれまでの遊園地には無かった新たな施設の検討をしています。まだ具体的な方針等は決定していませんが、ユニークなコンテンツを加えていくことで、更なる「スーパー遊園地」を目指しています。
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よみうりランドのインバウンド対策
来園者数を増やし、「スーパー遊園地」を目指すよみうりランドにとって、インバウンド事業は切っても切れない事業です。従来からある大型アトラクションだけではなく、次々に新しい企画を打ち出し、運営していくことは、よみうりランドの強みであるといえるでしょう。
また、インバウンド事業だからといって、「日本らしさ」を前面に押し出すことなく「よみうりランドらしさ」を引き出すことも、よみうりランドのインバウンド対策の工夫のひとつです。
さらに、しっかりと訪日外国人の立場に立ったPR方法やチケットの販売方法を行っているため、よりアクセスしてもらいやすい環境を自ら整えています。
インバウンド対策を行うにあたって、よみうりランドのように従来の方法に縛られず、独自の方法に挑戦していくことも重要といえるでしょう。
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