京都観光総合調査2019年版、外国人観光客数は886万人!98%が「満足」と回答

京都市産業観光局は、宿泊税のデータを活用し、市内の観光動向についてまとめた「京都観光総合調査」の2019年分データを発表しました。調査では、京都観光における観光客数や観光客の満足度、外国人観光客の動向などの数値が示されています。

本記事ではこの調査結果を参考に、京都市のインバウンド動向について解説します。

《注目ポイント》

  1. 外国人観光客の約98%が京都観光に満足と回答、再来訪意向も9割超
  2. ナイトライフの満足度が改善、キャッシュレス利用率も向上
  3. 外国人観光客の8割が「残念な点なかった」と回答した一方、「バスが複雑」「英語対応が少ない」といった不満も

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2019年の京都観光動向

2019年に京都観光をした外国人は、前年に比べ81万人増加という結果でした。観光客数が増えている京都では、具体的にどのような変化が起こっていたのか、京都市のデータをもとに紹介します。

外国人観光客の一人当たり観光消費額は日本人の2倍近く

昨年までと調査方法が変わったため過去の数値と単純な比較はできないものの、2019年京都市での観光消費額は1兆2,367億円と4年連続で1兆円を超えました。

この数値は京都市民の年間消費支出の約55%に相当していることから、観光消費は京都市の経済に大きな影響を与えていることがわかります。

消費額の内訳は、日本人観光客が9,049億円、外国人観光客が3,318億円でした。全体としては日本人観光客の消費額のほうが外国人観光客より多いものの、一人当たりの消費額は日本人観光客が20,267円、外国人観光客が37,437円と、外国人観光客は日本人観光客の1.8倍消費していることが明らかになりました。

京都市の外国人観光客数は欧米豪の割合が高い

京都市の2019年の観光客数は前年比1.5%増の5,352万人で、4年ぶりに増加しました。

その内、日本人観光客数は4,466万人で、前年より4万人減りましたが、全観光客の83.4%を占めています。一方外国人観光客数は886万人で、前年より81万人増加しました。

国籍・地域別外国人宿泊者数を見ると、アジアからの外国人宿泊者の割合は全国では71.7%と全体のおよそ4分の3を占める一方、京都府では54.6%にとどまりました。京都ではアジアから訪れる外国人宿泊客の割合が低い一方、欧米豪の割合が高くなっています。

※外国人観光客数については、京都府訪問者を京都市訪問者とみなして推計されています。

京都市と全国の外国人宿泊割合の比較
▲[京都市と全国の外国人宿泊割合(2019年)]:京都観光調査

外国人観光客の京都観光の満足度は98%、再来訪意向も9割超

京都を訪れた外国人への総合満足度の調査では、大変満足・満足・やや満足を合わせると、前年と変わらず97.6%と高い水準を維持しています。

「京都にまた来たいか」という質問に対しては、大変そう思う・ややそう思う・そう思うを合わせて92.5%と、再来訪を希望する人も多いことがわかります。

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ナイトライフの満足度が改善された結果

ナイトタイムエコノミーは以前から注目されていた一方、外国人観光客のナイトライフに対する満足度が低いことは全国的に課題とされていました。これに対して京都市が前向きに取り組んだことが満足度の向上につながったと考えられます。

実際に京都を訪れた外国人の「ナイトライフ」の満足度は、大変満足・満足・やや満足を合わせた数値が2018年は70.4%でしたが、2019年には74.5%と増加しています。

京都市のナイトタイムエコノミー活性化事例の一つとして、もみじで有名な永観堂があります。

永観堂では、紅葉シーズンに夜間ライトアップを開催しています。普段の拝観時間は17時までですが、この期間は特別に17時半から21時の時間帯も拝観できるようにしました。さらに、夜間特別拝観として拝観料を徴収することで消費の創出につなげています。

このように地域の魅力である自然や文化財を生かすことは、ナイトタイムエコノミーを活性化するひとつの方法といえます。

キャッシュレス利用率が向上

キャッシュレス環境の改善により、2019年は外国人観光客のクレジットカードや交通系ICカードの利用が大幅に増加しました。

外国人観光客の交通系ICカード利用率は2018年は43.5%でしたが、2019年には55.0%に増加しており、交通系ICカードが外国人観光客の半数以上に普及していることがわかります。キャッシュレス決済利用率に関しては、2018年は49.5%にとどまった一方、2019年は64.3%と大きく増加しました。

キャッシュレス決済の環境改善によりスムーズに観光ができるようになったことも、高い満足度につながったと考えられます。

残念なことは「バスの利用方法が難しい」「英語を話せる人が少ない」

これまでは満足度を高めた要因について紹介しましたが、ここでは外国人観光客の満足度をさらに高めるため意識するべきことについてデータをもとに解説します。

まず、京都観光において「残念なことがあったか」という質問に対し、外国人観光客の78.4%が「残念なことはなかった」と回答しました。一方「残念なことがあった」と回答した人も16.3%おり、具体的には「電車・バスなどの公共交通(16.9%)」「時間が足りなかった(16.5%)」「言語、案内、標識(12.6%)」などが挙がりました。

「電車・バスなどの公共交通」では、バスのシステムが難しい・バスの路線ルートが理解しにくい・地下鉄がわかりにくいという声がありました。「時間が足りなかった」と答えた外国人観光客の中には、旅行の日数や時間が少ない・観光スポットが多くて全部を回れないという意見があり、「言語、案内、標識」については英語を話せる人が少ない・外国語の案内やコミュニケーションが少ないとの声が聞かれました。

ほかにも「観光客が多すぎる」「観光地化されすぎていた」など、観光客が増えたことによる不満が見られました。

より多くの外国人に観光を楽しんでもらえるように、複雑な交通機関を初めて利用する人でもわかりやすい表示にすることや、英語対応を強化することは今後も課題であるといえます。

外国人観光客の訪問地ランキング

順位 訪問地

1位

清水寺

2位

二条城

3位

伏見稲荷大社

4位

金閣寺

5位

ギオンコーナー

6位

嵐山・嵯峨野

7位

祇園

8位

八坂神社

9位

京都御所

10位

銀閣寺

外国人観光客の訪問地ランキングには、日本人にとっても定番といえる観光地が多くランクインしました。

この中でも、特にインバウンドの受け入れ環境整備に力を入れ、外国人観光客の誘致に成功しているのが、2位の二条城と5位のギオンコーナーです。

二条城は、徹底したインバウンド対応や訪問者の受け入れ整備を実施することで、もともと価値の高い文化財にさらなる付加価値を与えています。

具体的には、敷地内の案内板の多言語化やパンフレットを計8か国語に対応する、英語の公式ガイドツアーを実施する、さらには従来のコインロッカーに加え手荷物預かり所を設置する、夏季限定で開城時間を延長するといった取り組みがなされています。

国内にはその魅力が十分に観光客に伝わっていない文化財が数多くある中で、二条城は文化財が一つの観光資源として活用されている良い例といえます。

一方、茶道や雅楽といった日本の伝統芸能の公演を行う劇場ギオンコーナーでは、日本の伝統工芸を外国人にとって体験しやすくする工夫がされています。

チケットの料金は日本人と外国人で異なり、外国人のほうが安く入場できます。体験を提供する際はアナウンスを外国語で行う、演目で日本語をできるだけ使わないといった工夫をしているほか、体験の内容も視覚的・聴覚的に訴えかけるような仕様になっています。

これら二条城やギオンコーナーの例からは、外国人観光客を呼び込むにはインバウンド対応に丁寧に取り組むことが重要だということが改めてわかります。

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満足度は高水準/公共交通機関・多言語対応に改善の余地あり

この調査から、外国人の京都観光に対する満足度は、非常に高いことがわかりました。永観堂、二条城、ギオンコーナーを始めとした各施設の地道な取り組みが、外国人の京都観光における満足度98%という結果につながったといえるでしょう。

一方で、「残念なこと」の回答からアフターコロナに向けての課題が見えてきました。特に、バス利用や英語でのコミュニケーションなどが挙がっています。

京都ではバスが重要な移動手段ですが、そのシステムが複雑であるため、今後はシステムを簡略化する、あるいはできるだけわかりやすくする取り組みが求められます。

多言語対応は全国的な課題であり、京都でも近年取り組みが進められていますが、まだ十分とはいえない状況です。案内表示の多言語化、飲食店や観光スポットなどでの英語対応を充実させることが重要です。

外国人観光客が減っている今だからこそ対策に注力することで、新型コロナウイルス収束後には、より一層満足度の高い旅を提供できるでしょう。

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<参照>
京都市情報館:【広報資料】令和元年(2019年) 京都観光総合調査について

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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